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紙の本
キューブリック全作品の詳細なガイドブック
2003/12/14 20:55
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:おおつぼ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ひとことで言えば、キューブリック好きのためのカタログにして
詳細なガイドブックです。
この本では年代順に並べられた目録のような体裁を採っていて、
監督自身が自作を語った言葉の断片をはじめとする詳細なデータが
丹念に集められ、わかりやすく整理されています。
映画を見るにあたっての周辺知識としては十分以上な情報量で、しかも
興趣を殺ぐような無粋な解説は一切なく、何度でも読んで観て読んで観て
と繰り返し楽しめるとてもお買い得な本。
たとえば、この本とDVD一式があれば、十数年の無人島暮らしも退屈
しないですみそうです。
紙の本
誰でも名前だけは知っているくせに本当はよく知らないキューブリックのすべてについて教えましょう。
2002/02/18 22:15
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:服部滋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本の翻訳者の内山一樹という名前に見覚えのある方はかなりの映画通、ていうかキューブリック通にちがいない。今から10数年前に『Kubrick』というタイトルの研究書がある映画雑誌の増刊号として刊行されたが、その編集に全面的に協力した(というより実質的な編者だった)のが内山さんである。キューブリックに関しては、おそらく彼が日本でいちばん詳しいにちがいない。その雑誌の無能な編集者だったぼくは内山さんをキューブリック博士と呼んでいまも尊敬している。
本書は、その『Kubrick』を「大幅に拡大・充実させた」ような感がある、と内山さんが<訳者あとがき>で書いているように、本書の構成は内山版キューブリックのスタイルをそのまま真似て拡大したようなものだ。だから彼が「ちょっと悔しい」というのは、すごくよくわかる(原著者はこのスタイルはThe Complete Hitchcockで確立されたと書いているが、ふん、内山版キューブリックを知らないんだな)。だけど「悔しい」というのは、なにも真似されたからというわけではない。わがキューブリック博士は、「極東の島国」の貧しい文化環境に切歯扼腕しているのである。資料へのアクセスの利便さ、充実したアーカイブといった点で、彼我には天地の開きがある。テキはなにしろマルクスが『資本論』を書くためにこもった大英博物館のある国だからね、相手が悪いや。
むろん原著者もキューブリックに異常な愛情を捧げる英国のキューブリック博士だけあって、作品のスタッフ・キャスト一覧を掲げるのはこの手の研究書なら当然だが、本書ではクレジットされていないスタッフ・キャストまで載っけてるんだからね。この一事をとってみても、彼のフリークぶりがわかるというものだ。おそらく、そのマニアックさに刺激されたのだろう、訳書ではさらにコンプリートを目指すべく<日本公開日><日本版宣伝コピー><入手可能な日本版ソフト>等々を加え原著を補うべく努めている。感謝しろよな、デイヴ!(原題はThe Complete KUBRICK)。
だから本書は、著者が嬉々として集めた——たとえば、<コーエン兄弟の『赤ちゃん泥棒』(87)では洗面所のドアに、『博士の異常な愛情』の呼び戻し暗号である「POE」と「OPE」という文字が書かれている>といったエピソードに感心したり、<(『アイズ・ワイド・シャット』で)トム・クルーズの「恐らく君が僕の妻だからさ!」というイントネーションは、『シャイニング』でジャック・ニコルソンが彼自身の妻に言う言葉を思い起こさせる>といった指摘に「おいおい」と突っ込みを入れたりしながら楽しむのが著者の意にかなった読み方だというべきだろう。
ちなみに内山版キューブリックでは、『時計じかけのオレンジ』で主人公アレックスの名を報じる新聞が1ヶ所だけ「アレックス・バージェス」(バージェスは原作者の姓)になっているとか、『2001年宇宙の旅』のプロダクション・デザインを手塚治虫が依頼されたといった素敵なエピソードが紹介されている。知ってるか、デイヴ?
だが、まちがっても「それが映画の芸術性とどういう関係があるのか」などと問い詰めたりしてはいけない。いささかマニアックにすぎるとはいえ、画面に映ってもいない監督の思想とかイデオロギーとかによって映画を性急に裁断するよりは、少なくとも健康的な映画の愉しみ方だとワタシは思う。「神は細部に宿り給えり」ってやつだ。小津安二郎にしろ黒澤明にしろ画面に映るものならヤカンひとつでさえお座なりにはしなかった(画面に映らない机の引き出しの中さえも)。むろんキューブリックも。
本書は、キューブリックにまつわるものならなんでも好きという原著者と訳者の愛情あふれるコラボレーションによる稀にみる幸福な本である。 (bk1ブックナビゲーター:服部滋/編集者 2002.02.16)
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