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紙の本
【編集者コメント】若い読者にぜひ
2001/12/04 10:06
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投稿者:日本実業出版社 寺島 - この投稿者のレビュー一覧を見る
兵法書のバイブル「孫子」は、決して過去の書物でも、あるいは昔の中国を範囲だけのものでもありません。むしろ、国際間、企業間など複雑な関係が絡み合う現代にこそ、「戦い」において勝つことの意味を教えてくれる戦略書として、戦争の将軍だけでなく、経営者にも愛読されているものです。
たとえば、今回の同時多発テロに端を発する紛争を考えてみると、「正義」を振りかざして世界中を味方につけようとする米英対イスラムのテロ勢力という構図だけでは、問題の解決は見られないでしょう。パレスチナ、イスラエル、ロシアなどの国々が絡み合い、とりわけ中国の構え方をうかがうと、さすが「孫子」を生み出した国という感があります。
本書は、類書のような「古臭い」ものでなく、若い人にも興味を持って読んでもらえるように作り上げたものです。「孫子」の言葉とその考え方を取りあげるだけでなく、古今東西の「孫子」に関わる様々な人物と戦い、また中国古典から現代までの他の戦略書についても深く解説してあります。
実際の戦闘を経験する人はごく少数でしょうが、一般の人でも、社会を生き抜くための人生観や世界観を養ううえで、非常に役立つ、面白い一冊です。
紙の本
著者コメント
2001/11/27 12:54
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投稿者:守屋 淳 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『孫子』は約2500年前にかかれたにもかかわらず、ジャンルを問わず、現代の常勝のトップや指揮官に幅広く活用されています。
近くは湾岸戦争における司令官シュワルツコフ氏の正伝に、多国籍軍の戦略は『孫子』をもとにしたものだと明言されています。また、マイクロソフトを創業したビル・ゲイツ氏は著書で『孫子』の戦略に触れ、ソフトバンクの孫正義氏は『孫子』を元にした独自の兵法まで編み出して、ともに世界有数の企業を築きあげました。
さらにプロ野球で言えば、日本一六回に輝いたうえ、監督してBクラスに落ちた経験がないという稀有な名将、現在の横浜ベイスターズの森監督も『孫子』に戦略を学んだ一人です。
『孫子』をもとにした戦略の余りに輝かしい実績——一体その何が、それほどまでに有効なのか、本書はそれをクラウゼビッツの『戦争論』やノイマンの『ゲームの理論』といった他の戦略書の比較といった切り口を導入しつつ解明していきます。そして、その成功事例を、上にも挙げたような実際に『孫子』を読み込んだ指揮官やビジネスマンたち30人以上の体験や歴史的資料から掘り起こしました。毛利元就、徳川家康、高杉晋作、秋山真之、ナポレオン、ホー・チ・ミン、毛沢東、マハティール、長島茂雄……まさに、格好の現実への応用例が並んでいます。
さらに、『孫子』は原文をただ読んだだけではよくわからない部分も多々あります。例えば、「兵は拙速を聞く——戦争は短期決戦でなければならない」という有名な言葉がありますが、しかし、実際の争いごとでは長期戦になってしまうこともしばしばです。なぜ、『孫子』は長期戦に言及しないのか、なぜ『孫子』は一見虫の良い理想を説くのかという謎を、『孫子』戦略を体系的に再構築することにより、解き明かしてもいます。
IT、企業、国家、戦争……「戦略」という言葉が氾濫していますが、本書をお読み頂ければ、そもそも「戦略」とは何であり、西欧のバイブルであったクラウゼビッツの『戦争論』と、東洋の至宝『孫子』がどう違い、それぞれどのような状況で真に有効かについて、認識を新たにして頂けると思います。
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