紙の本
あきらめるって仏教の言葉なんだ。
2002/01/16 00:48
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:駿府譲 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「あきらめるってことは悪いことじゃない」。そんなこと、初めて聞いた。今までの人生、「がんばる」「一生懸命」って言葉で生きてきた。いや、死に向かっていたのか?
人間過酷な体験をすると、体の前に心がまいって死んでしまうという。筆者は助けられた後、ストレスの痕跡が無かったという。37日間の過酷な漂流の中、ストレスを感じず、楽しむ心まで持てた筆者の境地がココにある。
「あきらめるって悪いことじゃないぞってそのとき思ったんだ」。
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武智さんのこの漂流記は、海で遊ぶ際のリスク対策に役立つようなことが書いてあるかというとそうでもない。もちろん事の顛末が書いてあるので、何故そのような事態に陥ってしまうことなったのか、どのようにしていれば長期漂流を避けられたのか、リスク対策のためのケーススタディとして考えてみることは非常に有益な演習にはなるだろう。
話はとんでもなく悲惨で目を背けたくなるような衝撃のルポルタージュでもない、なんかこう力のぬけた話である。だからといって『なんだか、つまらなさそうな話だなあ』と思うのは早計である。私は実に感銘を受けた。タイトルにもある「あきらめる」とは明らかなことを避けようのない事実として受け入れることであると言う。そして、ただ水が飲みたいだけの極限の状態で、辛いのは辛いんだけど、その分だけ心が澄んでいたような、洗われていたようなところがあると漏らす。これはにわかに信じがたいことであるが、本を読むと、その様子が私にも感じられた。「皆さんに迷惑をかけた」と恐縮しながらも、子供たちに請われて学校へ講演にいく彼の姿が思い浮かぶようだ。サバイバルというよりも修行に励むお坊さんの話のようなのである。
37日間の漂流後、第21末広丸に助けられるときのシーンも、実に感動的ではあるが、ユーモラスですらある。武智さんの生きざまなのか。考えさせられたというより、いろいろ感じいった話だった。
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8月13日 ~ 8月14 日
横井庄一のジャングル貧窮生活をサバイバルととらえたように、「人間はなかなか死なないものだ」、「(人生、人間)なんとかなるものだ、なるようなるものだ」という著者の漂流体験をスローライフとしてとらえるBE-PALのポジティブさ(商魂たくましさ)には恐れいる。
当時は「素人漁師」、「無謀」と思ったものだが、去年の今頃の事だったっけと言うのが今の正直な感想。(たった一年前の出来事なのに)
迷台詞で流行語大賞にも選ばれたがどれくらいの人が彼の事を覚えているだろうか。
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2001年7月、長崎の漁港をでた漁船繁栄丸は、出航後まもなく操縦不能となり銚子沖800㎞まで流される。小さな船にあるのはわずかな食料と水。救助されたのは、なんと37日後のことだった…!救助されるまでの過酷な状態が語られているのにその文体は穏やかで静かで、美しい。
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当初本人は遭難した認識が無かった為外部へ連絡を取らなかったとのこと。
自分の状態を認識し、連絡をするという初動の大切さを実感する。
"あきらめ"と、"とりあえず"で37日間を生き抜いた。著者の性格に寄るところが大きいと感じた。