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高い評価の役に立ったレビュー
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2009/09/21 23:40
『問題発見・解決』この分野が論理的に割り切れるものではないことを覚悟と共に理解できたことが最大の収穫か
投稿者:やすのり - この投稿者のレビュー一覧を見る
購入したのは4~5年前であろうか。人事の経験しかない私には正直、全くもって理解が及ばずリアリティの感じられない内容であったが、今回約3年の営業経験を経た後に改めて読み返してみると、以前と比べれれば業務と関連させてそれなりに理解することができた。
『あるべき姿をえがく』ことは、一般的に極めて重要なこととされているが、実際のビジネスの現場では、どこまで本気で必要性を感じているだろうか。「私はそんな立場ではない。与えられた課題を懸命にこなすのみ。」という遠慮も多いのだろうし、こうしたスタンスが謙譲や慎ましさの顕現として賞賛される風土も根強いのだろう。確かに、それなりに大きな会社に勤めていれば、一社員の立場で会社や部門の『あるべき姿をえがく』ことなど、おこがましく感じられ、リアリティがなく、仮にえがいてみたとしても、そのことに意味があるとは思えなかった。
しかし、転職により社員数8名の会社で勤務を始め、会社の『あるべき姿をえがく』ことは、身近で必要性の極めて高い課題となった。あるべき姿が明確に描けていないことによる、一貫性のない場当たり的な判断で、経営資源投入の対象やタイミングについて、選択と集中が出来ておらず、従業員もどこを向いて仕事をして良いのか迷っている状況である。あるべき姿を明確に描くことで、企業として顧客への価値提供力を最大限に高め続けるためのヒントとして、本書を改めて手に取った。
まず、所与の課題に対する問題発見・解決のプロセスである、Plan-do-see(PDS)の過度な効率性追求が、「あるべき姿」をゼロベースからとらえ直す、主体的・自律的なビジネスマインドを損なうという問題点を、再確認できたことは良かった。逆に管理職として部下に規律を守らせ、支配力強化を進めるための、極めて有効なツールになることもであるが。
そして、最も役に立ったのが『あるべき姿を構想する戦略的問題発見の4P』のフレームワークである。Purpose(目的軸)、Position(立場軸)、Perspective(空間軸)、Period(時間軸)の4軸で物事を眺めることで全体像が明確になる。また、戦略的問題発見に必要な4つのスキルとして観察力、判断力、分解力、統合力が挙げられ、特に前2つの重要性が強調されていたことも興味深い。
しかし、それぞれが良く練られたフレームワークでありながら、それで問題発見やあるべき姿の構想が、自動的に進んで行く訳ではない所が、『問題発見・解決』分野の面白さでもあり、理論と実践が(中途半端に)同居する事による曖昧さや煮え切らなさでもある。語感としては、『問題解決』よりも分かりにくそうで、とっつきにくそうな『マーケティング』や『ロジカルシンキング』の方が、取り扱う分野が絞り込まれており、かつ一定のフレームワークにより、(取りあえずは)綺麗に割り切れて、解が示される分、すっきり感や、学んだ後の満足度は高い印象がある。
ただし、あるべき姿の構想が最終的には、個人ないし企業の主観、想い、志や価値観に根ざすものであり、だからこそ個人にも企業にも存在価値があるのだと言われれば、確かにその通りだと思う。それを踏まえて、経営理念の3要素とあるべき姿の構想ないしは戦略的問題発見を有機的に絡ませることで、企業と個人の判断の指針となり、チャレンジの後押しをするリソースとすることを目指すべきであろう。
繰り返しになるが、様々なフレームワークや分析ツールを組み合わせることで、自動的にあるべき姿の構想や問題発見がなされる訳ではない。フレームワークやツールの合間合間は、個人や企業の主観である想いや価値感、志、見識で埋めていく、繋いでいくべきものである。恐らくは当分野の最高峰に位置する本書ですら、『問題発見・解決』に関して、論理的にすっきりと割り切れる解を示せて(示して)いないことは、『問題発見・解決』が属人的な要素の強い分野であることを覚悟させてくれた点で非常に良かったのではないか。
とはいえ、現場での実践につなげるには、フレームワークやツールを駆使しての問題発見・解決の疑似体験が必要であり、本書にも様々なケーススタディーが掲載されている。しかし、正解が記載されている訳でもなく、何らのガイドもない状況で独力で取り組むのは非常に困難である。この部分はビジネススクールや企業での研修等に役割を譲るべきなのだろう。また、正直な所、第3部以降の各種分析ツール(シェア分析、相関分析、付加価値分析など)は、現時点における私の見識と経験からは実感的な理解に至らず、表面をなぞるだけに留まった感がある。営業として、あるいは将来に管理職ないしは経営者としての経験を積み重ねた暁にはきちんと理解できるのだろうか。また、何年か後に読み返してみたいと思う。
低い評価の役に立ったレビュー
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2001/12/25 22:16
「あるべき姿」と「現状」とのギャップを発見するためのノウハウ
投稿者:松尾順 - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルに含まれる言葉が、「問題解決」ではなく「問題発見」であることに気付くと、もうそれだけで深く考えさせられてしまう方が多いのではないだろうか?
解決策を絞り出すためにさんざん議論したのに、実は問題は別のところにあり、それらの解決策はまるで無意味なものだった、ということを誰もが一度は経験しているだろう。つまり、解決すべき“正しい”問題を発見する前に、その解決法を考えるのは間違っているのである。
本書では、これまであまり焦点が当てられてこなかった、「当を得た問題」を発見するノウハウを提供している。問題とは、「あるべき姿」と「現状」とのギャップなのだが、著者は、的確な問題発見ができない理由として下記の4点を指摘し、マツダ、日産、ダイエー、イトーヨーカー堂といった企業を例に挙げながら詳しく解説している。
1:問題を定義する前提となる「あるべき姿」を的確に描けない
2:「現状」に認識・分析力が低く、正確な把握ができない
3:「ギャップ」の構造を解明して、問題の本質を具体化・優先順位づけすることができない
4:実行可能な「解決策」から逆順で短絡的に問題をとらえるために拡がりを見失う。
さらに、あるべき姿を構想するためのフレームワーク(枠組み)として、4つのPを紹介し、その活用法を指南する。4つのPとは、Purpose(目的軸)、Position(立場軸)、Perspective(空間軸)、Period(時間軸)である。本書では、このフレームワークを使って、生命保険営業や百貨店のあるべき姿を明確に描き出している。
本書の後半部分では、発見された問題を整理するための様々な分析テクニックを解説している。「トレンド分析」「相関分析」「シェア分析」などである。これらの分析手法は格段目新しいものではないが、「あるべき姿」をとことん追求した後で初めて有用になるテクニックであることを認識しておかなければならない。(bk1ブックナビゲーター:松尾順/Eビジネスプロデューサー)
紙の本
『問題発見・解決』この分野が論理的に割り切れるものではないことを覚悟と共に理解できたことが最大の収穫か
2009/09/21 23:40
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:やすのり - この投稿者のレビュー一覧を見る
購入したのは4~5年前であろうか。人事の経験しかない私には正直、全くもって理解が及ばずリアリティの感じられない内容であったが、今回約3年の営業経験を経た後に改めて読み返してみると、以前と比べれれば業務と関連させてそれなりに理解することができた。
『あるべき姿をえがく』ことは、一般的に極めて重要なこととされているが、実際のビジネスの現場では、どこまで本気で必要性を感じているだろうか。「私はそんな立場ではない。与えられた課題を懸命にこなすのみ。」という遠慮も多いのだろうし、こうしたスタンスが謙譲や慎ましさの顕現として賞賛される風土も根強いのだろう。確かに、それなりに大きな会社に勤めていれば、一社員の立場で会社や部門の『あるべき姿をえがく』ことなど、おこがましく感じられ、リアリティがなく、仮にえがいてみたとしても、そのことに意味があるとは思えなかった。
しかし、転職により社員数8名の会社で勤務を始め、会社の『あるべき姿をえがく』ことは、身近で必要性の極めて高い課題となった。あるべき姿が明確に描けていないことによる、一貫性のない場当たり的な判断で、経営資源投入の対象やタイミングについて、選択と集中が出来ておらず、従業員もどこを向いて仕事をして良いのか迷っている状況である。あるべき姿を明確に描くことで、企業として顧客への価値提供力を最大限に高め続けるためのヒントとして、本書を改めて手に取った。
まず、所与の課題に対する問題発見・解決のプロセスである、Plan-do-see(PDS)の過度な効率性追求が、「あるべき姿」をゼロベースからとらえ直す、主体的・自律的なビジネスマインドを損なうという問題点を、再確認できたことは良かった。逆に管理職として部下に規律を守らせ、支配力強化を進めるための、極めて有効なツールになることもであるが。
そして、最も役に立ったのが『あるべき姿を構想する戦略的問題発見の4P』のフレームワークである。Purpose(目的軸)、Position(立場軸)、Perspective(空間軸)、Period(時間軸)の4軸で物事を眺めることで全体像が明確になる。また、戦略的問題発見に必要な4つのスキルとして観察力、判断力、分解力、統合力が挙げられ、特に前2つの重要性が強調されていたことも興味深い。
しかし、それぞれが良く練られたフレームワークでありながら、それで問題発見やあるべき姿の構想が、自動的に進んで行く訳ではない所が、『問題発見・解決』分野の面白さでもあり、理論と実践が(中途半端に)同居する事による曖昧さや煮え切らなさでもある。語感としては、『問題解決』よりも分かりにくそうで、とっつきにくそうな『マーケティング』や『ロジカルシンキング』の方が、取り扱う分野が絞り込まれており、かつ一定のフレームワークにより、(取りあえずは)綺麗に割り切れて、解が示される分、すっきり感や、学んだ後の満足度は高い印象がある。
ただし、あるべき姿の構想が最終的には、個人ないし企業の主観、想い、志や価値観に根ざすものであり、だからこそ個人にも企業にも存在価値があるのだと言われれば、確かにその通りだと思う。それを踏まえて、経営理念の3要素とあるべき姿の構想ないしは戦略的問題発見を有機的に絡ませることで、企業と個人の判断の指針となり、チャレンジの後押しをするリソースとすることを目指すべきであろう。
繰り返しになるが、様々なフレームワークや分析ツールを組み合わせることで、自動的にあるべき姿の構想や問題発見がなされる訳ではない。フレームワークやツールの合間合間は、個人や企業の主観である想いや価値感、志、見識で埋めていく、繋いでいくべきものである。恐らくは当分野の最高峰に位置する本書ですら、『問題発見・解決』に関して、論理的にすっきりと割り切れる解を示せて(示して)いないことは、『問題発見・解決』が属人的な要素の強い分野であることを覚悟させてくれた点で非常に良かったのではないか。
とはいえ、現場での実践につなげるには、フレームワークやツールを駆使しての問題発見・解決の疑似体験が必要であり、本書にも様々なケーススタディーが掲載されている。しかし、正解が記載されている訳でもなく、何らのガイドもない状況で独力で取り組むのは非常に困難である。この部分はビジネススクールや企業での研修等に役割を譲るべきなのだろう。また、正直な所、第3部以降の各種分析ツール(シェア分析、相関分析、付加価値分析など)は、現時点における私の見識と経験からは実感的な理解に至らず、表面をなぞるだけに留まった感がある。営業として、あるいは将来に管理職ないしは経営者としての経験を積み重ねた暁にはきちんと理解できるのだろうか。また、何年か後に読み返してみたいと思う。
紙の本
コンセプチュアルスキルの新「QC7つ道具」
2003/04/30 23:52
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:平野雅史 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、ロングセラーになっている「問題解決プロフェッショナル-思考と技術-」(ダイヤモンド社)の姉妹書。本書では問題発見・分析フェーズを取り扱い、姉妹書の方では解決策立案フェーズを取り扱っている。
本書の眼目である「問題発見・分析」の技術は、意識の有無は別にして、殆どの仕事で求められ、また、課題解決の前段階を担う技術である。課題解決スキルへの注目が高いが、実際には問題設定自体がおかしいということも多い。逆説的に云えば、問題発見の技術がなければ、問題自体が見えていなかったり、既知の解決策(他企業の事例等)の裏返しで問題設定する事例は、それこそ枚挙に暇がない。
本書で説く技術体系BOK自体はシンプルだし、既知のものが多い。しかし、だからこそいつでも意識的に使うことができ強力な道具となる。
1.戦略的問題発見の4P:パーパス軸、ポジション軸、パースペクティブ軸、ピリオド軸
2.「拡がり」を捉える6つの道具:MECE、トレンド分析、+/−差異分析、集中・分散分析、付加価値分析、CS/CE分析
3.「深さ」を捉える4つの道具:ロジック、コーザリティ分析、相関分析、シェア分析
4.「重み付け、優先順位設定」の5つの道具:感度分析、パレート分析、ABC分析、ピーク分析、リスク・期待値分析
姉妹書初版の発刊と同時に購入して以来7年近く経つが、営業企画、マーケティング分析、企業分析、施策立案等々、不十分ながらも多くの場面で活用してきた。テクニカルな知識や理論の背景は別にして、この2書が提示する技術は、コンセプチュアルスキルが必要となる多くの場面で活用可能だと思う。
紙の本
「あるべき姿」と「現状」とのギャップを発見するためのノウハウ
2001/12/25 22:16
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:松尾順 - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルに含まれる言葉が、「問題解決」ではなく「問題発見」であることに気付くと、もうそれだけで深く考えさせられてしまう方が多いのではないだろうか?
解決策を絞り出すためにさんざん議論したのに、実は問題は別のところにあり、それらの解決策はまるで無意味なものだった、ということを誰もが一度は経験しているだろう。つまり、解決すべき“正しい”問題を発見する前に、その解決法を考えるのは間違っているのである。
本書では、これまであまり焦点が当てられてこなかった、「当を得た問題」を発見するノウハウを提供している。問題とは、「あるべき姿」と「現状」とのギャップなのだが、著者は、的確な問題発見ができない理由として下記の4点を指摘し、マツダ、日産、ダイエー、イトーヨーカー堂といった企業を例に挙げながら詳しく解説している。
1:問題を定義する前提となる「あるべき姿」を的確に描けない
2:「現状」に認識・分析力が低く、正確な把握ができない
3:「ギャップ」の構造を解明して、問題の本質を具体化・優先順位づけすることができない
4:実行可能な「解決策」から逆順で短絡的に問題をとらえるために拡がりを見失う。
さらに、あるべき姿を構想するためのフレームワーク(枠組み)として、4つのPを紹介し、その活用法を指南する。4つのPとは、Purpose(目的軸)、Position(立場軸)、Perspective(空間軸)、Period(時間軸)である。本書では、このフレームワークを使って、生命保険営業や百貨店のあるべき姿を明確に描き出している。
本書の後半部分では、発見された問題を整理するための様々な分析テクニックを解説している。「トレンド分析」「相関分析」「シェア分析」などである。これらの分析手法は格段目新しいものではないが、「あるべき姿」をとことん追求した後で初めて有用になるテクニックであることを認識しておかなければならない。(bk1ブックナビゲーター:松尾順/Eビジネスプロデューサー)