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ドイツで試みられているバイオマス(生物資源)をベースとした事例でヘンプが万能植物として取り上げられています。こういうエコロジーの最先端を行く良書にはヘンプが必ずどこかで出てきますね。
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2008-08-26
ヘルマン・シューアのソーラー地球経済.
なかなかに分厚かったが,いかに,世界が化石燃料の原理によって支配されているか?
ということがよーーーーくわかる本である.
原油を中心になりたつ,航空会社,石油会社,電力会社,自動車産業の密接な関係がよく分かる.そして,エコエコ,
CO2排出減といいながら,これらと関わる各国政府がどれだけこれらの産業に「補助金」を出しているかもよく分かる.
石油の消費を増やすために.
自転車の為の道路は整備せず,自動車の為の道路ばかりを整備する地方自治体も責めに帰すべき存在かもしれない.
では,我々はどうやれば永らえる事ができるのか?
その為には,太陽の恵みを分けてもらう,いかにソーラー地球経済に移行しなければならないかを説いている.
ソーラー地球経済のエネルギー源には太陽電池のみならず,バイオマスや水力なども含まれるであろう.(植物は太陽のエネルギーで育ち,
水は太陽のエネルギーで山上まで運ばれる.)
つまりは大体,再生可能エネルギーの事だ.
地球上に偏って存在する化石燃料を利用することは,「先祖の遺産を食いつぶすどら息子」
としての産業革命以後の未完成な人類を演じ続けるのみならず,産地から消費地への「長い連鎖」を維持するために,
「非効率なエネルギー消費による輸送」や複雑な「精錬プロセス」,そして,パイプラインや海上輸送経路を維持するための「国際紛争」
をパスしなければならない.
よく発電時やクルマを走らせるときのエネルギーの効率が「原子力」や「石油」のほうが「太陽光」や「風力」
のような再生可能エネルギーより高いような話を聞くが,
その計算の中には「エネルギー生産コスト」や「中東の戦争」のコストはもちろん計算されていない.
隠れコストだ.
太陽電池礼賛というのもやはり一面的で問題はあるかもしれないが,
国際社会の平穏や恒常的資源貧困国日本の世界の中で取るべきリーダーシップを考えると,
化石燃料の不穏な連鎖からの早期の離脱という事は目指すべき事だと思う.
国際平和を希求するのが日本国憲法の精神だとするならば,それは軍隊を派遣するという,「臭い臭いがしてからファブリーズをかける」
というその場しのぎの精神ではなく,「人間が争う臭いの元を断つ」という社会構造・産業構造変革への意志こそ重要ではないだろうか.
それこそ,公式には軍隊を持たない私たちの国としてスマートな生き方の気がする.
と,ずいぶん風呂敷を広げたが,
そのぐらい,風呂敷を広げたくさせる,一冊です.
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「ソーラー地球経済」というタイトルですが、ここでの「ソーラー」とはバイオマスも含めて「太陽エネルギーによって再生可能な資源」を指しています。この本が出た2001年時点では、まだリチウムイオン電池が今ほど広範に使われておらず、バイオマスも今ほど広範な研究がされていない頃です。その時点で、化石資源を前提とする経済システムから、再生可能資源を前提にした経済システムへのシフトの道筋を示した点で、著者の慧眼には驚くばかりです。