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新しい戦争? 9.11テロ事件と思想 みんなのレビュー

  • 中山 元 (著)
  • 税込価格:1,10010pt
  • 出版社:冬弓舎
  • 発行年月:2002.1
  • 発送可能日:購入できません

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みんなのレビュー2件

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紙の本

米国流のグローバリゼーションに代わる新たな相互共生の作法を模索しなければならない

2002/07/10 17:47

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:森岡正博 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 対米テロ事件直後から、様々な論説や宣言がインターネット上を駆けめぐった。諸外国語に堪能な中山元さんは、それらを徹底的にかき集めて分析し、大事なものはみずから翻訳してホームページに掲載した。その作業を積み重ねていくうちに、本書が誕生した。
 米国のメディアや、それに追随している日本のメディアでは、嫉妬に駆られた狂信的なイスラム過激派が、文明国にテロを仕掛けたという報道がさかんになされた。ところが、今回の事件を分析する世界の知識人たちの多くは、このような図式そのものを否定する。
 彼らによれば、米国が進めてきた自己中心的なグローバリゼーションが、今回のテロを必然的に引き起こしたのだ。その意味で、制裁を叫ぶ「ブッシュ」と、自爆テロを煽動する「ビンラディン」は、瓜二つの双子なのである。
 しかし、このような発言をする知識人たちへの風当たりは、日増しに強くなっている。大学内でも嫌がらせメールや脅迫などがあとを絶たない。ついに彼らは、「大学での言論の自由」を求めるアピールまで出さないといけなくなった。
 と同時に、まったく逆の意見も台頭してきた。つまり、先進国は、イスラム諸国をふたたび「植民地化」すべきではないかというのだ。そのほうが、テロで被害を受けるよりも安く上がる。英国・米国でこの種の意見が目立つと中山さんは指摘する。
 しかし、知識人たちの大方の意見は、米国の性急な軍事攻撃に疑問を呈するものであり、米国流のグローバリゼーションに代わる、新たな相互共生の作法を模索しなければならないというものだ。
 中山さんも、この考え方に賛同する。グローバリゼーション・対・反グローバリゼーションという対立は、今回のテロ事件によって無効になった。復讐が復讐を呼ぶのではない、新たなやり方を構想しなければならない。
 第三世界の貧困と悲惨があるかぎり、テロはなくならない。しかし第三世界の悲惨を生んでいるのは、ほかならぬわれわれ先進国だ。その真の意味を考えるための必読書として本書を広く薦めたい。

初出:信濃毎日新聞

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紙の本

思想の問題・政治の問題

2001/12/26 22:40

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オリオン - この投稿者のレビュー一覧を見る

 哲学は単独者の不換言語で綴られ、思想は植民地の言語で紡がれ、文学は帝国の周縁で複数言語の間に育まれる。これは誰の言葉でもないし、本書とはなんの関係もない。

 「9.11」以後おびただしい量の論考がインターネット上に掲載された。「今回のテロほど、グローバルに情報を伝達するインターネットが、思考の道具としても貴重なものであることを、はっきりと示した事件はなかったといってもよいだろう」(124-125頁)と著者は書いている。そのほとんどがインターネットで集められた文章を手際よく整理して、著者は本書で「9.11テロ事件があらわにしたさまざまな問題を考えるために役立つ」五つの視座を取り上げた。
 すなわち、これはテロなのか新しい戦争なのか、文明の衝突か、宗教の衝突か、それは私たちに「現実の覚醒」をもたらしたのか、そして「9.11」以後反グローバリズムはいかにして可能か。私はとりわけ第四の視座が重要だと思う。

 メディアなしではテロは意味を失うのだが、それではメディアが流し続ける映像はリアリティを伝達しているのか、恐怖と憤慨と復讐の念をかきたてているだけなのか。グローバリゼーションが進み世界がアメリカ化している現状にあって、はたしてアメリカは「世界」の現実をきちんと認識できているのか(テロはアメリカ市民に「覚醒」をもたらしたのか)。ツインタワーの崩壊という「映画(ヴァーチャル・リアリティ)みたい」な出来事を目の当たりにして、いまや「現実のリアルの世界」の認識そのものが不可能になっているのではないか。
 《ぼくたちはいま、現実とフィクションが分かち難く、不分明なままになっている薄明の世界に生きているようだ。ツインタワーは、どこか『風の谷のナウシカ』の巨神兵を思わせる身ぶりでゆっくりと崩れていったのだが、現実もフィクションと映画の世界のうちに、ゆっくりと溶け込んでしまったかのようである。》(91頁)

 ここには「問われているのは、ぼくたちの思想そのものなのである」(109頁)と著者が書くときの「思想」の問題が、そしてもちろん「政治」の問題が集約されている。

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