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まぁぐいぐいと読ませてくる。
ページをめくる手が止まりませんでした。
文章も軽妙でありながら濃厚で、夢中になってくると酩酊感がありました。この感覚「大審問官」を読んだときにもあったな。
構成が変態的。良い意味で
緻密に計算されて書き上げているようにも思えるし、一種のトランスの中で書き上げているようにも思える、ある種の毒を持った本でした。
一年後かにもう一度読み返してみよう。
ファラー?
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アイユーブが編さんする「災厄の書」の中の物語。夜の種族(語り部)が語る
古事記、千夜一夜物語、オイディプス王、オリバーツイスト、モンテクリスト伯、王子と乞食など 面白い小説の要素が全部 揃ってる感じ
平日に読んだの失敗だった。次が気になって 仕事にならない。一部より二部の方が面白い
第一部「0度」は 妖術師アーダムと蛇神ジンニーアの物語。父殺し後に王位承継、母と息子の結婚、悲劇的な結末など オイディプス王を想起させる
第二部「50度」は ファラーとサフィアーンの冒険ファンタジー。大泥棒として育てられた王位継承者サフィアーン、アーダムとジンニーアの復活、妖術師となったファラー。
第三部「99度」は とどまり続けるサフィアーンと 漂白し続けるファラー、サフィアーンのなかにいるアーダム の3人の共鳴して 驚きの最期へ。
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千夜一夜物語×ダンジョン探索RPG。夜の種族が語るアーダム、サフィアーン、ファラー三者の物語。それを19世紀ナポレオン侵攻下のエジプト人たちが筆記する。さらにそれを21世紀サウジアラビアを訪れた日本人が邦訳する、という入れ子構造の物語。
本書は装飾過多と思われる文言が並び、内容に比して文章が非常に長い。しかし一見無駄に長いと思われる夜の種族の語りが、効果的に物語内に時間を創り出している。夜の種族の20日間にわたる語りの長さを、作中の聴き手と読者が共有することで、ただ文章を読むだけでは感じ得ない時の流れを体感できるようになっている。また、ダンジョン探索RPG風味なのは、長い物語を飽きさせない工夫なのかもしれない。
しかし、いくらアーダムたちの物語がメインといえども、入れ子構造の外側に行くほど内容が陳腐化するのは残念。外側の描写は主に本書の終盤で描かれる内容であるが、ナポレオン侵攻の設定も、夜の種族の物語の余韻も、あまり活きていないように見える。
クライマックスは、魔王サフィアーンの身体に乗り移ったアーダムと、アーダムの書物を読み込み魔導を極めたサファーとの一騎打ち。アーダムが己れの書物と闘っていることにだんだん気付き、焦り、最後に悟る様子が面白い。アーダムvsアーダムという意味では、最初から最後までアーダムの物語だった。
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千一夜風に語られている間はナポレオンのカイロ侵略は起こらないという,摩訶不思議な理屈で夜に夜を重ねて物語が続く.「妖術師アーダムと蛇のジンニーア」と「美しい二人の拾い子ファラーとサフィアーン」の物語が重なりもつれあって万華鏡の世界が広がり,最後終わるかと見えたこの長い夜のさきに語り手と聞き手を入れ替えた新たな物語が始まる.まるで覚めない長い夢を見続けているようだ.
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聖遷1213年、西暦では 1798年。
訓練された軍人奴隷のマムルークたちが支配してきたエジプトにフランス軍が迫る。
指揮するは28歳の青白い顔の司令官、ナポレオン・ボナパルト。
エジプトを収める23人の知事(ベイ)。それぞれの動き。
大軍を率いる者。
裏から操る者。
そして密かにフランス軍を壊滅させる策を練る者。
軍隊を破滅させる策。破滅させる。フランス兵を。極微の献上品によって。それは書物。
読者と特別の関係になる書物。
読者を破滅させる書物。
現実を混濁させる物語。「災厄(わざわい)の書」
本当に望まれたときに語り部は現れる。
譚る者と譚られる者。 夜の種族。
この世の捨て子たちの物語。
怪異な顔立ちを持ち魔物と交わったアーダム、
白子としてこの世ならぬ美貌と屈折した心を持ち魔力を身に付けるファラー、
生まれながらの豪胆さと明るさを持つ盗賊サフィアーン
夜が朝(あした)に代わり、朝(あした)が夜に代わる。
物語は不死ではないから、その記憶の運び手が強靭でなければならない。すると物語は譚られることにより不滅になる。 それが譚られる間はエジプトは滅びないといわれる物語が続く。
そしてその物語が終わる時。
***
ナポレオンのエジプト遠征の歴史的結末は分かっているので、それにどう向かっていくか、という物語内の現実と、
人や書物を死なせないためには譚り続けることという言葉の力を入り混じらせた物語。
マムルーク王朝の事は全く知らなかったので、検索してみたところ、物語に出てくる人たちは実在の人物だったり、実際の事柄を元にしていたので”応えあわせ”もなんだか楽しかった。
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日曜日の昼下がり、読みながらウトウトとしてしまう。
でもそれは最初のうちだけ。ズームロットのかたりが始まると物語りに引き込まれる。美しくも日常で使うことのない言葉が次々に物語を展開させてゆく。何度か繰り返し読んで文章を味わう。壮大なスケールの世界観。
三人の主人公たちの中でも、ファラーの孤独を今も想う。
充実した読書タイムを過ごさせていただきました。個人的に辛いこともあったけど、なおさらこの本に逃げ込むことで救われた時間があった。
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冒険譚としても歴史ものとしてもファンタジーとしても読める。異常な語彙力による巧みな筆致に脳がトリップする。しかし読みにくくはない。王道であり、怪書。
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イスラムの世界の物語。イスラムの年代のヒジュラとか、従兄弟婚とか、イスラムの生活が垣間見れて面白い。ナポレオンが実際にエジプトを攻めていたのも知らなかった。世の中は知らない事に溢れている。物語自体も面白い。アーダム、ファラー、サフィアーンの3人が織りなす物語が興味深い。魔法の世界と蛇と龍。伏線もしっかり回収され楽しく読めた。サフィアーンの前向きさと溌剌さがとても良かった。宗教的には難しいと思っているが、良い人の像は一緒なんだな。
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ずっと読もうと思っていた文庫本3冊のファンタジー長編。
前半は「アラビアンナイト」のような形式で古いアラビアの3人の人物の3つの物語が語られる。語っている場所と時間はナポレオンに侵略される直前のカイロ。
後半、3つの物語は融合し、語り手の世界にも危機が迫る。
何重にも「物語」と「書物」についての話が入れ子構造になっている。そもそも、この本自体が著者が英語版から「翻訳」したことになっている。
長くて読みだすと止まらない本が好きなかたにお勧め。この人の他の本も読んで見よう。
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おともだちさんに薦められて読んだ。
時間は掛かったが、それでも内容が薄れ忘れることなく最後まで読み進めることができた。
まず、第一部直前のアイユーブの科白があまりにも最高だった。なんッ……! おま、あんなに自信満々に言っ……?!! と、思わず声に出るほどにしてやられた。
3人の主人公──否、4人かもしれないけれど──の内では、やっぱりファラーのキャラクタがいちばん好きだった。
正直、3人、あるいは4人の主人公みんな色々サイテーなのだけれど。
ファラーの生立ちと森のものの夢の石室があのように繋がるのはカタルシスを覚えるほどだったし、色無子であった彼が書物であるという、白紙の、あるいは空白であったという繋がりも綺麗で得心できるものだった。
白紙の頁だからこそ、多くのものたち、醜かったり千切れかけているものたちを引き連れることができたのは、それらが『文字』の象徴だったからなのではないかしらと思って楽しくなった。
主人公たちの中でも、彼の終焉が最も納得がいったというのもあると思う。異界の果てで文字を綴り紡ぎ続けるファラーの血筋が、夜の種族となって、語られない歴史を受け継ぎ続けるの、訳者さんの後記とも相俟って最高だと思う。
サフィアーンの無垢さは微笑ましいけど罪は罪だし利権者を家族で固めるの好きじゃないし、アーダムはアーダムでお前隊長とか殺害したの忘れてないからななに満たされてんだ、という気持ちなので(個人的な好き嫌いです)。
そして、アイユーブ。
あれは、そういう仕込みだったのだな。あの第一部前の違和感は、そういうことだったのだな、と。
彼がファラーの血族かどうかは不明だけれど、血は淆ざるからこそ美しく、もしくは語りを聴いて物語を共有することで『夜の種族』は伝播するとのことであれば、物語の永続性があまりに綺麗に描かれていて、好きだなぁと感じた。
訳者さんの後記まで含めてでこの日本語版は完成感あるので、やはり最後はこれで締めたい。
ファラー?
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千夜一夜物語のスケールをもっと大きくしたような物語。
先が読めずラスト一気にのめり込む…!!
Twitterのフォロワーさんから、読書好きな人に是非読んでほしいとおすすめいただいた作品。
作中作と聞いていたので、想像するのは『千夜一夜物語』。
表紙もそれっぽい色気たっぷりです(。-∀-)にや♡
『千夜一夜物語』は、なんせ長い作品なので、バートン版の一巻しか読んだ事ありませんが、世界観にハマりまして★5でした♡
(なぜか妻が奴隷と浮気しがち笑笑)
『アラビアの夜の種族』は作者不詳の作品らしく、匿名の書物として世にあらわれたそうです。
翻訳書なのですが、細かいセリフの訳が地味にジワります(*´艸`)
魔導士ファラーが勇者サフィアーンに初めて出会った時のセリフ。
ーーーーー
「ペラペラとアラビア語をしゃべれるだけじゃ粧 証拠にはならない?だめかい?自己紹介とか、ほしい?」
「ほしいです」と即座に応じたのは、やはりサフィアーン。「なみの人間にしては、ちょっと御身は美しすぎます」
「きみだって美しいよ」
「誉めあってどうするんですか」
(本文より)
ーーーーー
お笑いコンビのテンポ笑笑
魔導士ファラーが、ドゥドゥ姫に魔物の死体を献上した時の会話。
ーーーーー
「まあ!ミイラはち◯◯◯も枯れはててますのね!」
それから、御簾を通してですが視線をあげて殊勲者のファラーにむけ、
「あなたはどうかしら?あなたの◯ん◯◯は元気いっぱい、みずみずしいんですの?」
(中略)
「たしかに正気に満ちて、つやつやと輝いていると自負しております」
「それは結構!男子の大事は陽根、そして女の大事は玉門ですものね!やっぱり萎びちゃったらいけないわ!それでは魔羅もみずみずしい妖術師のあなた、偉業をどのような達成したのか、教えていただけます?」
(本文より)
ーーーーー
いや、先に偉業達成の詳細聞くだろ!笑
。゚(゚ノ∀`゚)゚。アヒャヒャ
いや、すみません。
そんなちょっとした楽しみ方もありますが(下ネタ好きなだけなのがバレた)魅力は本編にあり!!
なかなかのスケールのでかさです!!
舞台は1213年 カイロ。
ナポレオン率いるフランク族がエジプトに向かって侵攻中。
少数独裁の指導者の第3位イスマーイール・ベイ。
彼に仕える執事の筆頭アイユーブは、秘策の提案をします。
ナポレオンはかなりの読書家。
『災厄の書』を手中に収めた。
この本を読むと没頭し、耽溺し、戦闘能力を無くすという。
アイユーブが、災厄の書のフランス語訳を作る。
これをフランク族にプレゼントし、トップを狂わせ軍勢を破滅させる。
という作戦。
果たして作戦は成功するのか。
奇書『災厄の書』の内���は?!
という突拍子もない作戦から始まる物語。笑
既に面白そう!!
この『災厄の書』の物語が中心で、これまたすごい!!⁝(ᵒ̴̶̷᷄⌑ ᵒ̴̶̷᷅ )⁝
とにかく読んでほしい!!
『美しい二人の拾い子ファラーとサフィアーンの物語(呪われたゾハル(土星)の地下宝物殿)』
というタイトルで物語が始まります。
あまり内容は言えませんが、大スケール地下都市冒険アラビアンファンタジーです!!(ごめん、なんか安っぽい言い方しかできない…)(-∀-`; )
ーーーーー
書物とはふしぎです。一冊の書物はいずこより来るのか?その書物を紐解いている、読者の眼前にです。読者は一人であり、書物は一冊。なぜ、その一冊を選んでいるのでしょう。ある種の運命で?なぜ、その一冊とーーー同じ時間を共有してーーー読むのでしょう?読まれている瞬間、同じ時間を生きているのは、その一冊と、その一人だけなのです。
(本文より)
ーーーーー
ひゃーーー…!!!
心に沁みました…(⸝⸝⸝ᵒ̴̶̷̥́ ⌑ ᵒ̴̶̷̣̥̀⸝⸝⸝)♡*゜
やばい…『本』を愛してやまない人の胸に刺さるお言葉…♡
しびれます…。
一冊と同じ時間を生きてるの。(気に入ってる笑)
めちゃめちゃ面白いので、おすすめです!
文庫本で3巻あるので、読み応え抜群!
私は単行本を読みました。(厚みがあり腕が疲れるので文庫本をおすすめします…)
故に読み終えた後は、少々アラビアン・ロスに陥りました…(༎ຶ⌑༎ຶ)
う〜…語らいたい…!!!
とにかく読後の余韻が凄い!!!
読んで良かった作品です!!!・:*+.(( °ω° ))/.:+
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最初に断っておくと、読んだのは文庫版。だけど3巻通して感想を書きたかったので、ご了承ください。
評判が高いから読む気になったものの、その評判で構えてしまう部分があった。それと微妙にくだけた調子の会話と、物語の雰囲気にギャップを感じてしまい、最初は乗りにくかったんだ。
とはいえ語られる物語の中の最初の主人公アーダムのくだりとか、行く末がはっきりするまで眠る気になれず、朝を迎えた。最初はのりにくかった気がしたけど、けっこう最初からひきこまれてたのかもしんない。
ナポレオンに攻められたエジブトが、兵器として「災厄の書」という本を作るというのが基本的なスジ。災厄の書を作ろうとしている側の物語と、その災厄の書の中身の物語が並行して語られる。
読み進むうちに自分がその「災厄の書」に魅入られているような錯覚を覚え、そこからさらに物語に気持ちがのめりこんでいく。
面白かった。この物語は、本が好きで、かつモノとしても本が好きな人間にとっては、たまらない魅力があるんじゃないだろうか。
物語としてはぜんぜん違うんだけど、なんか恩田陸の『三月は深き紅の淵を』を読み返したくなった。あれも本への愛情の物語だから。