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定本木村伊兵衛 みんなのレビュー
- 木村 伊兵衛 (著), 田沼 武能 (監修), 金子 隆一 (監修)
- 税込価格:15,400円(140pt)
- 出版社:朝日新聞社
- 発行年月:2002.3
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紙の本
未発表作を含む二六五点の秀作・傑作集
2002/04/16 22:15
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:安原顕 - この投稿者のレビュー一覧を見る
表の腰帯には「傑作、埋もれた名作、未発表作の厳選二六五点[定価で割ると、一枚わずかに五二円強!]を集成した決定写真集! 蘇る昭和の人と街」とあり、帯裏には「六大特徴」として、以下の惹句がある。
一、戦前・戦後の名作、傑作をすべて収録。
二、雑誌発表のまま眠っていた作品を発掘し、木村伊兵衛自身による写真選びを再現。
三、パリなど三度のヨーロッパ取材のカラー作品を収録。
四、戦前・戦後の未発表作品を収録。
五、ダブルトーン(二色刷り)による最新印刷で柔らかな「伊兵衛調」を再現。
六、新発見の事実多数を含む詳細な年譜とデータ。
略歴についても、ごく簡単に紹介しておくと、 木村伊兵衛(一九〇一〜七四)は明治三四年、東京・下谷生まれ。子供の頃より玩具のカメラを手にし、成人してからは写真クラブに入って頭角を現す。
一九三〇(昭和五)年、ライカを入手、花王石鹸の広告写真を撮ることでプロ・デビュー。以来、スナップ、ポートレート、ドキュメントなど多彩な分野で活躍。中でも「ライカによる文芸家肖像写真展」は話題を呼ぶ。戦後は「N夫人[中山正子]」「マダムS[佐藤美子]」など、女性の肖像写真でも数多くの名作を残し、「名人」とも言われた。
彼はまた終生、東京のスナップショットを撮り続けた写真家でもあるが、それらの写真は貴重な「記録」にもなっている。生前、纏めらることのなかった「秋田」も、本写真集の見どころの一つだろう。
本書には、一九三二年から七三年までの作品が載っているが、一九三六年の沖縄那覇市。一九三七〜四〇年当時の幸田露伴、志賀直哉、泉鏡花と里見〓(弓偏に享)、横山大観、鏑木清方、一九五〇年の谷崎潤一郎、五四年の永井荷風らのポートレート。
一九五五年のモノクロームによるパリの写真。そして一六九ページから一九〇ページまで、パリ他の「カラー写真」も挿入され、われわれはほっと心なごんだりする。
そして、これらの写真を見ての結論は、またしても日本と欧州との文化の差だった。
木村伊兵衛は一九四五年の東京大空襲で日暮里の自宅が全焼、ネガもプリントもすべて焼失する。一九五〇年代の湯島や西片町、浅草など下町の写真を見ていると、まだまだ日本独特の雰囲気が伺えるので、戦前の東京の写真が焼失したのは、惜しまれてならない。
それにしてもパリと日本の差はどうだろう。巷に溢れる色彩感覚、人々服装の多彩さ、何よりも表情が違う。
すでに敗戦から六〇年もの時が流れ、欧米に出かける日本人の数も年々増え続けているが、日本人の色彩感覚は上がるどころか下がる一方である。
東南アジアには行ったことはないが、東京をはじめ、首都圏に林立する膨大な数のネオン群、また電車やタクシーなど、すべての空間にも薄汚い広告が氾濫、さらにはパチンコ店をはじめ、街に氾濫する騒音を誰一人として「汚い! うるさい!」と感じないのはなぜなのか。
ぼくは欧米崇拝者ではないが、パリには日本のようなネオンも広告も皆無、音楽も流れてはいない。むろん、そのフランスとて核を保有、米国の湾岸戦争やアフガンへの報復戦争については日本同様「yes」である。それでもだ、まだまだ良いところは山のようにある。
日本は政官業ともに腐り切り、経済は破綻したが変革の兆すら見えず、日本人はいまなお、政府が何とかするだろうと高を括っているのだ。
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