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ベリー公のいとも美しき時禱書 みんなのレビュー
- フランソワ・ベスフルグ (著), エバーハルト・ケーニヒ (著), 富永 良子 (訳)
- 税込価格:15,400円(140pt)
- 出版社:岩波書店
- 発行年月:2002.1
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紙の本
著名な時祷書、四冊を収めた実に美麗な豪華本!
2002/04/16 22:15
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投稿者:安原顕 - この投稿者のレビュー一覧を見る
先日、柳瀬尚紀さんに会ったら、彼の翻訳したホーフスタッター『ゲーデル、エッシャー、バッハ』(白揚社)はすでに通算一〇万部、ジョイス『フィネガンズ・ウェイク』(河出書房新社)も五万部売れていると言い、「日本の読者も、捨てたもんではないでしょう」と、笑っていた。この数字にはぼくも驚いた。
その意味ではこの『時祷書』も、読者層はまるで違うが、案外売れるのかもしれない。何しろ綺麗な本だからだ。
そう言えば、ぼくが昔籍を置いていた中央公論社でも、『時祷書』を廉価なムックで出したら売れたことを思い出す。
『新潮世界美術辞典』によれば、時祷書とは、〈ローマ・カトリック教会において、平信徒が個人的に使用するためラテン語または当該国語で書かれた「聖母への祈りを中心とする祈祷書」。
日々の定時課の祈祷文、聖歌、他の典礼文から成り、通例、月暦図やゾディアックを伴うカレンダーを合わせている。一四、五世紀のフランス、フランドルで数多く製作された。ランブール兄弟『ベリー公のいとも美しき時祷書』などが名高い〉とあった。
「月暦図」とは一年一二か月の各種の象徴像またはそれぞれの月に固有の行事、風俗、労働の像などを用いて表したもの。特に中世末期の時祷書の挿絵の中では豊かな自然描写が描かれるようになり、やがて近世になると、それが独立した一連のタブロー画に発展する。
「ゾディアック」とは黄道帯、獣帯、黄道十二宮のこと。太陽が回る円帯を星座(宮)より12等分した画像帯。牡羊座(白羊宮)から魚座(双魚宮)までの12から成る。
古代バビロニア人は黄道帯を12に分かち、それぞれに星座を当て、一年間の太陰暦による一二か月に対応させた。ベリー公の「いとも美しき時祷書」とは、中世末期に製作された絢爛豪華な写本のうちの一冊に付された呼称である。
本書には『いとも美しき聖母時祷書』(パリ、フランス図書館)、一九〇四年の火災で焼失したが、モノクロの写真が撮られていた『トリノの祈祷書』(トリノ、国立図書館旧蔵)、『ルーヴルの断片集』(パリ、ルーヴル美術館)、『トリノ=ミラノのミサ典書』(トリノ市立美術館)が収められている。
岩波書店は、ファクシミリ出版を幾つか手がけており、これまでにも『クロイの時祷書』(一一〇万円。オーストリア国立図書館蔵)『トリノ=ミラノ時祷書』(一二七万円。トリノ市立美術館蔵)『レオナルド・ダ・ヴィンチおよびレオナルド派素描集』(三三万円。トリノ王立図書館蔵)『同』(三三万円。在米コレクション)『ダ・ヴィンチ素描集 I』(一二八万円。ウィンザー城王室図書館蔵)『同 II』(一五五万円。同蔵)『同 鳥に飛翔に関する手稿』(四万八千円。トリノ王立図書館蔵)などがあり、三月一八日には全訳『マルコ・ポーロ 東方見聞録 驚異の書』(一万四千円)が、さらなる超弩級は、全世界で七五〇セット限定、その内日本では四〇セット限定販売の『ボルソ・デステの聖書』(二巻で二八〇万円。エステンセ図書館蔵)、アローヨ写本『ベアトゥス黙示録注解』(一一五万円。フランス国立図書館蔵)なんてものまである。
いずれにしても図書館向きゆえ、全国の図書館は頑張って購入して欲しい。
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