紙の本
働く猫の物語
2002/08/20 17:46
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うみひこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
これは、ウイスキーの酒蔵、蒸留所で働く猫の物語だ。スコットランドでは、酒蔵に必ず猫がいて、ネズミたちを追い払うお役目を果たしているという。作者が実在した様々な猫の逸話を元に作り上げた物語が、ヌースと言う年老いた猫の口を借りて語られていく。子猫がどのようにして里親の猫に躾けられて、りっぱなウイスキー・キャットになっていくのか、エネミー(敵)と名付けられたネズミたちとどのように戦い抜いていったのか、次から次へと話は進んでいく。何と言っても、物語の中での酒蔵で働く男たちの猫への接し方がいい。みんな同僚として猫を扱い、猫に怪我をさせるようなことをしでかした男は非難される。働く場所で「同等」ということがこう胸を打つのは、何故だろう。この他にも、この短い物語には、酒蔵の外に広がるスコットランドの自然や動物たちの姿が書き込まれ、魅力に満ちた世界を覗かせてくれる。
そろそろ夏が凋落の色を見せ始めた。来るべき秋にも、琥珀色の楽しみがあることを思い起こさせてくれる、そんな魅力もある本である。
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スコットランドではかつてウイスキー蒸留所で猫を飼っていた。
ペットとしてではなく「用心棒」として、である。
スコッチウイスキーの原料は麦。
当然、ネズミや鳥類の格好の餌になる。
そんな「害敵」から大事な財産を守る為人間は猫の力を借りたのだ。
この「ウイスキー・キャット」こそが「エネミー(害敵)」と闘った猫にゃんなのである。
このお話は、猫の目線から描かれている。
C.W.ニコル氏の文体は老人(老猫)で語られており、およそ可愛いとは言い切れないが(笑)、猫っぽさが伝わってくる(かな?)
この本ではかなり詳細にウイスキー蒸留所の風景が描かれている為、ウイスキー造りを知らない人が見るとひょっとすると「?」が飛び交うかもしれないね(笑)
お話の主体は作り話なのだけれども、その中に出てくる土地や猫にゃんの中には実在しており、決してこの話はただの作り話ではないと分かって貰える(と思う)
ネコとウイスキーをこよなく愛する僕は、この本は必携である(笑)
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猫好きでウイスキー好きの私には思い切りストライクな本でした。
静かな秋の夜にスコッチを舐めながら読んで下さい。幸せな気持ちになれます。1984年版であれば写真も素晴しいです。
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自然学者・・か?なんかどっかで名前聞いたので借りてみた。
スコットランドのウイスキー酒蔵には大麦を狙う凶暴なネズミがいて、それらと闘う猫がいるって話。猫の視点の作品。かつ面白いのは、登場する猫が実在の猫だって言い張り、猫にインタビューしたとかいう話。実際、ウイスキーの酒蔵を守る猫は存在し、その逸話まであるという・・
物語自体は老齢になった主人公が自分の戦い、そして自分の師匠のアザー・キャットとのやりとりを語る。手の込んだ構成ではないけど、動物の視点というコミカルな形式ながら、世間一般に知られてない戦いの世界を描くというジャンルとしては人並みな作品。
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ウイスキーの話とニコル氏に興味があり手に取る。ウイスキー醸造所のウイスキーキャットが主人公の話。内容としては小学生向けのシンプルな内容なので、読み物としては物足りない。
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ウイスキーの蒸留所でネズミ捕りを生業にした猫の回想記。「わし」の育ての親で、師匠で、友人で、愛しい女(ひと)と、蒸留所でのできごとを語り口調で記した1冊。映画化も検討されていたけれど、頑として断りつづけたという話が綴られたC.W.ニコルのあとがきも(☆2.5)