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チューリップ・ブック イスラームからオランダへ、人々を魅了した花の文化史 みんなのレビュー

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紙の本

チューリップ熱をたどる旅

2002/03/12 12:59

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:三中信宏 - この投稿者のレビュー一覧を見る

17世紀・黄金時代のオランダを彩るさまざまなチューリップ品種群と,それを取り巻く人間たちが演じた「チューリップ・バブル」については,最近になって多くの本が出版されている(注).スピルバーグ監督による映画化も計画されているという.本書は,この現代版「チューリップ熱」を読み解くための貴重な資料を豊富なカラー図版とともに読者に提供している.

チューリップの原産地であるオスマン・トルコの宮廷ではフルートグラスにも似た形の柘榴色のチューリップ(p.144)が栽培されていたという.ヨーロッパに持ちこまれた後,経済力をつけた黄金時代のオランダで大流行したチューリップは,多くの園芸投機家(フローリスト)たちを成り上がらせると同時に破産の憂き目をも味わわせた.

巻末の「ワールモントとハールフートの対話」は,とても17世紀のこととは思えない.当時のオランダの労働者の平均年収が200フルデンだったのに,アドミラール・ファン・エンクハイゼンの球根ひとつに5400フルデンもの値がついたとか(p.273).しかも,土地転がしならぬ「球根転がし」で泡銭を稼ぐことも日常的だったそうだ.チューリップ・バブルの崩壊(1637年)はこれまた印象的.「バルブ(球根)をめぐるバブル」(p.176)は短命だった.

本書は,チューリップ育種の専門家による品種解説,経済バブル現象としてのチューリップ狂時代の考察(翻訳),原産地イスラム世界におけるチューリップ,オランダ美術に描かれたチューリップの変遷,そして17世紀フローリストの基礎資料(翻訳)から成る.いずれの章も類書にはない資料的価値があり,たいへん参考になる.とりわけ,フェルメール論で有名な小林頼子さんによるオランダ静物画の論考は楽しめる.ヤマンラール水野美奈子さんのイスラム圏チューリップの話題も新鮮だ.

注)関連書
マイク・ダッシュ『チューリップ・バブル』2000.
アンナ・パヴォード『チューリップ』2001.
デボラ・モガー『チューリップ熱』2001.

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【目次】
はじめに 5
チューリップ品種の歴史(國重正昭) 11
 1.チューリップの歴史 13
 2.原種の時代 16
 3.トルコのチューリップ 28
 4.初期オランダの品種 32
 5.現在の品種グループ 36
 コラム:日本人が初めて目にしたチューリップ 49
チューリップ狂時代(ウィルフリッド・ブラント/南日育子訳) 55
 1.チューリップの横顔 57
 2.オランダのチューリップ狂時代 65
 3.イギリスのチューリップ狂時代 76
 4.トルコのチューリップ狂時代 80
 5.チューリップ,昨日,今日 87
イスラーム世界のチューリップ(ヤマンラール水野美奈子) 101
 1.はじめに 103
 2.トルコ美術とチューリップ 107
 3.チューリップの故郷 131
 4.チューリップの品種改良 139
 5.チューリップという名称 146
 6.チューリップの象徴性 148
 7.むすび 151
天上の甘露を享ける花
——十七世紀オランダに咲いたチューリップの肖像(小林頼子) 153
 1.「シャロンのバラ」 155
 2.東から西へ 158
 3.チューリッポマニア 166
 4.チューリップの肖像 182
 5.むすび 232
ワールモントとハールフートの対話
——フローラの興隆と衰退をめぐって(小林頼子・中島恵訳) 237
 第一の対話(1637年) 239
 第二の対話(1637年) 254
 第三の対話(1637年) 265
 *ハールフートがかかわった球根の値段表 [272-275]
 *球根の実物大見本 [276-277]
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