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紙の本
いのちを支える食を訪ねる日本紀行
2002/03/17 18:04
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投稿者:格 - この投稿者のレビュー一覧を見る
おいしいものを食べ歩く,というわけではなく,日本人の命をささえてきた昔からの食を求めて,日本の各地を訪ねていく.20編.
最初の1編が『デエコバク』.『デエコ』は大根.『バク』は麦から来ている.山梨県の上野原町というから東京からそれほど遠くない地だが,斜面ばかりのため,米がまったく取れないことから,麦に米は一割程度しかまぜない,それに,大根をたっぷりまぜたものを主食としている.それが日本一の長寿村なのだそうだ.利いたことのない話だが,驚きである.もっとも今の90歳を越す人ですら,現在はちょっと麦が入っていると,ゴミが入っているという話が紹介されており,『デエコバク』が普段食べられていたのは,いったい,いつの話か,と思われる.実際,『逆さ仏』と呼ばれる親より子が先に死ぬ現象が,この村でも急増しているという.都会へ通う若い人の食生活が都会のものになっているからであろう.
また,著者は実際に『デエコバク』を食べることができず,『バク』しか食べていない.それでもまずくて,降参している.どっちの方がまずいかはよく分からないが..
『あらゆる文化を正しく理解するためには,その原点,原型を知ることが大切』という考えに基づくこの紀行であり,蓴菜の項では,万葉集などの古典文学でどの野菜がどれだけ歌に現れてくるかの研究の紹介をしている.最多は芹,次が蕨,三番目が蓴菜だそうだ.昔はそれほどポピュラーな野菜だったのだろうか.地方によるのかもしれない.関西出身の著者の大好物だというが,著者も東京に引っ越してからはほとんど食べていない,という.私も小さいころから,家で食べた記憶はない.こういうものに対しても,専業の農家がある,というのは意外といえば意外.
一般に,旅の目的の大きなものに,『食』があるが,このような地味な食物,昔から食べてきたものの本場を探す旅も面白い.もっとも,この本の考察はそれほど深いものではなく,週刊誌連載らしく,軽い読み物という程度である.
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