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紙の本
引き込まれました
2003/09/10 12:56
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:メイトト - この投稿者のレビュー一覧を見る
1巻で淡々と語られる人間模様に少々うんざりするのは私だけではないはずだが、そこは小野不由美。
中盤から一気に物語の中に読者を引きずり込んでくれる。
推理小説のように読者を巻き込み一緒に手がかりを探そうと
脳みそをしぼって考えているところに、あっと驚く真相が待っているという寸法。
後は憎むべき屍鬼たちを一掃するだけ!
と思いたいのだが、そうはいかない。
自分の家族、友人、親戚。
そんな近しい人間が屍鬼になってしまうという悲しい現実。
それでも彼らを一掃しなければ自分たちが襲われる。
屍鬼がやってくる恐怖感もさることながら、
屍鬼を狩る人々の、何かに憑かれたような暴力的な様子は
集団心理の恐ろしさを思い起こさせる。
中盤までは狩る側の夏野や敏夫に感情移入するのだが、
残忍な屍鬼狩りが始まると、静信のように自分の命に無頓着とまではいかなくともやはり狩りに疑問を感じざるを得なかった。
屍鬼となってしまった家族や隣人の心までが鬼に変わってしまえばいいのに
心は人間の時のまま。罪悪感を感じ、恐怖感も感じれば、痛みだって感じる。
そんな相手を頓着せずに自分には殺せるだろうかと色々と考えさせられた。
読後も登場人物たちのその後について考えることになるので、
読む人それぞれの中で物語りは終わらずに熟成されていく。
そんな小説だ。
紙の本
ジャパニーズホラーの大作
2016/08/12 23:26
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mino - この投稿者のレビュー一覧を見る
ジャパニーズ・ホラーの大作『屍鬼』、読み終わりました。
文庫版の総ページ数は2,563ページ。徹底的に作り込まれた舞台装置がストーリーを盛り上げ、死に包囲された村が屍鬼に侵略されていく様を描きます。
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最終巻、村を自らの手に取り戻そうとついに村人たちが蜂起します。しかし、村の運命は夏のあの日から既に決まっている…。
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第一巻の読みにくさに定評のある屍鬼ですが、一度この世界に入り込んでしまうと最終巻まで止まりません。
最終巻は、屍鬼よりも人間の恐ろしさのほうが強調されていました。一番怖い巻だったと思います。著者はきっとこれが描きたかったんですね。
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読後、必ず一巻を読み直したくなります。興味のある方は、ぜひまとまった時間に、必ず五冊手元に置いて(続きをネットで購入して届くまでもどかしい思いをしました笑) お読みください。
紙の本
怖さの種類が変化する作品
2015/06/07 23:21
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:北嶺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品の内容について一切知らない状態から読みました。読み進めていくにつれ、疫病→怪物(屍鬼)→人間の狂気と、恐怖の対象が変わっていく作品でした。
ただこの作品の最大のすごさは、登場人物の多さと、それら人物を描き分けることができる作者の技量だと思います。それぞれの人物に共感できる部分があり、自分とは違う性格の登場人物にも感情移入ができました。
屍鬼というタイトルですが、人間の心が描かれた作品だと思います。