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屍鬼 5 みんなのレビュー

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みんなのレビュー237件

みんなの評価4.2

評価内訳

234 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

これほど

2021/09/13 17:55

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:凛子 - この投稿者のレビュー一覧を見る

これほど好きな本に出会えることも少ない。
こんな本に出会いたいために本を読んでいるのに、出会ってしまうと、次にこれほどのめり込める本と出会えるまでの時の長さを思って、呆然としてしまう。

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紙の本

けなげな少年少女と糞坊主の悲劇

2016/08/23 12:14

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:saihikarunogo - この投稿者のレビュー一覧を見る

〔ネタバレあり〕

文庫本で全五巻、一気に読んだ。賢くて勇気があってうわべは冷たくても実は優しく、しかも、ハンサムな少年、夏野が死んでから、私は、若御院のことを、この糞坊主!ふぬけ!と罵り始め、第五巻に到っては、破戒坊主!と罵り続けたが、最後には唖然となって、結局おまえはそういうやつだったのか!そこまでいけば、もう、ええわ……と、言うしかなかった。

若御院が屍鬼に同情するのはいい。歴史上はむしろ反対に、残酷な弾圧や虐殺、戦争を指導し煽った聖職者の例がごまんとある。十字軍を送り出したローマ法王、魔女狩りや異端審問をおこなった聖職者、徳川幕府のキリシタン弾圧の法令を起草した金地院崇伝、明治維新の神仏分離令をいいことに廃仏毀釈を暴走させた神官、ボスニア=ヘルツェゴビナ戦争でアジテーターとなったキリスト教聖職者……。

外場村の宗教的支柱である寺の若御院であるとともに、小説家でもある室井静信ならば、そのような悪例とは異なって、屍鬼に対して立ち上がった人々が暴走せずに理性的に被害を食い止められるように、指導できるのではないか。と、私は初め、期待した。だけど、いつまでたっても、わけのわからん小説をぐるぐるぐるぐるとこねくりまわし続けるばっかりで、尾崎敏夫のほうから働きかけないかぎり、自ら村人を守るために行動しようとしない。

尾崎敏夫は優れた医者で、屍鬼の被害にあった患者が死ぬまでや、心肺停止した患者が「おきあがり」になるまでを経過観察しその機序を解明して、静信に説明するくだりには、心底、感嘆した。屍鬼は一回では一人の人間のすべての血を飲み干すことはできない、一人の人間が死ぬには、五回、あるいは五人の屍鬼による吸血が必要である。尾崎敏夫の解説は、『白い巨塔』の山崎豊子が萩尾望都の『ポーの一族』を書き直したらこうもなるだろうか、と思うような、みごとなものだった。さらに、室井静信とともに、亡くなった患者の墓を複数暴いて、すべての死者が「おきあがり」になるわけではないことも確認する。ただ、尾崎敏夫は、ものごとの実際的な効果を求めるに性急なあまり、手段を選ばないきらいがある。だからこそ、親友の室井静信と協力すれば、もっと穏当な、理性的な防御策を講じることができたはずではないのか、と思わずにいられない。

屍鬼といっても、もとは、村人のそれぞれの家族だったり友人だったりするのだ。村人たちのなかには、「おきあがり」現象が起こっている事実を知ったあとも、残酷な手段で屍鬼を倒すには忍びない、という人々もいた。夏野もまた、仲間を守るための手を打ったあと、屍鬼となった親友を受け入れた。幸いにも、夏野は、「おきあがり」にならなかったが。あるいは、「おきあがり」になっても、屍鬼になることを受け入れず、苦しみを選んだ律子もいる。律子は、なんと聡明でけなげで、そして、痛切な最期だったことか!

墓暴きは、夏野もかおりや昭とともにおこなっており、尾崎たちとほとんど同時に真相に到達していた。早くこの二つのグループが情報交換する時が来てほしい、と私は祈る思いだった。だが、その時が来る前に、夏野が死んでしまった。

夏野たちがしたことを、かおりから聞いたとき、室井静信は、可哀想なことをした、と言った。おまえ、しらじらしい、ちゅうんや!かおりと昭が、どんだけ、こわい、つらい思いをしたか、わかってんのか! 

屍鬼となっても、生前と性格は変わらない。いい人はいい人のまま、いやな奴はいやな奴のまま。

>――恵と正雄は結局のところ、よく似ている。

この一文には、思わず、くすりと笑った。

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2004/09/25 13:21

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2004/10/04 11:23

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2004/11/07 06:00

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2005/04/20 23:34

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2005/07/17 19:48

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2007/01/14 17:51

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2005/10/25 06:54

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2006/01/20 03:46

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2006/01/31 18:41

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2006/02/21 16:44

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