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紙の本
2002/05/05朝刊
2002/05/24 22:16
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投稿者:日本経済新聞 - この投稿者のレビュー一覧を見る
現代建築の思想的背景を鋭く読み解いてきた評論家による最新の論集だ。「9・11」の世界貿易センタービル崩壊以後、「何をどう建てればよいか」がますます重い問いになっている。この重さに著者は正面から向き合っている。
ナチス・ドイツによるユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)の忌まわしい舞台となったアウシュヴィッツ強制収容所が解放されて、五十年以上がたつ。そのまま第二次大戦後の歴史と重なる時間をあえて、「アウシュヴィッツ以後」と呼ぶことに本書の眼目がある。忘れようとしても忘れることのできない記憶を、建築という造形に探ろうという意思が各論に貫かれている。
例えば、ホロコーストを記録するベルリンの「ユダヤ博物館」(二〇〇一年)。暗いトンネルが続き、入場者は自分が今どこにいるのかわからないような感覚を抱くよう設計されている。この建築は二十世紀という時代を象徴する負の遺産を「代表しているように見える」と著者は言う。
空の本箱を地下に埋めた同じベルリンの「本が一冊もない図書館」。見る者は広場にはめ込まれたガラス板を通して、本箱だけの四角い真っ白な部屋をのぞき込む。本と建築の関係を考える著者は、どうしようもない「記憶の重さ」を指摘する。
日本の建築はほとんど登場しない。浮き彫りにされた「日本建築の奇妙な『軽さ』」こそ、読者に投げかけた本当の問いかもしれない。
(C) 日本経済新聞社 1997-2001
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