自分は見事に生きたかどうか。本人は問わずとも、その答えは人生にある。
2002/05/10 22:40
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ばんばん - この投稿者のレビュー一覧を見る
楽毅の才を高く評価した燕の昭王の三顧の礼により、楽毅は燕に向かう。真に人材を求め、治世にも優れた昭王は、強国斉を打ち破りたいという願いを持った人であった。その願いを叶えるため、楽毅も招かれたのである。
そして、楽毅もまた、自分を信じ、実力を発揮する場を与えてくれた王に応えたいという気持ちを抱き、敬愛する孟嘗君を追い出した国でもある斉を打ち破るという目的に向かって邁進する。そして、後世の語り草にもなる、見事な戦いと占領行政を見せ、斉の大半を平定するのだ。
しかし、栄光に満ちた日々は信じてくれた王の死により、意図せぬ更迭を受けることより終わる。そして楽毅は亡命し、燕はほとんど手に入れた斉を失うことになる。
その生涯において、見事に生きたかどうか。
自らが提起した質問にはその人生で十分に答えていると言えよう。見事な生き様だ。
投稿元:
レビューを見る
史記にも出てくる楽毅の活躍が描かれています。燕の将軍となり連合軍を率いて、斉に雪辱を晴らしますが・・・。
投稿元:
レビューを見る
4巻編成の楽毅の最終巻。
祖国・中山国の滅亡。趙の武霊王の殺害。楽毅の燕への逃避行。燕王の器量。郭隗の推薦。
忠将・郊昔の苦悩。
どれをとっても、何か思わずにはいられない話がたくさん詰め込まれた最終巻。
あれだけ壮大で強豪だった斉が、彼によってほぼ落とされる彼の能力の凄さ。
これが、名将・楽毅だ! と言える一冊です。
また、王の皇子が暗愚だと、名将が死ぬ。というのもこの本に書かれる歴史を以て知ることができるはずです。
「信義」とは、何か? というのが少し解った気がしました。
とにかく、オススメ!
投稿元:
レビューを見る
楽毅は、中国の戦国時代中期(紀元前四から三世紀)に生きた小国の武将、政治家であり天才てきな軍略の持ち主でもあつた。
あの三国志の諸葛公明があこがれていた人物である。大国趙を相手に中山国滅亡までよく戦い抜きその後、燕王昭を、助け大国斉を攻めて5年のうちに7十余城を下す。歴史では、もしもは、ないが、もしもを、考えながら読むのも面白い。宮城谷さんの漢字力のすごさも楽しめる。
投稿元:
レビューを見る
宮城谷昌光さんの「孟嘗君」にはまって、この半年ほどの間に4回くらい読み返しました。
その間、徐々にBOOKOFFで「楽毅」全4巻を買い集めていたので、先日、ようやく「楽毅」を読み始め、ようやく読み終えました。
いずれも中国戦国時代に複数の国にまたがって活躍した政治家・武将ですが、“孟嘗君”は生国の斉を中心に活躍したものの斉の湣王に疎まれて魏に亡命、その後、燕の将軍として斉を一時は滅亡にまで追い込んだのが“楽毅”です。
戦国時代、最後は秦が統一しますが、この間、大国の栄枯盛衰が繰り広げられますが、その栄枯盛衰に非常に大きな影響を与えた“孟嘗君”と“楽毅”を、宮城谷昌光さんは「孟嘗君」「楽毅」の2作品で描かれています。
そして、「孟嘗君」の途中に“孟嘗君”が“楽毅”に対して期待し、密かに支援するシーンが描かれており、「楽毅」において“楽毅”は、常に“孟嘗君”を尊敬し、“孟嘗君”と自分を比較して省みて自分の進む道を選択していくことが描かれています。
作品としては2つに分かれていますが、激動の戦国時代の中で、この2人の活躍が繋がって描かれているわけです。
2人の活躍と書きましたが、実際、「楽毅」では、基本的に主人公は“楽毅”1人ですが、「孟嘗君」では“孟嘗君”の育ての親である“白圭”も前半の主役として描かれています。
なので、“白圭”“孟嘗君”“楽毅”の3人の活躍を2作品で…と言った方がイイかもわかりません。
この3人は、「常に人のために為す」ことを自分の目的に掲げています。
そして、人のために為すことにより、自らが激動の戦国時代にあって、王という立場でないにもかかわらず(一国の王でないからこそ)、世界の中心的な活躍をする人物としての立場を確立します。
単なる「英雄の活躍」ではなく、その「人となり」を形成していくところからをじっくり描いているところに、「孟嘗君」「楽毅」の2作品のすばらしさがあるように思います。
中国戦国時代の人物伝・読み物として捉えるのではなく、今の自分にとって、人としての在り方を問う名作でしょう。
投稿元:
レビューを見る
楽毅とは
人はこうあるべきの見本のような存在
礼を尽くし、常に天に向かって自分の有るべき姿を自問する。
まぶしすぎて背筋が伸びる思いです。
何度でも読み返した本です。
投稿元:
レビューを見る
・人は不運故に、胆知を練り、知恵を育てる。
・身内優先の仁、他者への愛である義。義をきわめることで仁にせまる。
・他人を侮蔑すると、感情の濃度が高くなりすぎて、精神の働きを鈍化させ、人としての成長をとめてしまう。
・人は両眼を備えているのに、その両眼で人を見極めることができない。
・失敗を心の中で引きづり続けると、起死回生の機を損なう。
・内を修めないで、外に力を発揮することはできない。
・わかるということは知ることではなく、日常と非日常にいかすことでなければならない
・欲をたつことが、自分を守ることになる。
・家族だけではなく、他人のことをおもいやり、他人の心を容れて、他人のために尽くせば、自分だけでは決して会うことのできない自分に会える。
投稿元:
レビューを見る
人を率いるとはどういうことか?
孫子の兵法とはいかなるものか?
を実践した人ではなかろうか?
孫子の兵法をもう一度キチンと読み解くなってしまう一冊
投稿元:
レビューを見る
人〜生楽ありゃ苦もあるさ〜。
混沌があり、上って、堕ちての楽毅の大河
怒涛の展開で、最後の巻が一番面白うございました。
久々にじっくり読んだーという読後感を味わった。
しっかし中国の国名覚えにくいアルね。
投稿元:
レビューを見る
孟嘗君に続いての中国戦国時代のスーパースター小説。
楽毅のすごさもおもしろいけれども、歴史から学ぶこと、自分をわきまえること、引き際を見定めること、そんなことも感じ取れる小説だった。
おもしろかった。
投稿元:
レビューを見る
楽毅が孟嘗君とまみえるのは留学していた時以来で二度目のこと。中山は小国であったがゆえに楽毅は将軍となってからも順風満帆とはいえぬ苦境の連続を凌(しの)いできた。将は将を知る。孟嘗君は楽毅の孤独をすくい上げるように自らの思いを述べた。美しい名場面である。
http://sessendo.blogspot.jp/2014/07/blog-post_33.html
投稿元:
レビューを見る
楽毅,完結!
楽毅の勇名を轟かせることとなる,対斉の軍略が描かれた巻であった.
しかし,そこから晩年まではさらっと描かれていったように感じられた.
中山国時代の軍略を扱っている巻の方がワクワクしたし,感動したように思われたのは何故だろう.
いや,中山国時代の経験があったからこそ,燕での活躍があったのだ.そして天才が才を発揮するには,その上に立つ者の資質・そして両者の信頼関係も非常な重要な要素だったのである.
天才を用いる者の資質・信頼なくしては,天才も歴史に現れることができないということであろう.
投稿元:
レビューを見る
燕の昭王に気に入られ、燕の将軍となった楽毅の活躍を描く最終巻。
小国である燕が超大国である斉を攻略するという図式のクライマックス。
これはこの大作の前半部で悲劇的に描かれた、楽毅の祖国中山と趙の戦いを思い起こさせます。
ところが今回は上司にも恵まれ、有能な部下もたくさん。
そして何よりも、祖国を失ったがゆえに大きく成長した楽毅自身がある。
彼の熟達した戦術が、怒涛の勢いで超大国を呑み込んでいくさまは、読んでいて圧巻でした。
また、楽毅の上司である趙の昭王、この人の名君ぶりも印象的です。
楽毅と昭王の上下関係は、本当に理想的ですね。
孫子が説くように、そして秦の統一の基礎を作った商鞅と孝公が実際にそうであったように、偉業を成し遂げるには、絶妙な信頼のうえに成り立った上下関係が必須であるということでしょう。
さて、「楽毅」は、全編を通して、戦争が描かれる作品であります。
ですが戦争を描くことで、そこにある人間を描くことに成功しています。
今は平和な世の中ですが、だれの人生にも、なんらかの難局があるはず。
それを現代人にとっての戦争と呼ぶなら、この作品はその戦争を勝ち抜くための勇気をくれるものだと思います。
大切なことは、勝ち抜くといっても、手段を選ばずに、とにかく勝てばよろしい!というわけじゃないということ。
勝つことで信頼を得る、それがこの作品で生きている楽毅という名将の「見事な」勝ち方なのです。
困った時、楽毅ならどうするか……??と考える。
この作品を読めば、常に冷静に、謙虚に生きた名将が、読者にとっての戦争に、新しい活路を見出してくれるかもしれません。
投稿元:
レビューを見る
漫画キングダムから派生して、一世代前の大将軍楽穀の物語を堪能できました。
キングダムでも有名になった、楽穀が率いた合従軍が斉を滅亡寸前まで追い込みます。
白起や廉頗もちょっと出てきます。
投稿元:
レビューを見る
楽毅という人物を知る人は、それほど多くはないと思う。この4巻の解説で、秋山駿さんも、「何一つ知らなかった」と書かれている。世の中でそれほど知られていない人物を有名にしてしまう、この小説家の力量は素晴らしい。