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初学者にとって、金融工学ほど恐ろしいものはない。分からない・難しいと言った言葉が似合う工学が早々ないからだ。そんな金融工学を日経文庫らしく、「読みやすい・分かりやすい・安い」と3拍子揃って教えてくれるのが、これである。
さすがに金融工学なので、数学記述から逃れることはできないが、適宜具体例が入っていたり、複雑に数式が並んでいるだけではなく結果を俯瞰できるような作りになっている。
このレビューを書いている当人は全く金融工学を知らない人間であるから、どれだけ厳密に書かれているのか、は分からない。が、教科書で読んだ記述なんかよりはずっとわかりやすい。授業の参考文献に入れてくれればいいのに。
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金融工学の入門書です。
内容は厳密ですが端折られてる箇所があるのと、説明が少なく初めてやるには難しいです。
ルーエンバーガーの方が理解しやすいと思います。
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金融工学はこれまで全く知らなかったが、読んでみたらかなり面白かった。計量経済学が統計学の経済学版だとしたら、金融工学は統計学の金融論版、という印象を持った。内容的には、統計学の内容やマクロ経済学で出てくるモデルと結構重複しているところがあったので、そういう意味では自分の知っている部分が結構あったが、一方で金融工学ならではの概念があったりして、そういうところはとても勉強になった。
本書は入門書なので理論的なところを中心に抑えているが、では実際実証面ではどのような分析が行われ、どのくらい分析によって言い表すことができるのか、というところに興味を持った。
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金融工学とは、金融商品への投資の際のリスクやリターン、適正価格などを、工学的アプローチ( 数理モデル等を用いるもの )によって分析する学問です。
(※他にも金融工学は「不確実性に起因するリスクを分析する学問」として位置付けられることもあり、金融以外のさまざまな分野に応用されていたりもするそうです。)
本書はこの金融工学の1つの山場となる「ブラック・ショールズの公式」の導出を目指し、特にデリバティブの価格付理論に焦点を当てて、その周辺を解説しています。
やや専門的な内容なので、紙とペンを用意して数式を追い、1つずつ咀嚼しながら読みました。
スラスラ読める、といった類のものではありません。
前提知識の大まかな説明はあるものの、経済・金融に関する知識に加えて、確率論や統計の基礎知識も持っていた方が読みやすいかと思います。
加えて、本書は15年以上前に著された本であるという点も留意しておくべきだと思います。
金融工学をはじめとする現代経済学は、モデルの前提条件として必ずしも現実にそぐわない仮定を置いています。そのため現実経済をうまく説明できないことも多いのです。このことは近年相次ぐ金融危機によって、世間の共通認識となりつつあります。本書はこれらの事実が共有される以前に出版されているため、少なからず陳腐化している面もあるかと思います。
金融工学はまた、リーマンショックの要因の1つとしてもしばしば槍玉に上がります。2000年代後半に破綻したサブプライムローンは、金融工学に基づいて多数の金融商品に組み込まれていました。このようにあらゆる証券を組み合わせた金融商品はとても複雑で、中身を完全に把握している人間は殆どいなかったともいいます。前述のモデルの前提条件の問題に加えて、この複雑性が金融商品の問題点を隠してしまいました。そしてサブプライムローンの破綻によって、それが組み込まれていた多数の金融商品が不良債権と化し、リーマンショックへと繋がった、という指摘があるのです。
おそらく今日、世間では金融工学の限界のほうに関心が集まっているのではないでしょうか。
私自身も金融工学を学ぶためというよりは、その問題点を知るためという意味合いで本書を手にとりました。
実務に活かすことが目的であれば、本書を読むよりは最新の入門書を探した方がいいかもしれません。
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一般人には理解できない高度な数学的知識を応用した「悪魔の発明」のように言われることの多いデリバティブ
とくにリーマンショックの時期には、テレビなどでさかんにそう言われていた
今回この本を読んで思ったのは、金融工学そのものはごくまっとうな数学的手法を使った真面目な科学なんだなということ
未知の未来についてリスクを織り込んだ金融派生商品の適正な価格付けを探っていくのだが、ある種の知的冒険の雰囲気がある
有名なブラック・ショールズ方程式についても解説されている
数学については最低限の解説しかされていないので、確率・統計の前知識は必要かと