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紙の本
アンチ・ミステリの古典
2002/07/02 01:47
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あおい - この投稿者のレビュー一覧を見る
二十世紀スイス文学の代表的戯曲作家によるメタ・ミステリの先駆的傑作。42年前にハヤカワポケミスに収録された本書は、ミステリの文脈においてではなくホフマンスタール以来の世紀末ウィーン文学の系譜に連なる幻想小説の傑作として長らく復刊が望まれていたものなのだが、この作品は、もともと著者が決定的名声を得た『貴婦人故郷に帰る』の映画化の成功によってハリウッドに迎えられ、脚本を担当するも当時のハリウッドの自主規制コードのために充分な仕事が出来ず、最終的に制作された『真昼の出来事』という作品に不満を持ち、帰国後「推理小説へのレクイエム」という副題を添えて書き下ろされたという作品で、それがどういうわけか現在のハリウッドで「映画作家」として徐々に地位を固めつつあるショーン・ペン監督によって再映画化され、ここにこうして文庫による再刊が実現した。
その作品成立の経緯と副題からも察せられるように、この作品は「推理小説」というジャンルそのものについての批評性がその内容の多くを規定している。けれどもこれは「メタ・ミステリ」ではない。近頃の「新本格」ブームの対策と較べると本作品の批評性はむしろ素朴とさえいえ、ミステリファンがオタク批評的な新鮮味を求めるとすれば大いにがっかりすることになるだろう。
本来的に戯曲作家であり、散文詩のような哲学的エッセンスに満ちた文体によって描き出される物語は、むしろ最小の要素を的確に配することで主題を明確にさせる手法的意識に支えられており、その主題は「天才」という存在の不条理に焦点が当てられ、日本人にはなかなか理解しがたい神学的構図のもとで悲劇の廃墟としての喜劇があっさりと語られている。それはメタ・ミステリにおいて重要視される「探偵」という存在の英雄性と同じ系譜に属する問題ではあるのだが、そうであるがゆえに、まったくヒロイズムとは無縁なこの荒涼たる風景に、ミステリファンは違和感を持たずにはいられないだろうと思われるからだ。むしろこの作品は、ウィーン世紀末文学からカフカ、第二次世界大戦後のフランス文学(実存主義とヌーヴォ・ロマン)の読者にもっとも歓迎される質のものである。
なお、そのような経緯の小説であるのでいたしかたないことだが、「訳者あとがき」でいわゆる「ネタばれ」をやっているので、結末がわかっているミステリを読むのが嫌いな人は決して「あとがき」を先に読んではいけない。いろいろ書いたけれども、オールドスタイルのアンチ・ミステリの中篇としてならミステリファンも楽しめる内容の小説ではあるので、この独特のアイロニーを楽しんで欲しい。
紙の本
約束された結末
2017/07/11 14:42
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投稿者:igashy - この投稿者のレビュー一覧を見る
ニコルソン主演映画「プレッジ」の原作。 腕利き警部の海外への栄転直前に起きた少女の惨殺事件。近くにいた前科者が尋問の末自白・自殺、スピード解決したが、警部は納得がいかない。 犠牲者の両親に後生にかけて「約束」してしまった彼は、犠牲者候補の子供たちの群れを目にして出発予定の空港から引返してしまう。
冒頭で主人公がアル中の廃人となり、同じく荒んだ様子の16歳の少女と店を経営しているのが明らかにされているので、全てが失敗することが約束されているお話。 事件の真相はあっけなく明かされるけど、それはもう間に合わない。 主人公、ニコルソンにぴったりっぽい。
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