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アメリカの作家「スティーヴ・ハミルトン」の長篇ミステリ作品『狩りの風よ吹け(原題:The Hunting Wind)』を読みました。
『氷の闇を超えて〔新版〕』に続き「スティーヴ・ハミルトン」作品です。
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30年ぶりの再会だった。
私立探偵「アレックス」のもとを訪れたのは、かつてバッテリーを組み、共に一流のメジャーリーガーを夢みた親友だった。
その夢を捨て、音沙汰のなかった彼が、昔の恋人の捜索を依頼してきたのだ。
「アレックス」は旧友のために彼の最愛の女を追うが、まもなく何者かに暴行を受け監禁される…やがて明らかになる悲劇的な真相とは?
雪解けの水のように清らかな感動があふれる、現代ハードボイルドの収穫。
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元警官で私立探偵の「アレックス・マクナイト」を主人公とするシリーズの第3作で2002年(平成14年)に発表された作品、、、
相変わらず「アレックス」は探偵稼業にちっとも熱心ではなく、第1作では対立していた私立探偵「リーアン」が、いつの間にか相棒のリーアンになり”プルーデル=マクナイト探偵事務所”というホームページを立ち上げており、そのホームページを見たかつての親友「ランディー・ウィルキンズ」が訪ねてきたことから事件は始まります。
30年前にバッテリーを組み、ともにメジャーリーガーを目指した親友「ランディー・ウィルキンズ」が突然「アレックス」のもとを訪ねてきた… 「ランディー」がデトロイト・タイガースに昇格したときに10日間だけつきあった恋人「マリア」を探し出してくれという依頼だった、、、
その動機に疑念をいだきながらも、「アレックス」は30年前の親友「ランディー」をともなって、警官時代の忌まわしい記憶の残る街、デトロイトへと出向く… しかし、「マリア」の消息も途中で立ち消えになり、調査を断念した「アレックス」と「ランディー」はデトロイト・メトロポリタン空港で別れる。
ここから物語は急展開… 翌日「アレックス」のもとにオーカス・ビーチという小さな町の警察署長「ルディガー」から電話がかかる、「ランディー」がショットガン撃たれて、重体だという、、、
いったい、別れたあとに何があったというのか… そして、この事件に「マリア」は関係しているのか!? やがて、「アレックス」の知らなかった「ランディー」の30年間や「マリア」の素性が明らかになっていく。
「ランディー」は、横領や詐欺で実刑を受け3度も服役し、家族は崩壊していた… そして、「マリア」とその家族は占いを生業にしつつ客の弱みを知ることで悪事を働いていたのだ、、、
そして、警察署長「ルディガー」や、「マリア」を追う不動産業者の「チャールズ・ハーウッド」と「マリア」の関係が明らかになることで物語は二転三転、魔性の女に翻弄される男の悲哀が生む結末へと向かいます… 「マリア」も言ってましたが、「アレックス」って、ホントにおめでたいくらいのイイ人物なんですよねぇ。
相変わらず「アレックス」に感情移入しながら愉しく読めました… 本シリーズって、本国アメリカで���10作品が刊行されているらしいのですが、翻訳されているのは僅か3作品、他の作品も是非、翻訳して出版してほしいですね。
以下、主な登場人物です。
「アレックス・マクナイト」
私立探偵
「ランディー・ウィルキンズ」
元野球選手。アレックスの親友
「マリア」
ランディーの元恋人
「レオポルド」
マリアの兄
「マダム・ヴァレスカ」
マリアの母。霊媒師
「テリー・ウィルキンズ」
ランディーの息子
「アーサー・ザンベリ」
マリアの元夫
「チャールズ・ハーウッド」
不動産業者
「ホイットリー」
ハーウッドに雇われた私立探偵
「ルディガー」
オーカス・ビーチの警察署長