高橋克彦氏の時代小説ミステリー
2023/11/06 15:01
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投稿者:トマト - この投稿者のレビュー一覧を見る
高橋氏の緻密なストーリーで、途中途中で考え込んでしまった。けれども、物語の世界に入り込めるような筆致の技はさすがです。
江戸の絵師たちの話。そのはじまり。
2020/08/13 15:21
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投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
高橋克彦氏による、寛政時代あたりの浮世絵師、戯作者をとりまく江戸の物語の第一作。
主人公は、南町奉行所の同心。これは架空の人物ながら、浮世絵の深い知識をふんだんに使い、 歌麿、北斎とその版元主人である蔦屋重三郎に、火付け強盗改めの頭、鬼平こと長谷川平蔵まで、実在の人物を登場させ自在に操る。これもミステリー仕立ての展開で、息もつかさぬ面白さです。
さらに、松平定信による恐怖政治にも近い倹約政策に翻弄される庶民生活史なるものまでも生き生きと描いた。
複線を深く、広くひろげて、これをどう収束させるのかとぎりぎり心配になるところを筆冴えてまとめたエンディング。私が江戸好きということを差し引いても面白すぎます。
庶民の楽しみが奪われていく暗い世相を背景に起こった大事件
2006/10/02 13:37
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投稿者:ピエロ - この投稿者のレビュー一覧を見る
老中松平定信が、賄賂政治で町民までが賑わった田沼時代の弊害を払拭しようと躍起になっている寛政2年(1790年)、深川一帯が大嵐による高波に襲われる。そこに家のあった浮世絵師喜多川歌麿は出かけていて無事だったが、彼の妻が災難のドサクサに紛れて何者かに連れ去られてしまう。事件を追うは、南町奉行所の同心、その名前から千に一つの目こぼしもない千一と恐れられている仙波一之進。事件には何かとてつもない裏があるようで、上役から調査を止められる中、同心の役職どころか命まで懸けて事件の謎を追っていく。
持ち前の正義感で巨大な力を持つ相手に立ち向かっていく千一はじめ、その父親の左門、柳橋一の売れっ子芸者おこう、売れない浮世絵師の春朗(後の葛飾北斎)ら、ワキを固める登場人物たちも魅力的で、誰がなぜ歌麿の妻を連れ去ったのかという複雑に絡み合った謎もスッキリとまとまっていて良かったのですが、何よりも興味深かったのが、寛政の改革について。白河藩主の老中松平定信が断行した、質素倹約を旨とする改革で、一時は喜ばれるが、あまりに細かく厳しかったため次第に庶民の不満が募り、ついには松平定信が老中職を失脚する、と学校の授業で習うようなことは知っていましたが、本作には改革に対する庶民の不満の様子が書かれていて、なるほど、実際こんなだったのだろうとうなずかされることしきり。とてもおもしろく読めました。
庶民の楽しみが奪われていく暗い世相を背景に解き明かされていく大事件、力作です。
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投稿者:nap - この投稿者のレビュー一覧を見る
不勉強なもので、松平定信とか長谷川平蔵には良い感じの
イメージをもっていましたが、必ずしもそんなことはないと。
なんで歌麿は武に秀でてるのか。
描写が無かったので分かりませんでした。
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通称「千一」の異名を取る「千に一つの目こぼしもしない」鬼同心、しかし賄賂や役得などには目もくれずに事件を追い、人を思う強く優しい男、仙波一之進を主人公とした長編時代小説。最後までなかなか尻尾を掴ませない敵との息詰まる頭脳戦、そして斬り合い。一気に読んだ。
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いやはや、参りました。最後まで息も吐かせぬストーリー展開で、堪能しました。歌麿や北斎が御用を預かる者だったのでは、というのは実しやかに囁かれていることですが、そこにこれだけの創作を絡めて大作に仕上げるというのはやっぱりすごい。この人の作品、陸奥3部作や『竜の柩』も大好きですが、浮世絵ものも本当におもしろい。
高橋克彦氏の作品でいつも思うのは、父子の情の深さ。本作の千波は、堅いと言われながらも作中ではかなりの軽さを持っているキャラクター。それでも、父親の左門とのシーンでは、お互いの深い愛情が伝わってくる。父が子を思うのは当然ながら、子の父を慕う思いというのは往々にして描かれないし、描かれるならばもっとあからさまなものだったりする。瑣末なことかもしれないが、高橋作品の良さはここにあるのではないかと思う。
ところで、ドラマ「鬼平犯科帳」のファンでもある私は、作中登場する長谷川平蔵が常に中村吉衛門で、中山が何故か尾身としのりだった(爆)
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北町奉行所、千に一つも目こぼしのないと言われる仙波が遭遇した絵師・歌麿。
殺された歌麿の愛妻の謎を追う先で、もう一つの歌麿の顔が明らかに・・・!
浮世絵三部作を読んでからだとより楽しめます。津田の北斎隠密説を匂わせる、春朗(後の北斎)も登場。
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人気絵師・喜多川歌麿ばかりか、火附盗賊改の長谷川平蔵など、
なじみ深い登場人物を交えての虚々実々捕物帳。
が、これらの人物像に思い入れがない場合は、
ふぅん
くらいの感想になってしまうかも。
誰が敵で誰が味方か、途中から非常に混乱させてくれました(苦笑)。
まぁ、それがまた面白くもあるのですが。
結局は主人公・仙波一之進の一人勝ち、と言う感じでしょうかね。
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とても痛快で、読めば読むほど面白い。
主人公をそれぞれの作品で替えながら、謎解きをするという設定で
歌麿・春朗(のちの北斎)の名前でもわかるように浮世絵や
江戸の町の風景・町人の暮らしなどが浮かんでくるような作品。
鬼平犯科帳で有名な長谷川平蔵が悪役として登場するのだけど
悪役までもがみんな渋くてカッコイイ。
あたしのような江戸物初心者には、ピッタリの作品でした^^
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「千に一つの目こぼしもしない」真面目で強く優しい同心、仙波が浮世絵画家喜多川歌麿の身内を襲った事件を追う話。現代風にいうと権力と戦う警察小説?脇を固めるキャラも個性的で面白く、一気に読めました。
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おいしいお出汁でお茶漬けをいただくように、さらさらさらさら〜っと読み終わってしまいました。面白かったです。版画の技法だとか、当時の政治とかお役目のこととかの説明もたくさん出てくるのに、リズムが良くて、本当にさらさら〜っと読めました。
舞台は田沼意次〜松平定信の頃の江戸、ドラマチックな時代です。登場人物も松平のご老中をはじめ、鬼平こと長谷川平蔵、美人画の歌麿、風景画の北斎(北斎を名乗る前の売れない頃の設定)、日本史だとか時代劇だとかでお馴染みの実在の人がたくさん出てくるので楽しい。
そして!
主人公がとてもいい男でした。腕っぷしは強く、正直で曲がったことが大嫌いな世渡り下手、でも人の情のわかる優しい同心です。こんな人が本当に居たら、キット夢中になっちゃいます。でも恋人とか奥さんになるのは、毎日無事に帰って来るか始終やきもきして、心労が耐えなさそうなので、大変。。。
基本は人情話ですが、ミステリとしても良く出来ていて、本当に面白かった。
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日本史授業における暗記の必須項目・寛政の改革が行われていた頃を舞台としたお話。
大水に襲われ深川一帯が壊滅状態となった夜、
人気絵師歌麿(もちろん"あの"歌麿である)の女房が何者かに連れ去られ姿を消して――
歴史上実在した人物が登場人物としてぐいぐいもりもり出てきます。
頭の中の記号でしかなかった史上の人物名に人格が肉付けされてゆくこの不思議。
おっさんとかおっさんとかおっさんとかが魅力的な一冊です。
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Book Offで105円で入手。読み始めて似たようなストーリーが最近あったなと思って調べたらTV朝日で水谷豊出演のドラマを見たのだった。
ドラマがつまらなかったのでこのまま読み続けるのはきついかなと思ったのだが、途中からドラマとは別のストーリーであることに気づいた。
読み進めてよかった。おもしろい!主人公の同心、仙波一之進は奉行所でも火附盗賊改でも誰が信用できるのかわからない疑心暗鬼の状態。見えない敵との駆け引きとだまし合い。もしドラマを見てしまった人に改めて読んでみることをお薦めします。ドラマや映画は活字に勝てないという法則がそのまま当てはまる好例です。
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「京伝怪異帖」からの連作で、シリーズ二作目の作品です。
「だましゑ歌麿」すごく面白かったです。さすが浮世絵研究家&ミステリー作家の高橋先生。
時代ミステリーものとしてあらすじもしっかりしている上にキャラがみんな魅力的。歌麿が主人公かと思ってたので違ってびっくりしましたが、仙波さん素敵です。蔦重も男気のある良い男でたまりません。この人の描く人間は嫌味がなくて好きです
京伝出ろ!京伝出ろ!と思いながら読んでいたのですが...うーん・・・ざんね、ん・・・
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歌麿や北斎など、知っている有名絵師が出てくるので読みやすかったです。仙波さんは格好良いし。
でもちょっと長かったように感じました。黒幕にたどり着くにも手を出すにも、政治がらみなので仕方ありませんがふまえる段階がやや多かった感じ。
江戸の風景を思い描きながらのんびり読むのにおすすめです。