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戦争とプロパガンダ 2 パレスチナは、いま みんなのレビュー
- E.W.サイード (著), 中野 真紀子 (訳)
- 税込価格:1,320円(12pt)
- 出版社:みすず書房
- 発行年月:2002.6
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紙の本
「ひとくくり」の危険性
2002/07/08 13:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:米作り - この投稿者のレビュー一覧を見る
まず、著者の経歴を知った上で読んでもらいたい本です。
というのも、パレスチナの問題はその人の属性でまったく違う論点になります。
この本は、パレスチナを支持する考え方にも様々なスタンスがあることの
発見につながります。
私が新鮮に感じたのは、著者が提案する斬新なパレスチナ支援体制です。
「斬新」というのは、パレスチナに住むパレスチナ支持者だけでなく、
世界のパレスチナ支持者によるネットワークを使ってパレスチナ支援に
かかわっていこうというもの。つまり、現在の和平交渉に直接的に携わる
「パレスチナ対イスラエル」とは一線を引いたところにいる、
もう少し「客観的」な立場に立つ人々が協力しよう、というものです。
ここで、私達は国に住む人々をすべて均一なものとして
「ひとくくり」にしてしまう危険性を考えなければなりません。
この本に書かれている提案は、あくまで筆者によるものであって、
パレスチナ全体の意見ではないということです。
なぜなら、外国滞在経験をもち、高等教育を受ける機会を得られた筆者は、
思うようにならない生活を強いられているパレスチナの人々にとっては、
同じ民族でも受け入れがたいものを感じてしまう人がいるかもしれないからです。
この本はパレスチナ問題解決の万能薬になる…とまではいかないと思います。
しかし、アメリカとのつながりが強いこともあって、どちらかと言えば
イスラエル側の文献が多かった日本でこのような「パレスチナ側の声」が
手に取れるということは大変重要な意味をもっています。
パレスチナ研究をされている方はもちろん、テロ後の世界勢力図の変化に
興味のある方は、冷静さを保ちつつ、平和構築への熱意を増長させながら
ぜひ読んでみてください。
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