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紙の本
小説をじっくり考えるために
2008/05/27 22:52
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:けんいち - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書のはじめのところで高橋さんもいうように、世の中に、小説を書くためのいわゆるマニュアル本はたくさんある。しかし、本書は、そうした本とはまったく異なる性質のものなのだ。なんといっても、かんじんの「小説」という言葉の意味が、世の中にあるマニュアル本とは、まったくちがっているくらいなのだから。本書には、いわゆる技術の解説はまったくないし、むしろ禅問答を思わせるような「鍵」を手がかりに、ひみつだらけの小説というものに、すこしずつ、しかし着実に迫っていくかのようである。
そして本書は、マニュアル本ではなく、タイトルにもはっきりと示されたように「教室」なのである。先生である高橋さんは、いくつかの「鍵」を示したり、あるいは、素晴らしい小説の一節をそっと手渡してくれる。それでいて、小説を書くということそれ自体からは遠ざかることを進める仕方で、おそらくは逆説的に、そのような仕方でしか伝えられない小説のひみつを、読者本人に探り当ててもらおうとしているかのようなのだ。
紙の本
学び方の本です
2003/06/08 02:24
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:詠み人知らず一丁目 - この投稿者のレビュー一覧を見る
学び方、物事のわかり方を学ぶための良い本です。
学ぶということはどういうことか。
小説の書き方に限らず、あらゆるものに通じる学ぶ姿勢というものを教えてくれます。
自分が知らない領域に取り組もうとしたときは、こういう姿勢で取り組みたいと思うし、
そういう人を導く立場にあったときは、こういう姿勢で取り組むことの大切さを伝えたいです。
自分なりに要約してみます。
・飛んできたメッセージは全て受け止める。わからないところも漏らさない。いやな所も漏らさない。
・受け止めたメッセージを理解しようと努める。わからないところも努める。いやな所も努める。
・まねでも何でもいいから自分でメッセージを出す。
以上。
極めて言葉足らずなので、とりあえず本書を読んで理解してください。
あと、小説の書き方なんて学ぶものではないなと思った次第。
小説の書き方解説本なんて読んだことのない人間の意見ですが。
紙の本
これは文章読本ではない
2002/07/23 18:27
6人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:猫木 - この投稿者のレビュー一覧を見る
これはよくある文章読本でも、作家予備軍のための指南書でもない。平明な文体だが、かかれていることはむしろ作家であることの不可能性、とでも言うようなものだ。これを読んで、まだ作家というものに憧れていられるとしたら、それはずいぶんとお気楽な読者である。それほど厳しいことを書いているのだよ、実は。
紙の本
これが小説だ。
2002/06/26 02:33
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちひ - この投稿者のレビュー一覧を見る
岩波新書なのに「★5」である。これには理由がある。
2001年放送のNHK「課外授業 ようこそ先輩」で小学生に「小説の書き方」を教えていた高橋源一郎が…、
デビュー作である『さようなら、ギャングたち』で詩の教室やその先生や生徒との心温まる(?)やりとりを描いていた高橋源一郎が…、
『官能小説家』で赤い髪の女の子に美男子が小説の書き方を教えている場面を描いていた高橋源一郎が…、
…ついにこんな本を書いてしまった。(>_<。)
…ええ、ある意味、わたしはこういう本を待っていました。
小説の書き方を手取り足取り教えてくれてるのに、しかも読んでるときは本当に「うわあ、ためになるなあ! ほんとに書けそうだ!」と思えるのに、…読了後にいざ「小説」を書き始めたら全然書けなかったり、書けたとしても「わたしってこんな“小説”が書きたかったのかしら?」と落ち込んでしまったりする「小説の書き方」の本とは全然違うアプローチの、真性「小説教室」の本です。わたしはこういうタイプの「小説教室」の方が断然好きです。
小説が書きたい! と思っている方にはもちろんおすすめです。
アタマを別の角度からどつかれてみましょう。
高橋源一郎の新作を待っていたヒトにもおすすめです。
彼が『さようなら、ギャングたち』や『ゴーストバスターズ』や『官能小説家』を書いた必然性がわかると思います。
やっぱりこの人は、「書くべくして」というやり方で小説を書くヒトなんです。しかも、「書くべくして」というやり方じゃなければ書けないヒトです。前々からずっと感じていたけれど、この本を読んでそれがまた改めてわかったような気がします。
読んだ方はたぶん読了後に間違いなく気づくと思いますが、ネタバレではないので あえて言いますと、この本は「小説教室」という体裁を取って岩波新書から刊行されているのに、なのに、実は、最初から最後まで小説なんですね。
だから「★5」なのですよ。(^▽^)
電子書籍
小説教室
2020/02/06 22:46
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
小説とはどういうものなのか、について教えてくれる本。最後の様ざまな作家の文章について、高橋源一郎が書いているのが貴重。