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ヴィーナスを開く 裸体、夢、残酷 みんなのレビュー
- ジョルジュ・ディディ=ユベルマン (著), 宮下 志朗 (訳), 森元 庸介 (訳)
- 税込価格:3,080円(28pt)
- 出版社:白水社
- 発行年月:2002.7
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紙の本
わたしは自分の理解できない言葉や文章にぶつかると、有り難がるよりは否定に走る。とりあえず、この本では図版だけに衝撃をうけた、と言っておこ
2004/04/19 23:09
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「フランスの気鋭の美術史家が、ボッティチェッリの描いたヴィーナス像などの背景にあるものを解き明かす」美術論。2000年に、フランス美術アカデミーのウルビグ賞を受賞した作品。
これはフランスで評判の美術史家ジョルジュ・ディディ=ユベルマンが、高等研究院で行ったセミナーでの原稿と、プラド美術館での講演、シンポジウムでの発表の土台となったものを纏めたもので、副題に「裸体、夢、残酷」とあり、掲載されているボッティチェッリの作品も、有名なものではなく初めて見る残酷なものも多く、驚く人も多いのではないか。
有名過ぎはするものの、てっきり「ヴィーナスの誕生」についての解題だと思っていたら、そういう記述は殆どない。いや、ここではこの有名な傑作ですら絶賛されてはいないのである。じつはこの部分を読んで、私も肯いたものである。わたしはこの有名な作品におけるヴィーナスに少しも魅力を感じたことはない。それは、あの「ミロのヴィーナス」にしても「モナリザ」にしても同様である(ま、女だからという部分は割り引いてでも)。
しかし、美術史家の口からそれが発せられると、やっぱりそういう人もいるんだと安心する。しかし、驚くのはこの本に載っている殆ど我々が知らないボッティチェッリの作品である。「ホロフェルネスの遺体の発見」などは巻頭にカラーで出ているだけにショックは大きい。さらに「ナスタージョ・デリ・オネスティの物語」の内臓を取り出すような作品となると、狙いは一体なんだろうと思ってしまう。
それらを論じたのがこの本だけれど、正直言って、分からない。これは私の鳥頭のせいかと嘆いたら、訳者のあとがきを見ると、先生も苦労したそうである。おまけに、専門用語はなるべくそのまま使ったとある。専門用語、これは私にとっては親の敵みたいなもので、各分野の専門用語が如何に私たちの理解を妨げているかの証みたいなものだから、文章が余計分かりにくくなるのは仕方がない。
そこは、読んでもらって判断してもらうしかないけれど、この本で最もショッキングなのはクレメンテ・スジーニ「腹を裂かれたヴィーナス」という18世紀の作品だろう。蝋に彩色したという巻頭写真もだけれど、「開かれた裸体」という章で「医師たちのヴィーナス」と称され、事細かに論じられている。正直、何を言いたいのかは少しも分からないけれど、この作品がベールを脱いでいく様は、まさに裸体、残酷である。正直、夢は何処にも感じられない。
この中に引用されるサド侯爵の言葉が、彼のイメージとあまりに異なり面白い。勿論、そのあとには如何にもサドらしい言葉が続くのだが、それは読んで味わって欲しい。これほど難解な美術の本というのも、珍しい。哲学が未だに盛んなフランスならではの本、と思うのは私だけだろうか。
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