紙の本
乙一の第二歩目
2003/07/13 16:07
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投稿者:yaeba - この投稿者のレビュー一覧を見る
GOTHとは、人間を処刑する道具や拷問の方法を知りたがり、殺人者の心を覗き込む者、人間の暗黒部分に惹かれる者たちのこと——。
主人公「僕」は、クラスメイトの前では普通の男子高生の仮面をかぶり、冗談を言い、笑顔を振りまく。だがその仮面の下にはGOTHという素顔を隠し持っている。そしてクラスメイトの女子、森野夜もまたGOTHであるが、彼女は仮面をかぶらず、愛想を振り撒かない。だから友人がいない。
GOTHという共通点を持った二人は惹かれあい、行動を共にする。
「僕」とクラスメイトの森野夜という二人のGOTHを中心に、6つの短編が語られていく。
最終話・6話はすべてのまとめとなっており、主人公である「僕」と森野の差が浮き彫りになる。二人は「GOTH」という点で共通しているが、基本的な性質が異なっているのだ。僕は犯罪を見て、犯罪者になりかわりたいと思っている。だが、その性質を隠す為、あらゆる仮面を器用にかぶり芝居をして生きている。一方、森野は自分の外側に在るものとしての「GOTH」に興味があるだけなのだ。僕はGOTHを内側に持っているのに対し、森野はGOTHが外側に在る。その差がこの最終話で表れてくる。
最終話で森野が僕とは正反対の一歩を踏み出してくれたことが、私達の癒しとなり、救いとなりうる。
乙一は私が今一番注目している作家だ。
『夏と花火と私の死体』で第6回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞後、デビュー。以来、角川書店、集英社を中心に作品を発表。せつない系、せつなさの達人などと呼ばれてきたが、『GOTH』で本格ミステリ大賞を受賞、この作品はマンガ化もされた。
『GOTH』を読んだ後、今回の乙一は今までと違うと感じた。スニーカー文庫で見せた「さみしさとあたたかさ」を共存させた書き方に、冷淡さ、ミステリ部分の濃厚さがプラスされている。
今までの乙一の個性はそのままに、そしてミステリ部分は今までの作品を超えている。ティーンズを対象読者として出発した著者が、大人のミステリに踏み入れるようになった、分岐点と言える一冊。乙一の第二歩目だといえよう。
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初期の金田一少年の事件簿を読んだときのリアクションと同じものを感じた。「んなわきゃねーだろ!」って。非現実的すぎる因果律。
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グロイといえばグロイ。
主人公二人組みが奇抜というかなんというか、猟奇的な性格。
乙一の得意技「大どんでん返し」がたっぷりと味わえる。
裏表紙には買った人だけが見れるものが。
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原作。初めて読んだ乙一の本がこれだった気がする。図書室で出会ったんだよね。最後まで主人公の名前を明かさない、そしてどっちがどっちか分からなくさせるあたりが凄い〜。
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いつも乙一には良い意味で裏切られるのですけど。GOTHは作風?そのものから裏切られ、普段のハートフルさはどこへやら。でも一番スキかもしれない。漫画もありますけど、こっちを読んでから!
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ヤフーかなんかのミステリー大賞に選ばれていたので期待していたのにハズレ。こういう感覚が若者受けするとしたら私はもう若者ではないんだなあ。人を殺す、ということが持つ意味とは?
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めっきり知名度も上がった乙一さん。彼の作品との出会いのきっかけがこれです。衝撃でした。何だかんだで一番思い入れがあります。血なまぐさいミステリーかとおもいきや、やっぱりここにも「切なさ」が溢れてます。
乙一では他に「暗い所で待ち合わせ」が好きです。映画にならんかな。
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私が彼の本で初めて買った本です。ハードカバーの本は保管するのに場所をとるから、好きではないけれど、カバーの善し悪しによって、
買うかどうか決める事がある。彼の名前は知っていたのだけれど、買う機会がなくそんな時にこの本を見つけた。シルバーの表紙にナイフの
絵。その コントラストが気に入って買ってみた本です。
内容は、かなり面白かった。暗い話が好きなので、かなりツボにはまった。
この本は、漫画バージョンもでているのだけれど小説の方が面白かった。漫画の方は何箇所か端折って書いてあるので、少し物足りなさを
感じてしまった。だけど、多分この内容であそこまで上手く書き上げてくれる人はそうそういないんじゃないかと思ったし、絵はかなり好きであ
の人の他の漫画も見てみたいな、と思う物でした。
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5つの話の中では「土」が好き。悲しすぎるけれど・・
「犬」は私の想像外の受け入れ難い真実が待っていてショックだった。
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たまげた〜! 実は乙作品は始めてなのであります。17歳でデビューし、「もっとも将来が恐ろしく、楽しみな新人」と言われ、なんとなく敬遠していたところがありました。たまたま本書が手に入ったので、読んでみたら・・・・。なんとも独特の静かな世界があり、決して癒し系ではないのに、心地良さがあるんです。言いたくない言葉なのですが、今時の子供をやっぱり理解できない部分がある私なので、乙作品を読んでも作者が若いだけに理解できないのではないだろうか?と思っていたんです。でも、大きな間違いでした。他の作品もどしどし読んでいこうと思います。ホント、先が楽しみな作家ですよん。
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今まで読んだ(数はすくないけど)乙一の作品で一番好き。短編だけど、主人公とヒロインは一致していて、全体的にダーク。発想がすごい。くるってる
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どんでん返しを予想していても、まさか!ってとこをつかれる。乙一にはやられた!面白くて、1日で読みきってしまった。
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メインで出てくるコンビのキャラがとても独特で、短編集なのに続きが気になる設定。森野夜(夕)もとてもミステリアスだが、実は主人公の方が謎は多いと思う。
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登場人物の性格は現代風にどこか壊れた人間が多いんだけど、それが流行のラノベ風な人物造形ではなく、あくまでもリアリティのある壊れ方、と言う感じ。独特の物語の進め方と、淡々と進む事件。正義ではない、むしろ犯罪者の側に存在する探偵役。今までにない設定でありながら自分たちのような世代にはどこかしっくり来る物語。面白かった。
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読み終わった後はぶっちゃけ気持ち悪くなりました。
最後が「え?どういうこと?」な終わり方。私が理解してないだけかな。