電子書籍
考えさせられる
2018/12/29 11:29
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近の東アジア情勢を前提にこの本を読むとフィクションと思えない迫力緊迫感がある。
主人公たちがちょっと美化され過ぎの気もするが、読み応えのある作品。
紙の本
戦争の愚かさと生きることの素晴らしさ
2003/04/25 21:45
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投稿者:かいらぎ - この投稿者のレビュー一覧を見る
テーマは戦争およびそれに対峙する日本人。重いテーマに見えるが、物語としてぐいぐいと読者を引き込んでいく。人物像の描写から静かに始まり、徐々にスピード感を加えて行く。クライマックスに至るまでは緊張、安堵、怒り、が交差し連続する。そしてクライマックスを迎えた後は引き潮のように徐々に静まり、最後は人間の心にふれることができる。そんな流れのある物語だ。
戦争の始まりがいかに個人の暴走であれ、始まってしまえば正義という大義名分で国体をあげての戦いとなってしまう。前線では、戦うことを使命とされた兵士たちの殺戮と尊厳無き死が繰り広げられる。その戦争を鎮火するのもまた志ある個人である。しかし戦後50年以上にわたって戦争を対岸の火事として見てきた日本人には、もはやそのような想像力もなくなってしまった。戦争はなにも解決しない、戦争はあってはならない、という確固たる信念もなくなってしまっている。一方で、戦争が起きることに対する万全の備えが必要であることも。この書は戦争のバカバカしさ、目を背けたくなる惨さ、人間の愚かさ、そして生きることの素晴らしさを教えてくれる。
紙の本
装備の普及より,意識の普及
2003/04/21 03:23
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投稿者:徹志 - この投稿者のレビュー一覧を見る
北朝鮮の迷走,アメリカの暴走,混沌とする中東情勢,……。急速に国際情勢が緊迫化する中で,日本が取る道は相変わらずアメリカ追従路線だ。外交というのは自国の国益が前提のはずである。だが,「日本の国益の為」が,「日米安保を維持する為」という置き換えがなされているのが日本の外交政策の現状だ。目的の為の手段自体が,目的化してしまっているのだ。
本書に登場する防衛大生・宮津隆史は,そのような問題に関してこう語っている。
「……現状では,イージス艦を始めとする自衛隊装備は防御する国家を失ってしまっている。亡国の楯だ。それは国民も,我々自身も望むものではない。必要なのは国防の楯であり,守るべき国の形そのものであるはずだ」と。
そのような己の考えを公表した彼は,防衛庁情報局(ダイス)により事故死の形で殺されてしまう。そんな彼の思いを他所に,自衛隊の装備拡張は進められていき,ミサイル護衛艦全艦へのイージスシステム搭載計画の試金石となる,“いそかぜ”の改修工事が始まる。死ぬまで息子の考えに思いも至らなかった自衛隊二等海佐・宮津弘孝,親の愛を知らずに育った如月行,己の船を守ることに命を掛けるベテラン海曹・仙石恒史,……。様々な人の思いを載せて,イージスシステムを搭載したミサイル護衛艦“いそかぜ”が就航する。そして時を同じくして起こった,史上最悪の化学兵器“GUSOH”の略奪犯が乗った飛行機の空中分解事件。
前半は,作者お得意の国防論議が「これでもか!」といわんばかりに繰り広げられる。国とは何だろう,国防とは何だろう……,様々な考えが脳裏を駆け巡っていく。そして叛乱勢力による“いそかぜ”占拠が起こり,すべての真相が明らかになっていく。
いそかぜのクルーを,そして艦を守ろうと駆けずり回る仙石の姿は,前半部分の硬質な国防論を超越して心に迫ってくるものがある。制度という大きな視点から,個人の視点に引き戻すストーリー展開は,国民一人一人が国の存立基盤であることを再認識させてくれる。そこには,大上段に構えた国防論議を黙らせる迫力がある。その一方で,艦(いそかぜ)を日本,艦のクルーを国民と置き換えると,自分の艦を守ろうとする仙石の姿は,国を憂える国民本来のあり方を示しているようにも思える。結局のところ,国防の基本は,一人一人の国民の「自国を守りたい」という意識に根差しているべきなのだ。そして,「守りたい」と思える国であればこそ,「良くしたい」という意識も湧いてくるのではないだろうか。
北朝鮮問題の緊迫化,イラク戦争と,改めて日本の国のあり方が問われている。そんな今だからこそもっと多くの人に,この本を手に取って,日本という国の置かれた現状と向き合ってほしい。
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本気で自国を憂う人がいて、愛する者の意志を継ごうとする者がいる。自分の任務を全うしようと戦う者がいて、己の保身に必死な者がいる…。『いそかぜ』の暴走とともに、そんな人間模様もあわせて書かれているのだが、それが物語を一層、面白く重厚なものにしている。
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自らの掟に従い、15歳で父親を手にかけた少年。
一人息子を国家に惨殺され、それまでの人生をなげうち鬼となった男。
祖国に絶望して叛逆の牙をむく、孤独な北朝鮮工作員。
男たちの底深い情念が最新のシステム護衛艦を暴走させる
「現在、本艦の全ミサイルの照準は東京首都圏に設定されている。 海上自衛隊護衛艦《いそかぜ》。その弾頭、通常に非ず」・・・
極みです。まさに極みです。
圧倒的なスケールで描かれた作品でした
ヒューマンドラマも満載です
これも最後のほう泣きまくりでした。
2度目読んだときはプロローグで泣きました。
もうね、、いろんなものが心に残りましたよ
イージスとは護衛艦(イージス艦)を指しています
その名前の由来はギリシャ神話で戦の女神がもつ最強の盾から名付けられています
名前の通り海上においてはあらゆる攻撃に備えた盾になりうる攻撃力を持っています
前回よりテーマを絞ってきていますね
知ってますか?
もし明日某国からミサイル攻撃を受けても
法律上の問題により、この国は一発も打ち返すどころか、守る事も出来ません
(現実には総理大臣の下で内閣安全保障会議にて閣議決定が必要です
有事法の見直しなど進められていますが)
それでも自衛隊のもとで毎年軍備を強化しています
決して使われる事のない兵器たち
この国の矛盾・・・舵を失った国家はどこにいくのでしょうか?
盾は守るべき主を失っています
ダイスシリーズ3作目で12の続きです
ミステリー色が豊かになりました
良い意味で騙された感が沢山あると思います
勿論エンターテインメントもバリバリの作品です
読んだ方は江戸川乱歩賞アンソロジー「白の謎」を是非読んで下さい
第2回大藪春彦賞。第18回日本冒険小説協会大賞日本軍大賞。第53回日本推理作家協会賞長篇
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映画化決定。
期待してます。
前2作は出てくる人間に少し違和感が有りましたが、イージスは改善されている感じがしました。
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最初は、本の分厚さに気圧され、登場人物の生い立ち的なストーリー展開にイマイチ乗りきれず、しばらく放置されていたのですが映画化の報を聞いて再び手に取った次第。
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テーマについて深く考えさせられた。キャラクターに魅力があり、読み出すと止まらない。専門用語や機械の名称が多くて女子には少し難しい所も。
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在日米軍基地で起こった未曾有の惨事。これを引き金に護衛艦<いそかぜ>が国家間の策略により暴走を始める──。
三人の男達の生い立ちから始まり、イージス艦のきめ細かな描写はもとより、沢山の登場人物の性格も見事。映画を観ているようなリアルさで引き込まれる。
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想い。これはローレライより先に書かれたの?こっちの方が断然面白いわ。ここまで書き込んでくれると楽しめる。
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ぶっといので買ってしばらく寝かせてあった。が、もともとこの手のカテゴリ本が好きなこともあり読み出したらあっという間だった。
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福井氏作品のなかで一番好きな本。男臭い内容だが、各登場人物のキャラクター描写は見事。この年でこんなものが書けるとは・・・・!
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自 衛 隊 は な ん の た め に 存 在 す る の か ?
日本人なら一度は考えたことがあるはず。
ない? んぢゃ、ぜひこれを読んで一緒に考えましょう。
漢字が多くて挫折した? んぢゃ、ぜひ夏に公開される映画を観にいきましょう。
熱いですよ。
今のご時世、こんな熱く語っちゃってるのってすごいですよ。
今、この本が売れていること、
映画化が試みられたこと、
そして世界中の32カ国から配給オファーが来ていること、
これらすべてのことが、日本人として、嬉しいです。
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現役自衛官による反乱で、敵となった新鋭イージス艦が東京湾に姿を現す! そして、そのミサイルの弾頭には・・・!
あつらえたようにきっかりと下巻に引く様は、本書の初出が一冊で刊行されたのを疑う程。
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長編小説も荒々しそうな作品も読んだ事がなかったので、挑戦してみるかーと、ちと心踊らせながら買ってみる。 登場人物を見ると20人近くの名があり、全ての人物を覚えられそうもないので一先ず置いといて、序章へと。主要な人物になるであろう如月行(きさらぎ こう)、仙石恒史、宮津弘隆の物語が3編。この中では如月行の話がおもしろかった。各々の生い立ちと陰のある部分を匂わせてくるから人物を印象付けしてくれて、興味を持たせてくれた。けれども、変な推測も憶測もしないで読みたかったと思う。付けたしといった感じで本編の最後に3編を載せてもらいたかったな。 一章は、む、難しい! 海上自衛隊、護衛艦、護衛艦のシステムを説明しつつ出航した物語におバカな私は何度もつまずく。何のこっちゃ分からんというのが本音。聞いた事のあるいくつかの略語でさえも意味を知らなかったりして、勉強をしながら読む。3人の人物と後に絡んでくる要素も含まれているけれど、主人公も話の形さえも分からない。 大まかにも見えないまま、二章。やっと、各キャラクターがはっきりとしてきて、如月行と仙石恒史は特に濃い印象になる。映画やドラマを見ているかの如く、表現力だけで自分の中で想像をさせてくれる文面を書く事の出来る作者はすごい! 再生中に一時停止を押したくないような感覚で本を閉じる機会を窺ってしまう程に、おもしろい。 続きが気になりつつ、三章。あやふやだったものが明確になり、話が一つにつながる。仙石の気持ちが一番よく分かるし、如月の気持ちも分からなくはないんだよな。ただ、宮津艦長と幹部達はどうしてそういう考えになるのかねぇと思ってしまう。難しいけれど、考えれば考える程に、正しい答えはあるのかと考えさせられた。続きが気になるー。