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農業に転職する 失敗しない体験的「実践マニュアル」 みんなのレビュー
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紙の本
著者コメント
2002/08/05 12:19
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投稿者:有坪民雄 - この投稿者のレビュー一覧を見る
農業には、ビジネスマンを惑わせる力があるようてす。有能なビジネスマンでも農業をやるとなると、なぜか無邪気な子どもに戻ります。夢やロマンで頭が一杯になり、中期計画やリスクマネジメントといったことは忘れてしまいがちです。そんな状態で新規就農したいと農家の知人や就農アドバイザーに相談をもちかけても、たいてい断られます。現実を直視した、食える見込みのある就農計画を提示できなければ、「こいつは夢を見ているだけだ。やっても失敗する」と判断されるからです。有機栽培を例に挙げましょう。私なら、まず就農希望者に以下のような質問をします。
「何を作るつもりなのか」
(有機栽培が比較的簡単な作物から<難しい作物まであるのを把握しているのか探る質問。未経験なのに難しい作物を選択するようでは、成功の見込みはない)
「どのくらいの規模で、どんな栽培法をするのか」
(食えるだけの生産規模を知っているか、日々の仕事が過重にならないかなど計算ができているかを探る質問。食える規模でも一人1日30時間働かないといけないような計画なら、やる前から失敗は見えている)
「農薬を使わないで、どうやって病害虫を防ぐつもりなのか」
(農薬以外の防除手段をどれだけ知っているかを探る質問。木酢液やHB101を使うくらいしか思いつかないようでは、プロでも難しい有機栽培ができる可能性は低い)
「販売ルート確保の見込みはあるか」
(『有機栽培=高く売れる』が幻想であることを知っているか探る質問。販路を開拓しなければ、有機栽培は成功しても慣行栽培品より安く買いたたかれることが多い)
これらの質問に答えられますか。上記の質問に答えるためには、ある程度の情報収集が必要ですが、この程度の情報すらどうやって調べたらいいのかわからないのが普通でしょう。これでは成功するものもしなくなります。農業をやりたいと思っても、一歩が踏み出せないのも道理です。
新規就農を希望する人が知りたいのは、いかに農業経営を立ち上げ、維持するかの戦略や、迷ったときの判断基準などの「技術論」ではないかと思います。しかし、この「技術論」が従来の本では、最も手薄になっていました。現場を知り、経営的視点で農業を説明できる人がいなかったからだと思われます。
よって、拙著では未来溢れる農業青年像(笑)を否定し、ビジネス書の視点で全体を統一しました。ウリは、元経営コンサルタントの専業農家が書いた、新規就農マニュアルだということです。
農業は決してラクな商売ではありません。農家出身ではない人が「農業をやりたい」と言うのは、普通の人が「小説家になりたい」と言っているのと同じように見られます。実際、食える農家になるのは簡単ではありません。しかし、有能なビジネスマンなら、やり方さえわかれば成功率を飛躍的に向上させるのは可能だと思います。また、そんな方々の新規参入が、農業の未来を切り開いていくはずです。
成功の確率を向上させる就農技術書として、最高のものを目指しました。農業をやりたいと思われている方は、ぜひ、お買い求め下さい。クーンツよろしく、読者に損はさせません。
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