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天才と分裂病の進化論 みんなのレビュー

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みんなのレビュー10件

みんなの評価4.3

評価内訳

  • 星 5 (4件)
  • 星 4 (3件)
  • 星 3 (2件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)

高い評価の役に立ったレビュー

8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2009/04/20 22:50

刺激的な仮説と興味深い根拠から、分裂病の真の姿に迫ろうとする意欲作

投稿者:Skywriter - この投稿者のレビュー一覧を見る

 天才と分裂病。これほど結びつきにくい単語の組み合わせも中々ないのではなかろうか。しかし、著者は天才と分裂病は密接に結びついており、分裂病を起こす遺伝子が人類を類人猿から切り離す決定的な因子になったのではないか、と大胆な仮説を提唱する。

 分裂病が世界中で同じくらいの頻度で発生する病気であることは何を意味するのか。疑問はそこから始まる。

 分裂病に遺伝が深く関わっていることは広く知られている。その分裂病が世界中で、ヨーロッパ、オーストラリアのアボリジニ、アメリカの先住民など地理的にかけ離れたところで、同じように発生する。ということは、現生人類に繋がる集団が生まれたそのときに、既に分裂病の遺伝子が当時の人類に含まれていたことを意味するだろう。

 では、なぜ分裂病の遺伝子は排除されなかったのか。もし、分裂病の遺伝子を持つことが破局しか生まないのであれば、遅かれ早かれ分裂病は排除されていて然るべきでは無いか。

 この二番目の質問にこそ、タイトルにある”天才”の文字が答えてくれる。分裂病の遺伝子は、同時に天才を生み出す遺伝子なのでは無いか、ということである。

 仮説の正しさを示すため、遺伝学や脳科学の分野に分け入っていく。異端とされるが魅力的なアクア仮説(人類は水辺で進化した、というもの)なども、栄養学的な立場から再評価するなど広い分野を旅しながら分裂病の謎を解こうとするのは見事。

 また、分裂病の謎を明かそうとする過程で分裂病の新たな治療法の可能性にも大きく紙幅を割いているのも特筆すべき点だろう。現在の精神医学で主流の薬物療法でも救われていない患者は多く、薬物療法が効いている患者でも副作用の苦しみは大きい。この悲劇的な状況を解決する糸口になるか、著者の研究に期待したくなる。

 天才と分裂病の因子が同じではないかという刺激的な仮説と広い分野にわたる証拠や根拠の探索が絡み合い、実に興味深い本に仕上がっていると思う。脳科学に興味がある方はぜひ読んでみて欲しい。

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低い評価の役に立ったレビュー

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2002/09/13 22:15

進化の過程で得た創造性と、その代償としての分裂病

投稿者:上原子正利 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 最初にこの本を見た時、値段や装丁、「英国分裂病協会医療顧問」という著者の肩書きから、分裂病に関する一般向け解説書のような無難な本かと思ったのだが、読んでみると全く違っていた。本書は著者が自説を展開するものであり、その説はどうやら主流ではないようだ。その時点で専門外の私は身構えてしまうし、所々の筆致には冷静さを欠くように感じたりもする。ところが、全体として見るとこれはおもしろい本だ。

 本書は人類の起源に関心を持つ医学研究者の「知的探究の旅」を記したものであり、旅というだけあって幅広い議論が展開されるが、大きく分けて2つの面からなる。1つめは分裂病の新しい治療方法の話だ。現在の薬物療法では症状改善率が低く、副作用もあり、本質的な改善も望めないという。それに対し著者らは、ある種の必須脂肪酸を用いる事で、副作用なしに通常の薬物療法以上の成果を上げたという。

 もう1つは、こちらが主要な面だが、人類進化と分裂病の関係だ。著者は進化の過程で人間を人間たらしめた要因を、脳内脂質のわずかな遺伝的変異に求める。そのような遺伝的変異は創造性をもたらすと同時に分裂病の種となったが、工業化される前の社会では栄養条件の違いから分裂病の病像が穏やかで、その破壊的な側面より利点が目立ったのではないかと考える。この栄養条件は前述の治療方法と関係し、さらには、分裂病を「制御できる『創造的な異常』」に変えられるのではないかという考えにつながってゆくものだ。

 これらの仮説はさらに検証されるべきものであり、正しいかどうかはまだわからない。検証は専門家に任せるが、創造性を得た代償としての分裂病というアイディアに限れば、さほど奇妙でもないように思う。また、それとは別に、ある事を考えていたら全然別の事に辿りついてしまった「知的探究の旅」の様子はそれだけでもおもしろい。人類進化や分裂病に関心のある人はもちろん、そういう面を好む人にも勧めたい。

(上原子 正利/bk1科学書レビュアー、km_bk1@mail.goo.ne.jp)

【目次】
まえがき
1. 「見てパパ、牛の絵よ」
2. 「人間は猿か天使か……」
3. 骨、石器、遺伝子
4. アダムとイヴはどうやって脳を得たか
5. 脳、尻、胸
6. 無限の神秘
7. 「正気を失った悪いひと、知り合うのは危険……」
8. 「思うに、この国の半分は心病み、残りも正気とはいえない」
9. 「ああヴィヨン、どうしようもない物狂い、陽気なならず者、我が兄弟……」
10. 「人生の熱病の苦しみもさり、彼は安らかに眠る」
11. 「ただ結び合わせよ……」
12. 「絶え間なく回りつづける変化の車輪。この世のすべてを支配する……」
13. 「神は誰を滅ぼしたもう? 『創り』たもう? 初めに心病める者あり」
14. 「悪魔のひそむ小さな農場、地球」
15. 「暗い悪魔のような工場」
16. 「天才はたしかに狂気とともにある……」
17. 「人は生きんがために食うべきにして……」
18. 二十一世紀にむけて
エピローグ
訳者あとがき


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10 件中 1 件~ 10 件を表示

紙の本

刺激的な仮説と興味深い根拠から、分裂病の真の姿に迫ろうとする意欲作

2009/04/20 22:50

8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Skywriter - この投稿者のレビュー一覧を見る

 天才と分裂病。これほど結びつきにくい単語の組み合わせも中々ないのではなかろうか。しかし、著者は天才と分裂病は密接に結びついており、分裂病を起こす遺伝子が人類を類人猿から切り離す決定的な因子になったのではないか、と大胆な仮説を提唱する。

 分裂病が世界中で同じくらいの頻度で発生する病気であることは何を意味するのか。疑問はそこから始まる。

 分裂病に遺伝が深く関わっていることは広く知られている。その分裂病が世界中で、ヨーロッパ、オーストラリアのアボリジニ、アメリカの先住民など地理的にかけ離れたところで、同じように発生する。ということは、現生人類に繋がる集団が生まれたそのときに、既に分裂病の遺伝子が当時の人類に含まれていたことを意味するだろう。

 では、なぜ分裂病の遺伝子は排除されなかったのか。もし、分裂病の遺伝子を持つことが破局しか生まないのであれば、遅かれ早かれ分裂病は排除されていて然るべきでは無いか。

 この二番目の質問にこそ、タイトルにある”天才”の文字が答えてくれる。分裂病の遺伝子は、同時に天才を生み出す遺伝子なのでは無いか、ということである。

 仮説の正しさを示すため、遺伝学や脳科学の分野に分け入っていく。異端とされるが魅力的なアクア仮説(人類は水辺で進化した、というもの)なども、栄養学的な立場から再評価するなど広い分野を旅しながら分裂病の謎を解こうとするのは見事。

 また、分裂病の謎を明かそうとする過程で分裂病の新たな治療法の可能性にも大きく紙幅を割いているのも特筆すべき点だろう。現在の精神医学で主流の薬物療法でも救われていない患者は多く、薬物療法が効いている患者でも副作用の苦しみは大きい。この悲劇的な状況を解決する糸口になるか、著者の研究に期待したくなる。

 天才と分裂病の因子が同じではないかという刺激的な仮説と広い分野にわたる証拠や根拠の探索が絡み合い、実に興味深い本に仕上がっていると思う。脳科学に興味がある方はぜひ読んでみて欲しい。

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紙の本

進化の過程で得た創造性と、その代償としての分裂病

2002/09/13 22:15

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:上原子正利 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 最初にこの本を見た時、値段や装丁、「英国分裂病協会医療顧問」という著者の肩書きから、分裂病に関する一般向け解説書のような無難な本かと思ったのだが、読んでみると全く違っていた。本書は著者が自説を展開するものであり、その説はどうやら主流ではないようだ。その時点で専門外の私は身構えてしまうし、所々の筆致には冷静さを欠くように感じたりもする。ところが、全体として見るとこれはおもしろい本だ。

 本書は人類の起源に関心を持つ医学研究者の「知的探究の旅」を記したものであり、旅というだけあって幅広い議論が展開されるが、大きく分けて2つの面からなる。1つめは分裂病の新しい治療方法の話だ。現在の薬物療法では症状改善率が低く、副作用もあり、本質的な改善も望めないという。それに対し著者らは、ある種の必須脂肪酸を用いる事で、副作用なしに通常の薬物療法以上の成果を上げたという。

 もう1つは、こちらが主要な面だが、人類進化と分裂病の関係だ。著者は進化の過程で人間を人間たらしめた要因を、脳内脂質のわずかな遺伝的変異に求める。そのような遺伝的変異は創造性をもたらすと同時に分裂病の種となったが、工業化される前の社会では栄養条件の違いから分裂病の病像が穏やかで、その破壊的な側面より利点が目立ったのではないかと考える。この栄養条件は前述の治療方法と関係し、さらには、分裂病を「制御できる『創造的な異常』」に変えられるのではないかという考えにつながってゆくものだ。

 これらの仮説はさらに検証されるべきものであり、正しいかどうかはまだわからない。検証は専門家に任せるが、創造性を得た代償としての分裂病というアイディアに限れば、さほど奇妙でもないように思う。また、それとは別に、ある事を考えていたら全然別の事に辿りついてしまった「知的探究の旅」の様子はそれだけでもおもしろい。人類進化や分裂病に関心のある人はもちろん、そういう面を好む人にも勧めたい。

(上原子 正利/bk1科学書レビュアー、km_bk1@mail.goo.ne.jp)

【目次】
まえがき
1. 「見てパパ、牛の絵よ」
2. 「人間は猿か天使か……」
3. 骨、石器、遺伝子
4. アダムとイヴはどうやって脳を得たか
5. 脳、尻、胸
6. 無限の神秘
7. 「正気を失った悪いひと、知り合うのは危険……」
8. 「思うに、この国の半分は心病み、残りも正気とはいえない」
9. 「ああヴィヨン、どうしようもない物狂い、陽気なならず者、我が兄弟……」
10. 「人生の熱病の苦しみもさり、彼は安らかに眠る」
11. 「ただ結び合わせよ……」
12. 「絶え間なく回りつづける変化の車輪。この世のすべてを支配する……」
13. 「神は誰を滅ぼしたもう? 『創り』たもう? 初めに心病める者あり」
14. 「悪魔のひそむ小さな農場、地球」
15. 「暗い悪魔のような工場」
16. 「天才はたしかに狂気とともにある……」
17. 「人は生きんがために食うべきにして……」
18. 二十一世紀にむけて
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