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北のサラムたち 日本人ジャーナリストが見た、北朝鮮難民の“真実” みんなのレビュー
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紙の本
北朝鮮問題の本質とは
2003/01/20 12:50
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:良泉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
一気に読み通してしまった。ここに書かれている話がどんなサスペンス小説にも無い緊張感を持っているのは、書かれている人間ひとりひとりが、現実に存在する生身の人間であり、しかも、中にはいま現在も命の危険を抱えながら、この世界のどこかで生きている人間であるからであろう。
北朝鮮人民の飢餓・貧困は、最近になりいろいろなところで報告され、ようやく広く知られるようになってきたところである。筆者はその先駆けともいえる仕事をたったひとりでこなしてきたジャーナリストであり、課題の本質を探るための着眼点と丹念な取材をこなす真摯な態度はすばらしい。
北朝鮮の問題が報道されるたびに、どうして国の内部で反乱・暴動が起こらなのか不思議でならなかった。いくら情報鎖国状態で、外部世界の状況が知らされていないからといって、餓死するくらいであれば、何らかの行動を起こすものがあっても不思議ではないと常に思っていた(現に、完全な外部情報欠落状態であった江戸時代の日本でさえ、百姓一揆があちこちで起こっているではないか)。しかし、この本を読み北朝鮮の恐怖政治の実態を知るにつれ、北朝鮮という国は、人間の最後の本能(死を前にしての本能的な生への欲求)させ押しつぶしてしまうほど、最も発展した(もちろん悪い方向に)管理・洗脳社会であることがよくわかった。
北朝鮮問題は、北朝鮮人民の飢餓・貧困の問題と捉えられがちであるが、問題の本質は、北朝鮮に住むひとりひとりの人民が本当の人間らしさを奪い取られていることであることをこの本は教えてくれる。そしてそれを解決するには、独裁者が倒れるとか、国の体制が変わるとかの表面的な変革だけでなく、長い年月をかけて破壊され続けてきた北朝鮮人民の意識・性格を変革していくというとてつもなく大きな問題を抱えていることがわかる。
さらに問題の本質を探求されたい方には,同じ著者による「北朝鮮難民(講談社現代新書)」の併読をお薦めする。
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