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短編集。それぞれの男と女の短い物語がスっと入ってきて読みやすい。個人的には表題よりも「さやさや」の方が好き。
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ファンタジーな物語が好き。
だから川上弘美さんの本は大好き。
この本は短編集で、ゆっくりと読むのが良い。
現実から逃げ出す話なんだけど、逃げ出したいけど、やっぱり逃げ出せない。
きっとみんな形は違うけれど、そんなふうに思いつつ生きてるんじゃないかな...
多かれ少なかれ。
そういう本です。
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川上さんは恋愛小説もすてきです。
恋愛小説と言いましても、やっぱりふしぎふしぎなお話ばかり。出てくる男女はみんなあっちこっち自分勝手の方向を向きながら、でもしっかりと互いの手を握っている、そんな感じです。ふわふわゆらゆらあわあわに溺レてみましょう。
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『センセイの鞄』の書評を読み、多分私好みだろうなあと勝手に思っていて、今作が私の川上弘美デビューとなりました。まったりとした暗さと浮世離れした世界観、かなり好み。それは江國香織にも通じるものでもあるけれど、あそこまでファンシーで浮き足立った浮世離れ感ではなく、もっと大人っぽく(っていう表現も違うんだけど、適切な言葉が見つからない……)どろどろとした部分が前面に出てきているような気がする。登場人物の人名が全てカタカナであることや、会話の部分に「」を使わない(必ずしもそうではないのだが)がまた面白い。題材となる小道具やタイトルも目を引き、「一体どんな話なんじゃこりゃ」という想像力をかきたてる。今作は短編集で、私は後半3作を特に面白く読んだ。またお気に入りの作家とめぐり合えてとても嬉しい。長編もぜひぜひ読んでみたいっ!早く『センセイの鞄』も読みたいなあ。文庫化早急に望む!(きっとまだ先だろう……)
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川上の書く恋愛小説は男と女の距離感が実に良いと思う。お互いに分っているようで分っていなかったり、分っていないようで実はちゃんと分っていたり。「真面目」な距離感という感じ。そしてこの本では二人はどうしようもなく「真面目」に逃げている。それはちょっと切ない風景だ。でも、その切なさの中に何か本質があるような気がして何度も読み返してしまう。短編集です。
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のほほ〜ん、ほわわ〜んとしながらも、切ない。静かに残酷。
4畳半のお部屋に裸電球。そんな感じの本です。
コトバが、なんか好きです。
わたしも「アイヨクニオボレ」たいなぁ、なんて。。。
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男女が溺レる瞬間。それは決して心地いいものではないものなのだろうか。かなり深い世界に潜り込んでいる作品。
さらりと読みたい人には「神様」などがおすすめ。
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人には言いにくい恋愛のダメな部分が川上弘美のフィルターを通すことでぼんやりと月明かりの下にいるように映し出されます。究極のサディズムとマゾヒズムの愛。情死などドロリとしそうなテーマがさらりと流れる文章には脱帽です。
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どの短編もどこかワケありの男女の話で、最後は何かが解決するというわけではなく、平坦な印象を受けました。それでも、読み進めていくと奇妙な魅力にとらわれます。
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解説者の言葉を借りるならそう、この短編集は「駆け落ち」「ミチユキ」をする男女の話を集めたもの。
逃げる二人の心の中なんてのは描かない。描くのは二人が道々どんなところでどんなものを、どんなふうに食べたか。
それだけなのに。それだけで。どうしてかしら、逃げる二人の心の中がジンと哀しく湿っていて、ほの暗いのがわかってしまう。
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短編集。1話目、2話目を読んだあたりで、「なんて“肉”っぽい作品なんだ!」でも愛欲のドロドロした部分を書きつつ、どこか外から眺めている、という冷めた部分がある。常に何かから逃げながら愛欲に溺れる人々の哀しさや、もがき。迫るものがあった。
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プールなんかで潜っていると、空気がなくてもなんだか息ができそうな気がすることがありませんか?
この主人公たちも、溺れているのに息ができるような気がしている。それでいいのだと言っている。そんな本だと思います。
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川上弘美の短編は受け付けないときとすごくはまるときがあるが、これはちょうどその中間くらい。
<『さやさや』の“
暗いのはこわいです。以前は暗いところになにかがいそうで、こわかった。今は暗いところになにもいないのが、こわい。”
この部分がとても好き。
深いような何気ないような心地よい感じ。
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川上弘美さんが並べる日本語の優しさだったり選び方だったりにいつもはっとさせられます。何かを学び取るというよりも、本という世界に浸る純粋な読書の時間をあたえてくれるもの
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読んでいるとなぜだか冬の海が目に浮かんでくる。寒く、白々しい、冬の海。そんな人気のない海岸でぴたりと寄り添い歩き続ける、一組の男と女。
ふとしたことから駆け落ちをすることになった男と女を、ちょっと滑稽に、でもやっぱりどこか哀しさを漂わせながら描いた表題作の世界に、自分もずるずると引き込まれて行かれてしまう。
表紙のデザインも秀逸。深く、どこまでも深く、油断したら吸い込まれてしまいそうなほど深い青は、この男女の世界を表現するにはぴったりの色だ。