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精神障害のある人の人権。
障害者の人権の取り扱われ方は、
とても複雑な問題です。
本書では、
治療という名のもとに社会から隔離され、
社会参加の機会が奪われてきた精神障害の人たちの問題に触れています。
ロボトミー手術や、不必要な拘束、暴行などが行われいた実態にせまり、
その問題は根本的にはまだ変わっていないのではないかと考えさせられます。
精神障害者の再犯率は決して高くないのに、
何かまた犯罪を犯すのではないかという恐れが人々の偏見として残っているといいます。
世界の流れは、
地域の中での治療、インクルージョンへと進んできているのに、
日本では逆に、隔離が進んできたと指摘しています。
障害への理解がないと、偏見が生じてしまいますよね。
まだまだ、その理解が進んでいないのかと感じました。
“精神医療において患者の権利を制約する原理としては、保護原理(Paternalism)と他害防止原理(Police Power)の二つがあるといわれる。パターナリズム(Paternalism)は、一般に父権主義あるいは国親思想などと訳され、国家が国民に対し、その堕落や危険を避けさせて健全な生活を送れるように、父親のような立場から指導をしてゆくという考え方である。”