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紙の本
スポーツの闇を暴く
2002/12/05 23:07
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:片桐真琴 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「スポーツ」と聞いて、私たちは「健康的だ」とか「健全な」といったイメージを、まず思い浮かべるだろう。スポーツをすると気持ちがいいし、また、優れたプレーや、ライバルチーム同士の手に汗握る試合を観戦したりすると、この上ない喜びを感じたりもする。テレビをはじめとしたマスメディアは、こういう表の部分をセンセーショナルに、時には感動の押しつけのような仰々しさで報道する。しかし、一歩踏み込んで、その裏側ではいったい何が起きているのかということを私たちが知ることは非常に困難である。
私たちがスポーツに抱くポジティブなイメージとは異なり、その裏側では、開催地をめぐる買収工作など、オリンピックも、ワールドカップも、商業主義と金権体質に取り込まれて、おおよそスポーツを語る資格のない団体によって開催されている。日本国内においても、日本体育協会やJOCら、スポーツ団体の多くは、学閥や保守的な古い体質が支配し、各種の利権が渦巻いている。スポーツはまた、ナショナリズムを煽る政治家やハコモノ建設の利権をむさぼる企業に常に翻弄されている。
このような、まさに「スポーツを殺す」ものたちを糾弾し、不正を糺すべき立場にあるマスコミもまた、野球やマラソンなどの中継を媒介としてこれらの渦に飲み込まれて、本来の役割を放棄してしまっている。
スポーツをめぐる情勢は、国際的には、商業主義に毒されてその存在意義が怪しくなっているオリンピックやワールドカップ、国内に目を移すと人気低迷に拍車がかかるプロ野球や大相撲、とっくの昔に存在意義を失ったにもかかわらず存続し続ける国体など、日増しに厳しくなっており、もはや危機的でさえある。
著者はこのような状況に警鐘を鳴らすべく、果敢に「スポーツを殺すもの」たちを糾弾する。本書で著者が指摘するスポーツ界に蔓延する商業主義や金権体質、スポーツの政治利用などは、本来あってはならないものである。しかし、いまスポーツ界を牛耳っている人たちは、自分たちの保身と利権獲得に汲々としており、本書を読むと、彼らの体質が私たちのイメージするスポーツといかにかけ離れているか、いかにスポーツが危機的状況にあるかを知ることができる。
著者は「日常的にテレビから流されるスポーツ報道を単に消費する(感動したり、熱狂したりして)だけでなく、その裏に錯綜した思惑が隠されていることを知らなければならない。なぜなら、そうした思惑に影響されてスポーツ世界に多くの深刻な問題が起きているからである。」と指摘する。スポーツを真にスポーツたらしめるために、スポーツを愛する私たちがこのような問題意識を常に持ち、鋭い目を光らせ続けなければならない、と認識を新たにさせられた。
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