推理小説としての出来だけを言えば、満点といってもいい。ただし、登場人物の型に嵌ったところ、それがなにか押し付けがましいっていうか、ウザイっていうか。ま、好き嫌いなんでしょうねえ
2004/08/04 20:27
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「作品内容の余りの愚劣さに、商店街から上映を禁じられた〈名探偵はつらいよ〉。虹北商店街の映画狂の若旦那三人衆が、名誉回復を狙って新作にとりくむが」児童小説。
『虹北恭助の冒険』につづくノベルス版で、『虹北恭助の新・新冒険』と同時発売。ただし、推理小説としてはおふざけが過ぎてしまい、前作より一歩後退、同じ新書でも青い鳥文庫のほうがぴったりする、といったら、はやみねファンは怒るだろう。
形式的には、青い鳥文庫でおなじみの〈名探偵 夢水清志郎〉シリーズに似て、メインの話の前後(この本では、前だけだが)に本格推理短編を置いてから、本編に入るもので、今回は「夜間飛行」が前振り、「外伝の一 おれたちのビッグなエンターテイメント」が外伝ながら中心になる。話によって語り手が変わるのが今回のミソだろうか。
アメリカに行ったきり、連絡ひとつよこさない虹北恭助。彼がいないのがちょっぴり寂しい中学一年の野村響子が、最初の話の案内役。商店街の依頼で作ったコマーシャルフィルム、怪獣が暴れ周り、終いには商店街が破壊されてしまうという奇っ怪な作品が封印されてしまったことに憤懣やるかたない映画マニアの若旦那三人衆の、汚名挽回、起死回生の新作づくりに狩り出された響子は、時間の合間をぬって恭助の祖父 恭市郎が経営する古本屋虹北堂を訪れる。
彼女が手にしていたのは、恭助なら興味を持つであろうS市の小学校で起きた、小さな事故の記事。掃除をしていた小学生の少女が屋上から落ちて、重態で意識不明のままであるという。夕方の校舎で何があったのか、それを読んだ恭一郎は、響子に店を任せS市に向う「夜間飛行」。
またしても自分たちが作った映画が上映されなかったことに不満を抱く若旦那三人組み。そのリーダーでもあるカメラ屋〈大怪獣〉の若旦那が今回の語り手。彼等が、映画の上映場所に選んだのが、自主制作映画だけを上映する虹北シネマという小さな古い映画館。ただし、一定水準に達しない作品が上映されることはない。
館主の小野寺史朗を十年前に畏怖させた「妖」という映画は、そのあまりの凄さゆえに封印されたという。私は、それと競わせる形で自分たちの作品「名探偵はつらいよ リターンズ」の上映を目論むが、その話を聞きつけた「シネマニア」製作の連中も相乗りしてきて。幻の名作「妖」に秘められた真実、低レベルの作品には〈北斗七星が舞い降りる〉といわれる映画館のいい伝え。そして三作品のうち、本当の傑作は。男たちの名誉と意地を賭けた闘いが始まる、と書くとちょっと大げさな「外伝の一 おれたちのビッグなエンターテイメント」。
前作『虹北恭助の冒険』でも野村響子のキャラクターは好きではなかった。それは作品を読み終わった娘たちも口にしていたから、ある程度平均的な反応だろう。ちょうど〈名探偵 夢水清志郎〉シリーズのレーチの存在に近いのかもしれない。どうも、はやみねには意図的かどうかはともかくとして一つの固定化した児童像があるみたいで、正直それが鼻につく。それから、軽さを通り越して馬鹿らしいといいたくなるような人物の動きも、気になる。
しかし、前作でも指摘したが、そういった挟雑物を取り除くと、じつにすっきりした本格推理小説になる。それに免じて、前回は傑作と判定したが、今回は逆におふざけが足を引っ張った感じ。この本に関して言えば、むしろ児童書にしてしまったほうがいいのではと思う。推理の部分は、本当に素晴らしい。確信犯的はやみねの作風を好むか否かが、評価の境目かもしれない。
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子供向けのようで、その実かなりのマニア向けっぽい匂い漂う作品。特に「おれたち――」は小学生には分からないだろう。ネタが。推理小説としては早々にネタばれしたりしているので、それほどでも無いけど。エンターテイメントとしては楽しめる。「夜間飛行」では挿入されている漫画が事件の重要な鍵になっていたりして、面白い。この表紙は買うのにちときついけど。
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とても珍しいタイプの読書でした。
基本は子供が読みやすいようにと書かれているのでしょうね、漫画が挿入されていたりと親切な作りになっています。
この巻に関しては、誰が主役なのか分かりませんね。
小学校の頃などに、はやみね氏に出会いたかった!
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恭助が帰ってきた話と映画に情熱を燃やす3人のうちの一人である若旦那の一人称で書かれた番外編。
表紙の女の子は響子?でも髪の毛の色も目の色も制服も違うし…。誰なのかわからない。
恭助をどうも好きになれません。番外編の若旦那の話は面白くて好きです。40歳過ぎてるのに妙に子供っぽい気もしますが。「わたしの趣味は、踏み台昇降運動だ。」ってところにうけました!あと、「随々ずっころ箸」の古文書解読の場面もすごいこじつけに笑ってしまいました。
「随々の作った『ずっころ箸』です」「随々?」「二千年前、中国にいたといわれるシャ−マンです。――ご存知無いですが?」誰だよそれは、みたいな。
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さてさて中学生編です。いなくなった恭助が帰ってきます。(笑)今回はちょっと寂しいお話ですが、それでも『成長』には欠かせない物なのかと思います。
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やはり優しいイメージの作品であると感じた。大きかったり、怪奇趣味にあふれる謎が繰り出されるわけではないんだけど、ちょっとした発端から真相まで一気に読める面白さがある。真相も、その世代の子にしかわからないであろう心理的な要因で、ひざを打った。
もう一編のほうは……まあいいか。語り口があまりにもイタくて読みにくい。
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主人公がほとんど、まったくと言っていいほど出てこない作品。
一話目、最後に謎明かし。
二話目、まったく。
少なすぎ。
人が死なないミステリを読みたくて、知っているシリーズであるこの本を手にとってみたんだけど、
薄いしね……、一話目での女の子の事件だが、心理的な謎だったせいか、どこか釈然としなかった。
外伝のほうで、映画の内容を太字で記して、本編に戻るときに普通の字体に戻す。その瞬間が映画の上映が終わり、館内が明るくなったような鮮明さがあった。
外伝で映画が始まるまで退屈だった。
「ずいずいずっころばし」の歌詞を丸々見て新鮮だったし、自分の知っている歌詞と細部が違っていた。
地域による違いを調べてみるのもおもしろいと思う。
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若旦那たちの蛮行を楽しみにしているひとにはオススメな一作。
どんどん異なる方向へ突き進んでいくなぁとため息が…
まあ、好きだから読みはするんですが。
映画の話は、21歳の私では分かりにくいネタがちらほら。笑いどころか…?
日常ミステリとして楽しめますが、それだけを求める人にはむかないやも。
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これは番外的要素のほうが
強くてちょっと受け付けられない作品でした。
まあ若旦那と仲間たちの
暴走っぷりは面白くはあったけど
正直ミステリー?と思わざるをえませんでした。
それと一応恭助が出てくる作品も
これは少し考えれば
わかる作品でしょう。
そう、ヒントは掃除用具。
なんか裏切られました。
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あの少年名探偵・虹北恭助が帰ってきた!少女はなぜ小学校の屋上から落ちたのか――?いわくつきの幻の映画「妖」に隠された秘密とは――?美少女・野村響子ちゃんをワトソン役に、虹北恭助(とカメラ屋の若旦那)の推理が冴える!はやみねかおるの新本格ミステリ魂がいっぱいにつまった一冊。
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恭助と再び会える!響子ちゃんとの関係に進展は!?
と楽しみにしていたのに、恭助の姿がない。
ようやく出てきた、と思ったら。
ミステリ要素はあまりなく、虹北商店街のドタバタ話に終始。例の映画3人組のお話がメインなのでただただ残念。
あと、漫画いらないかな。
思っていた内容とのあまりの違いに愕然とした。
とりあえず、新・新と同時期に出たようなのでそちらも読んでみようかな。
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前作を読んだのは4年前!でも覚えてました☆
そうそうこれ児童書なんですよねー
ミステリだけと謎はふんわりとしか解かないf^_^;しかも今作は主人公はちょっとだけ出てきて、あとは外伝。ちょっと拍子抜けでした。小学生のときだったらハマったかも…
残念です。
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【感想】
・ミステリ要素は、ないこともない。
【一行目】
「リターンズだ――」
【内容】
・恭助くんはちょこっと出た(ような気がする)。主人公は若旦那だという一冊。
▼虹北商店街についての簡単なメモ
【青谷】喫茶店「FADE IN」のマスター。美形だがミーハーな女性客を避けるため顔の下半分を髭で隠している。店名通り、映画好き。寅さんが映画の原点だと信じている。
【妖/あやかし】京藤光太郎(きょうどう・こうたろう)監督の怪談映画。小野寺氏推薦。
【綾小路】虹北市民病院の美形医師。響子は名医認定した。
【一福/いっぷく】こちょう屋の隣にあるお好み焼き屋。響子の同級生、寺田春男くんの家。
【お願いビル】元々は幼稚園受験から高校受験までのための塾ビルが建つ予定だったが不況で建設中止となり廃ビルとして残った。当初は「幽霊ビル」と呼ばれ子どもたちに大人気だったがお願いがかなうビルと言われいつしか「お願いビル」と呼ばれるようになった。
【小野寺史朗/おのでら・しろう】映画館「虹北キネマ」の館主。かける映画の審査は厳しい。
【風街美里/かぜまち・みさと】担任教師。二十歳プラス百八十か月くらい。学生時代空手をやっていて「無敵の美里」と呼ばれていた。
【克史/かつし】響子のクラスメート。情報屋。あらゆる情報を集めているが信憑性はいまいち。
【香奈】お肉屋の娘。いじめにあっていたがお願いビルにお願いしたらやんだ。
【カルチェラタン】本格フランス料理屋だがなぜかメニューにカマスの塩焼きなんかが入ってたりする。
【河戸】河戸酒屋の店主。「酔いどれ河戸」と呼ばれている五十八歳。
【気狂いピエロ】ゲームセンター。毅くん御用達。
【木村洋品店】主人は頑固者。水木呉服店に対抗できる唯一の存在で仲が悪い。
【清/きよし】カメラ屋「大怪獣」の若旦那。アメリカ俳優のようなキザなポーズがよく似合う。
【コーパレーション】夜泣きそば屋。
【虹北キネマ】自主制作専門の映画館。
【虹北恭一郎/こうほく・きょういちろう】恭助の祖父。
【虹北恭助/こうほく・きょうすけ】古書店「虹北堂」の息子。小学五年生だが学校には行っていない。なんでも本にはすべての知識が詰まっているから学校は必要ないんだとか。聞いただけで謎を解く不思議な能力から「魔術師」と呼ばれている。目が細い。
【虹北商店街/こうほくしょうてんがい】古い商店街で店の種類も多く、生まれてから死ぬまでに必要なあらゆるものが揃うそうだが不況の風が吹き荒れている。アーケード街は一キロもあるそうだが、天神橋筋商店街並み?
【虹北堂】古本屋。虹北商店街はこの店から始まって増殖した。恭助の祖父の店だが祖父は買付のため全国を飛び回っておりほとんど店にいない。
【こちょう屋】駄菓子屋。百歳を超えてるかもしれないおクマ婆さんがやってる。
【佐々木さん】響子のいる小学校の卒業生で腕のいい医師。響子には無縁。今度県議会に立候補するとか、小学校にプールを寄付してくれるとかの噂がある。
【茂】木村洋品店の一人息子。大学生にして暴走族のリーダー。
【シネマニア】隣町の自主制作映画グループ。
【翔一/しょういち】クラスメート。
【翔子】美空レコードの娘。幼稚園児。お母さんが市民病院に入院している。
【シロ】哲学さんといっしょにいる犬。
【鈴木陽子/すずき・ようこ】退職した教師。
【大怪獣】カメラ屋。
【タイトロープ】駅の反対側にできた大型スーパー。売り上げが落ちるのではと大騒ぎしたが、できた後も特に商店街の売り上げに影響はなかった。えらい店名や。
【辰巳/たつみ】カメラ屋「大怪獣」の番頭。七十歳を越え痩身、無表情でハリウッドスターのような風貌。
【毅/つよし】料亭の息子。
【哲学さん】駅前に住むホームレス。商店街の中央広場によくいる。穏やかで子どもも子ども扱いしない。
【デッドライン】おもちゃ屋。えらい店名や。
【寺田春男】お好み焼き屋「一福」の息子。お菓子好きで太っている。
【ナイト】虹北堂の黒猫。
【西岡】メガネをかけた七三分けのクラスメート。目立ちたがり屋で何にでも立候補する。卒業記念実行委員会にも立候補し響子とともに選ばれた。
【野村響子/のむら・きょうこ】語り手。小学五年生、二話目から六年生。虹北商店街のケーキ屋さんの娘。両親と大学生の姉がいる。ピアノを習わされているせいで音楽は嫌い。
【野村真/のむら・まこと】響子の父。プロレスラーのような太い腕のケーキ屋さん。酒は苦手。虹北商店街振興会の会長。
【鳩矢】「シネマニア」のプロデューサー。
【FADE IN】青谷さんがやってる喫茶店。
【藤井真理/ふじい・まり】クラスメート。
【松本】フランス料理屋「カルチェラタン」のオーナー。
【美亜】学校で残され塾でも残され「わたしの青春はどこに行ったの」と嘆く小学二年生。学校の校庭に鬼を見た。
【水木呉服店】発言力が強く頑固者。木村洋品店と仲が悪い。
【美佐子さん】水木呉服店の一人娘。美人。
【宮崎】イラストレーター。色白の青年。映画好きで市川崑監督の金田一耕助シリーズを最高だと信じている。
【三好由香/みよし・ゆか】クラスメート。
【名探偵はつらいよ】虹北商店街のプロモーションビデオのはずがなぜか大量殺人が発生し大怪獣が商店街を破壊する。若旦那、宮崎さん、青谷さんのトリオが作った。
【メヌエット賞】商店街を盛り上げるためのアイディア募集イベント。第一回受賞は「すべてがトウフになる」。その後迷走。
【由美子】喫茶店「FADE IN」のアルバイト。大学で社会教育学を学ぶ。
【リュウ】一福の猫。触ろうとするとかみつく。弱っていたところをナイトが連れてきて、寺田春男くんが飼うことにした。
【若旦那】カメラ屋「大怪獣」の若旦那。四十歳独身、甘いマスクに長身。モテ要素満載だが恋人はいない。映画好きで大怪獣の出る映画だけを認めている。