- 現在お取り扱いが
できません - ほしい本に追加する
- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
4 件中 1 件~ 4 件を表示 |
紙の本
作者が、人気シリーズに自分で引導を渡す、それもこんな形で。いや、私は密かに夢見るんだ、モース最後の事件が隠されていることを。
2003/04/09 20:39
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
名探偵が小説の中で死んでしまう場面には、めったにお目にかかれない。彼が人気ものであれば、ホームズみたいに生き返ることだってある。むしろ、探偵よりも作家のほうが先に逝ってしまったり、創作活動をしなくなって自然に消えていくのが多いだろう。だから、まだ元気なデクスターが25年以上も付き合ってきたモース警部に引導を渡すと聞いて、トリックに違いないと思って読み始めた。
アルコールの摂り過ぎで体調を崩し、病気療養中のモース警部は、まだまだ職場に復帰できるような状態ではない。そんな彼のところに、退職を控えたストレンジ主任警視が訪ねてきた。一年前に起きた看護婦殺人事件を再調査してほしいという。自宅の寝室で手錠をかけられたまま全裸死体で発見された看護婦とモースは面識があった。
酒びたりの日々のなかで、体をぼろぼろにしながら捜査をするモース。上司の体調を気遣うルイス部長刑事。看護婦イヴォンヌの淫らな生活、連続する関係者の死。モースのためらいの背後にあるものは。死者の不可解な姿の意味するものは何か。夫のフランクのアリバイ。出獄したハリーと事件の関係は。病を押して働くモースの体は、危機にさらされる。
『ウッドストック最終行きバス』から殆ど全部読んできたモース警部シリーズ。『キドリンから消えた娘』あたりまでが個人的には好きだが、本国英国での評価は後年になるにしたがってますます上がった。英国推理作家協会賞をとった『ニコラス・クインの静かな世界』は、興奮して原書まで買ってしまった。ただし、それは「積読」ならぬシマットク状態。結局、翻訳で読んでしまった。一体今はどこに隠れていることやら。
作家がシリーズに終止符をうつという点では、クリスティーの『カーテン』と同じ位置付けになるのだろうけれど、作家が元気なだけに寂しい。モースには二度と会うことが出来ないのだろうか、もしかして金庫に大傑作が隠されていたりして。デクスターの死後、金庫からだされた包みが開けられる、「開梱の日」なんちゃて。冗談じゃあなく、私はそれを望んでいる。
4 件中 1 件~ 4 件を表示 |