紙の本
う~ん……。
2017/02/06 18:47
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投稿者:うりゃ。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
陰陽寮成立後から、朝廷の管理下にあった陰陽師を含めて調べたいことがあったので、やや残念。
安倍晴明以前の陰陽博士というのが、晴明から三代くらい前から名前も何もわからないので、そのあたりについて調べたかった。
現代のイメージに添った陰陽師についての記述はいい。
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荒俣宏といえば、「帝都物語」。
「帝都物語」といえば、「陰陽師」。
だと思っていたので、この本が「帝都物語」のあとに書かれたというのは、けっこう意外です。
荒俣宏は、博物学者をめざしていて、ものすごい知識を持っているというのが、わたしのイメージ。
だから、この本で書いたようなことは、もうとっくに知っているのだとばかり思っていました。
だいたいこの本、おもしろいんだけど、いつもの不思議な荒俣節が見られなくて、とってもおとなしい真面目な本になっています。
これは、荒俣ファンではなくて、新書の読者のために書かれた本ということなんでしょうか?
てな、作者への興味はおいておくとして(笑)
「陰陽師」というのは、本当におもしろい集団だなぁと思います。
僧侶であるとか、山伏であるとかは、信仰の結果として、超能力を得るわけですが、陰陽師の場合は、そういう中心になる信仰がないんですね。
そして、信仰がない故に、いろいろなものの技術だけを抜き出していく。
潔斎するのも、神に仕えるからではなくて、そうすると術の能力があがるからという身も蓋もないところがあります。
そういう魔術というのは、かなり珍しいのではないかと思ってしまいます。
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ブームとなった安倍晴明を代表とする平安時代の陰陽道ではなく、その系譜を現代に引きついた民間の陰陽師に関して、著者自身が聴き取り調査をおこなった流ポタージュです。取り上げられているのは、岡山の上原大夫と「金神」、高知の芦田主馬太夫、そして同じ高知のいざなぎ流の末裔とされる人びとの中に今も受け継がれている、もう一つの「陰陽道」です。
興味をかき立てられる内容であることは事実なのですが、近代以降の民間信仰をメイン・テーマとするのであれば、もう少し広い意味での政治的な脈絡についても踏み込んで考察を展開してほしかったという気がします。もっとも、そうした議論はアカデミズムにおける民俗学者に期待するべきで、偉大なるディレッタントともいうべき著者にそうした役割を求めるのはお門違いなのかもしれませんが。
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カリスマの陰陽師・安倍晴明の亡き後の、陰陽師たちの
その後はどのようなものであったのか。安倍氏、土御門氏、
民間の陰陽師たちの歴史とその歩みと役割を解き明かす。
・はじめに
第一部 安倍晴明の子孫たち
第二部 吉備、上原大夫の知恵
第三部 土佐、芦田主馬太夫の謎
第四部 高知、いざなぎ流は生きている
・あとがき
古い家系である安倍家が領地替えで河内へ転地したことから、
帰化人たちとの繋がりが出来、陰陽道への関わりが生まれた。
そして登場した陰陽道のカリスマ、安倍晴明。
その子孫たちはその後どうなったのか。
時代の変遷の中での権威の浮き沈み。
戦乱、天文暦学での失墜、権力者の影響、西洋天文学。
江戸時代に復活したが、明治維新での陰陽寮の廃止と
廃仏毀釈で、多くの陰陽道の遺産を失うこととなる。
では民間の陰陽師たちはどうなのか。
各地に残る陰陽師たちの足跡を求め、フィールドワークへ。
安倍生命伝説の残る吉備。上原の陰陽師集団、上原大夫。
金神信仰、金光教の赤沢文治と関わる小野光右衛門。
土佐の陰陽頭(博士頭)の、芦田主馬太夫。
その土御門家との繋がりとさんじょ大夫としての役割。
高知は物部村で伝承された、いざなぎ流。
伝承に残る、式打ちや法力を使う大夫の姿。
時々、他地域や他国の儀礼等、興味を呼び起こされた方向へ
話が寄り道してしまうので、脳内が迷路化して
戸惑うこともありましたが、全体的に面白かったです。
都落ちした陰陽師や平家の落人など、隔離された場所に
都の文化等を持ち込み、独自の文化を形成し、
それらが民間陰陽師の地として残っていたような。
他にも、民間陰陽師の文化が遺されている地があるのかも。
また、文中には書かれていなかったけれど、
いざなぎ流の舞神楽(御祈祷)は、国の重要無形民俗文化財に
指定されています。御幣制作の技術共々、興味惹かれました。