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ザ・ファミリー みんなのレビュー
- マリオ・プーヅォ (著), 加賀山 卓朗 (訳)
- 税込価格:1,012円(9pt)
- 出版社:ソニー・マガジンズ
- 発行年月:2003.1
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文庫
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あのボルジア家を、あの『ゴッドファーザー』の著者が書くと?
2004/03/03 15:40
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投稿者:アルテミス - この投稿者のレビュー一覧を見る
読んでいて違和感たっぷり。
ルネサンス期のローマ法王庁が、シカゴかニューヨークの裏社会のようである。
マリオ・プーヅォ氏は、イタリア系とはいえ、イタリア人ではなくアメリカ人だったのねえと、当たり前のことを納得してしまった。
ただし、ルネサンス期イタリアに思い入れのない人が読めば、たぶん面白いのではないかとは思う。
厚さが2センチ強もある上、違和感に引っかかってしばしば他の本に逃避したのにもかかわらず、数日で読み終わってしまったくらいだから。
しかし。
ルネサンス期イタリアの知識がまったくない人が、あとがきに、本書が20年以上にもわたる構想の末に書かれたとあるのを読めば。
きっと史実の隅々まで熟知した上で書かれたものだと思うだろうし、とすれば、うっかりした人ならこの本だけで当時のイタリアをわかってしまった気になりはしないだろうかと、よけいな心配が頭をもたげてくる。
老婆心ながら言っておくと、この本は、史実どおりではない。
説明しやすい所をひとつだけ挙げよう。カテリーナ・スフォルツァのエピソードだが、城壁の上でカテリーナの言った台詞は、チェーザレに攻められたときのものではない。それよりずっと前の、最初の夫を殺した反乱者たちに包囲されたときのものだ。
おそらく、著者はそんなことは百も承知で、故意に間違えているのだと思う。
このカテリーナの台詞は有名なもので、彼女の並外れた度胸と駆け引きを端的に表すものとして、カテリーナを書く作家は必ず引用するものだ。20年もの間資料を読み構想を練ったとあれば、史実を知らずにはすまないからである。
私は、それを否定することはしない。歴史書ならともかく小説として書かれたものなら、その評価は小説としての完成度をもって語られるべきであって、史実との違いを云々するのは筋違いだ。上記の指摘に「老婆心ながら」と断りを入れたのは、そういう意味である。
これから城を取り囲んで攻防戦を開始しようというシーンで、彼女は過去にこれこれこういうエピソードがあって、という説明をしていては話の勢いがそげる。ならば史実は横に置いて、今始めようという戦いに組み込んでしまったほうがいい。
著者はそう判断したのだろう。
その判断の当否は、私には言及できない。史実は史実、小説は別ものといういつもの価値観が、ルネサンス期イタリアの歴史に対する思い入れに邪魔されるからだ。
ボルジア家なんてこの本を読むまで全然知らなかったという人で、本書を読んだ人、どなたか書評を書いてもらえないだろうか。
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