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紙の本
これからの30年、ヒルサイドテラスはどう変わるのだろうか
2005/09/10 21:45
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る
東急東横線の代官山駅を降り、左へ歩くと大きな歩道橋が見えます。そこから北西方向に伸びる旧山手通りにヒルサイドテラスがあります。
実際に行ってみると、さほど高くはない白い建物群がいくつか建っているという程度で、何か流行のファッションタウンという類いのものではありません。しかしこれが国の内外から高い評価を得、日経アーキテクチャー2002年1月10日号では「長い年月を経てもデザインが陳腐化しない建物ランキング」3位に選ばれた街なのです。
本書はそのヒルサイドテラスの歴史を、施主である朝倉家を明治期にまで遡り、建築家・槇文彦と朝倉家の出会いや、30年という長年月をかけて少しずつ積み上げてきた経緯などをまじえて、つまびらかにしていきます。
住居と商業区域の混在、古墳時代から受け継がれてきた自然環境との共生、そして芸術文化活動などの拠点、という多様な要素を含むヒルサイドテラスは、時間との共同作業の中で育まれてきたものだと本書は言います。
「街とは、建築が出来た時に完成するのではない。<時の流れ>のなかでそれが環境として成長し、成熟することによってつくられていく。ヒルサイドテラスの開発に流れた時間は、代官山がひとつのコミュニティとして成長するプロセスに必要な時間でもあったのである。」(70頁)
街が急速に変貌を遂げることに都会に住む者は慣れてしまいがちです。そうした時代にあって、代官山の一角に、高層住宅が建つこともなく、地域の人々がゆっくりと熟成させた町があるというのは大変稀有なことでしょう。
この先の30年、ヒルサイドテラスがどう変わるのか、変わらないのか。じっくりと見ていきたいという思いにさせてくれる一冊といえます。
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