紙の本
まだまだ少女、というには歳を重ねすぎた私だけど。
2010/02/22 15:24
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:空蝉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
桜庭一樹は少女の代弁者である、というのがどこか定着している。
けして少女だけを扱ってきたわけでもなく、本策も登場するのはgirlというよりはlady・・・恋愛も友情も肉親も、下層から上層まで幅広く舞台に構える桜庭作品、それでもなお少女の視点が失われないのは、女そのものが純粋に危うく揺れる少女という幻想を持ち続ける生き物だからかもしれない。
少女は憧れ焦がれる生きた結晶だ。
簡単に壊れ容易く揺れ動き、すんなり憧れた色に染まってしまう、大人に憧れつつ全力で拒否する矛盾そのもの。
それでも人は色々なものを失って大人になっていく・・・だからこそ「何か」を喪失進行中の少女は必死に「何か」に憧れ、縋りつき、ソレを探し続ける。
そして、本作品の少女達のその「何か」は彼女らの居場所そのものなのだろう。
深夜、廃校で行われる違法のガールファイティングマッチ。怖れつつも出られずにいた「檻」から世界に逃げ出したまゆ、愛されるように演じ続ける自分を捨てて格闘の中に己の世界を見つけたミーコ、「女」を拒絶し「家」から逃げ、ようやく一人の女を愛し初めて自分と向き合えた皐月。
設定も舞台もフツーではない、登場する彼女達もフツーとはとてもいえない。
彼女らの心の動きにも結末にも納得いくか?と問われれば正直YESとは言い切れないが、それでもどこか共感し、何の不思議も感じないのは、彼女らの発するピンク色した結晶の光が私の中にもまだ流れているからかもしれない。理屈ではなく感覚的だがこれ以上無いくらいハッキリ肯ける一つの答え。
彼女らが格闘技の中にソレを見出したように、私にはソレが感じ取れる。そのことに何か嬉しくて、どこか安堵する。
いつか著者もこの感覚を忘れていくのかもしれない。こうした少女のリアルさを表現できなくなるのだろう。
そして私もいつか、今このとき感じているようなピンク色の感情をなくしていくのかもしれない。そしてどうしてあの時この作品にあんなに共感できたのだろう?とこぼすことになるのだろう。
だから、今この感想を、共感を、伝えたい。
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女の子一人一人の生き様がすごくかっこィィですo深夜に格闘技してるってすごいバイト・・・!その非日常的な世界がすごく幻想的ですw
女の子たちの関係も好きだなぁoつかずはなれず?みたいなw
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まあまあ。分かりやすい大きな盛り上がりはないけど、淡々とした描写が深夜のキャットファイトショーという非凡とギャップがあってよい?
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どこの本屋を探しても無くて、やっと古本屋で見つけたと思ったら、状態かなり悪いのにお値段高め(桜庭先生直木賞候補の影響だと思います‥)で、でも買ったという‥。素直にネットで買えばよかったような気がしました‥。内容は、あまりライトノベルっぽくなかった。桜庭先生の十八番、少女の切なくて痛々しい青春物語。誰にでもオススメできる本とは言いがたいですが、最近桜庭先生のファンになったけれど、ラノベ苦手だから読もうか迷っている‥という方は大丈夫なのでぜひ。
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幼さと、かよわさと必死な姿で、常にショーで人気ナンバーワンのまゆ十四歳−−−(実は躁鬱の激しい二十一歳)、魅せることに至上の喜びを感じる女王様、ミーコ−−−(実は恋に悩むSMの女王様)、女の子にモテモテなのに女性恐怖症の皐月−−−(実は……)
彼女たちが毎夜働くのは、廃校の校舎を改築した非合法ファイトクラブ。それぞれ、秘めた思いを胸にたたかっている−−−。驚天動地のラブ&アクション!
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なんとなく地味さを感じたのですが、作者も挿し絵も優秀かつ有名なクリエイターさんです。
「深夜のキャットファイトで戦う、ちょっと訳ありな女の子達」という設定で、少女…じゃないな、立派な女性ですね、の心の闇と、それを乗り越える短編が三つ続いています。
凄く感傷的な本ですが、その繊細さを見事に書き上げていると思います。力強く、美しい本です。
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キャットファイトという時点でかなり好き。三人の女の子の生き方の話。七竈好きな人はミーコ好きなんじゃないかなあ。わたしはまゆか千夏さんだな
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共感はしにくいけど、ところどころには・・・という感じでしょうか???
世界が異様過ぎるので微妙ですが。
3人の女の子の生き様ですね。この作者は本当にこういう「生き様」的なものをうまく書きますね・・・。
ミーコの話は不完全燃焼な感じでしたが、皐月とまゆは良かった☆
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ここで毎晩開催されているのは、『ガールズブラッド』という地下キャットファイト(女の子の格闘)クラブ。
会場は廃虚になった小学校。
そこでまゆたちはそれぞれのコスチュームで戦っている。
まゆ十四歳(実は躁鬱の激しい二十一歳)、女王様のミーコ(実は恋に悩むSMの女王様)、女の子にもてるのに女性恐怖症の皐月(実は……)そんな三人の心情を素敵に書き表しています。
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桜庭先生の作品はこういう軽く読めるノリのほうが好き。
地下女子格闘技に所属する3人の女の子のお話。
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イラストが、『最終兵器彼女』の高橋しん先生です。
桜庭先生、直々のラブコールで実現したそうで。
内容も、痛々しい少女を描いてます。
廃校になった小学校で行われるキャット・ファイトが舞台。
虐待、家庭不和などの問題を抱える3人の少女について、
オムニバスで描かれてます。
私は2人目の女の子の話が1番好きです。
物語としては、1人目に圧倒的に力を注いで書かれてます。
その割には、根本的に解決していないのですけど……。
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「強くならないと生きる資格がないわけじゃないから 弱いままでも、いいんだよ」とはFlyingShine制作『CROSS†CHANNEL』(2003)の台詞のひとつであるが、本書にもまた、同じことが言えるだろう。
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桜庭一樹さんのライトノベル時代の作品。
このころの作品って、少女が傷つきながらも懸命に生きる物語が多いと思う。今回も3人の少女(一人少女、といえない実年齢の登場人物がいるけれど、見た目少女だからなぁ)が色々な過去を振り返りながら傷つき、でも強く生きようとしている姿が、一つ一つの場面を想像するたびに浮かび上がってくるところが良いなぁ、と思った。
高校生くらいの女の子に読んでほしい1冊です。
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角川にひとまとめで再録された頃に読みそびれたのを、古本屋でオリジナルを発見したので確保。
オーバーラップさせつつ、同じ舞台で3人のヒロインの物語を連作短編集的に描く。のだけれど。
結局、それで、自分で喜んで物語として消費できたのはミーコの話だけで、その前後はどうにもダメというか、おそらく、カタルシスを感じない。でも、極めて桜庭一樹っぽい話で、「私の男」とかは、ここらへんから始まってるのだなぁ、という感じ。