紙の本
『指輪物語』を読み返す時は、ぜひ手元に
2003/12/29 01:53
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:べあとりーちぇ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ひとつの指輪を放棄する長く困難に満ちた旅の途中で、ふと自分が(というよりはフロドや馳夫やガンダルフたちが)いったい中つ国のどこいらへんに居るのか、判らなくなって混乱したことはないだろうか。子供の頃の筆者は、文庫各巻に掲載されている地図と本文を首っぴきにしながら、それでもしょっちゅう迷子になって困ったものだった。
フロドたちの足跡が判る詳しい地図があったらなあ。ずっとそう思っていたものだったが、それは他の人も同様だったらしい。そして本書の著者バーバラ・ストレイチー氏は、思いが嵩じて実際に地図帳を作ってしまった。子供の頃に本書が出ていたら良かったのにと思う。邦訳されるまでに20年以上もかかっているとは、実に残念なことだ。
本書には、フロドが1418年の9月23日にホビット庄を出発し、翌年10月30日にホビット庄に帰ってくる長い旅路のすべてが(それから後日談と、2年後のフロドの旅立ちも)詳細な地図の上に日付とイベントメモ入りで記されている。その数、中つ国全体図も含めて51枚。50の章に分けられた旅路の各ルートは、ストレイチー氏が『指輪物語』本文や関連書を研究した末にはじき出したものである。例えばこんな感じで。
>>(トールキンの図ではホビット庄と水の辺村は4マイル離れているが)
>>私はホビット村と水の辺村を近づけて描いた。というのは〜中略〜ビルボは
>>これを10分で走りきっている。したがって、もし4マイルだったら、
>>すばらしい世界記録を樹立したことになる。彼の足の短さを考えれば
>>なおさらであろう。
もちろんストレイチー氏は可能な限り『指輪物語』本文に添った分析を試みているし、実際、どうしても解釈困難な場所はほんのわずかだったそうだ。トールキン氏の描写が首尾一貫していることには少々驚かされる。なにせストレイチー氏は本文を読み解いて、月の満ち欠け表まで付けてしまったほどである。1日かそこらの狂いはあるものの、中つ国の満ち欠け周期は地球と同じ「29と1/2日周期」を当てはめることができる、というのだ。よくもそこまで数えたものだ。
また日本語版では、ストレイチー氏のイベントメモを補強する詳しい解説と、巻末に地図索引もついている。本書だけを再読しても、フロドたちの旅が目の前に髣髴とするようである。
原著書が出版された同じ年には、トールキン世界解説の決定版とも言うべき『「中つ国」歴史地図——トールキン世界のすべて』の原著も出ている。『シルマリルの物語』や『ホビットの冒険』まで網羅しているので、詳しさと幅広さの点ではこちらの方が勝っているのだが、ページ数が本書の2倍(お値段は2倍以上)あり、ちょっと手元に置いて気楽に参照するというわけには行かないかも知れない。
そういう理由で、筆者はむしろ本書の方がお気に入りである。贅沢を言えば、いっそ思い切ってソフトカバーにして、価格と重量をもうちょっと減らして欲しかった。そうすれば副読本としての機動性がもっと高まったと思うのだが。
投稿元:
レビューを見る
原作の地図と描写をもとにした、旅の仲間全行程の詳細な地図。地理関係がわからなくてとっつきにくい、という方にもうってつけの副読本です。
投稿元:
レビューを見る
『「中つ国」歴史地図』は完璧ですが、もう少ししっかり『指輪物語』の仲間たちと旅したいときに使える地図です。
投稿元:
レビューを見る
資料として、また旅の仲間を想うとき、たいへんお世話になりました。中つ国歴史地図よりお手軽かもね。おすすめ。
投稿元:
レビューを見る
指輪物語本編における月日や景観の描写からおこした旅の地図。等高線と距離表記つき。旅の経路も把握できます。読んでいたら地図が欲しくなるだろうという心理を鋭く突いてさあ手に取れと囁いてくる指輪の如き魔の書。
ここまでやってしまう、その心意気がタマラナイです。
投稿元:
レビューを見る
積読中。原作を元にした旅の仲間の詳細な地図。かなり本格的。ざっと眺めただけでまだ味わってないのです…。ゆっくり読みたいな。
投稿元:
レビューを見る
『指輪物語』の登場人物たちがたどった旅の行程を、詳細な地図を作成し、日程と月齢(カレンダー)とともに再現した、「旅の仲間」究極のガイドブック。小説を読んだだけではよくわからないミナス・ティリスの構造や、滅びの山へのルートなど、ある意味、映画で見るよりはるかに立体的に、想像力豊かに中つ国の全体図を見せてくれる。指輪マニアのひとつの到達点としてもすばらしい。こういう本が翻訳出版されただけでも、「ロード・オブ・ザ・リング」が公開された価値はあったと思うよ。
投稿元:
レビューを見る
地理感覚も距離感覚も皆無の私にとって、指輪物語の旅の道筋はわかるようでわからないままでした。この本のお陰で、自分の中で具体的イメージができた気がしています。うんとはまった方には、こんな副読本もお奨め!
投稿元:
レビューを見る
読書をしながら地図を参照するのは今回初めての試み(本に載っていたり、付属品としてついている別冊子はよく参照するけれど)だったのですが、これが想像していた以上に楽しい旅となりました。
この物語、トールキン大先生は彼らの旅で目にする風景や風の匂い等々を緻密に、そして繊細な語彙で描写してくれていて、読んでいて彼らが旅する荒れ野や山地の風景がまざまざと目に浮かぶこと請け合い・・・・ではあるのですが、ここに「フロドの旅」の方の等高線つきの地図が加わることによってさらにその映像が鮮明になっていきます。 と同時に、彼らの旅が決して一本道ではなくいかにくねくねと迷い、間違い、逃げ惑う旅だったのかが文字や言葉で辿る以上に切実なものとして実感できます。
特にその想いが強くなるのはフロドが3人の友と一緒に堀窪の新居を出発し、古森、トム・ボンバディルの家経由で塚山丘陵でさまようあたりで、地図に描かれた彼らの旅路の矢印を追っていくと「効率」という観点からすれば信じられないほど「非効率」な道筋を辿って結果塚人に捕らわれたことがわかります。
これはブリー村の「躍る子馬亭」でアラゴルンという願ってもいない案内人を得た後であってさえも繰り返され、「風見が丘」(フロドが黒の乗り手に襲われ傷を得るところ)でも「トロルの森」でもあっちへくねくねこっちへくねくねと続きます。 優秀な野伏(映画での表現はレンジャー)であるはずのアラゴルンにしてどうしてこんなにくねくねしてしまったのか?は描かれている等高線を見れば明らかで、そのくねくねの必然性がよ~く理解できます。
又、今回この地図をよ~く見ていたら、映画の変なところを発見してしまいました。 シーンとしてはアラ・レゴ・ギム・トリオがメリ・ピピ救出のために追跡行を敢行している真っ最中。 アラゴルンがレゴラスにエルフの目で何が見えるかを問うシーンがありました。 すると千里眼のレゴラスは遠くに目を凝らして叫びます。
"the Urukes turn northeast. They are taking the Hobbits to Isengard!"
これ、直訳すればこんな感じでしょうか?
「ウルク=ハイどもは北東に進路を変えたぞ。 アイゼンガルドにホビットを連れてく気だ!」
ちなみに日本語字幕はただ単に「奴らは方向を変えた。 先はアイゼンガルドだ。」となっていました。 まあ、その訳だったらそんなに問題はないんですけどね(苦笑) でもKiKi は最近ではこの映画は英語のお勉強のため(?)に日本語字幕版ではなく英語字幕版で観ることが多かったのでこの英語に気が付いちゃったんだけど、コレ、地図と見比べると大いに変!なんです。
何故って、旅の仲間たちがフロド・サム・コンビに置いてけぼりをくらったパルス・ガレンからアイゼンガルドに向かう経路はどこをどう頑張っても北西方向にしか向いていなくて北東を向いて進んじゃったら大河アンドゥインを渡らなくちゃいけないうえに、そのずっとずっとず~っと先にあるのはレゴラスの故郷の「闇の森」とかビルボが旅した「はなれ山」になっちゃうんですよね~。
いずれに���ろこの地図は読書のお伴には格好の資料でした。 フロドの旅にサムが必須だったように、この物語の読書にこの地図は必須です(笑)
投稿元:
レビューを見る
フロドやその仲間たちの旅の行程を地図でたどることができ、パラパラとめくってみた感じ視覚的にとても楽しめそう。
初読時に見てもいいかも知れないが、やはり再読時のほうが復習にもなっていいかなと個人的には思うので、最近やっと読破したばかりの身としてはこれを開くのはもう少し先になりそう。
投稿元:
レビューを見る
本編を読む前にこの本に目を通してしまうと、先の展開がわかってしまうので注意
できれば一読したあとに、または初読時に該当部分しか見ないという鉄の意志を持って眺めるのが吉
頭の中に地図を描けない人(自分)には必須の本
個人的には日本版で付け足された部分(本編からの抜粋)は蛇足だったなという印象、ないほうがすっきりしていていいのでは
二色刷りではなく、多色刷りだったらもっと見やすかったかな?と思う反面、素朴で朴訥な感じがなくなってしまいそうなのでこれでよかったのかも
投稿元:
レビューを見る
フロドと旅の仲間たちがたどった道筋を地図に起こした本。
これがすごい。
原作を読み、トールキンの描いたイラストを見て書き起こした地図には、その場所に着いた日付や、そこで何をしたのかも記してある。
彼らの行動がわかりやすく図化されたことによって、原作の矛盾が炙りだされ、それは直される。
彼らが別行動をとった時は、それぞれの道が記される。
ペレンノール野の合戦では敵味方入り乱れての動きが実に実にわかりやすい。
「指輪物語」で誰が好きって、メリーとピピンが好き。
私は普通の人が、怖くて心が折れそうになりながら、勇気を振り絞って何かのために戦うっていうのが好きみたいです。
ああ、また「ロード・オブ・ザ・リング」を観たくなってきた。
原作を読みなおすのは大変なので、映画で。(笑)