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紙の本
本当は、☆を一つ追加したい感じです。ただ、最近の石岡の言動は常軌を逸していて、それが面白くならずに見苦しいっていうのが問題点でしょう。それにしてもトリックのオンパレードです
2006/04/05 22:10
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
《上高地で発見された女優の惨殺死体。しかし、死亡時刻には彼女は横浜にいたはず。被疑者は彼女との関係は認めたが、犯行は否定する》本格ミステリ。
御手洗潔シリーズです。中編「山手の幽霊」と書いてはありますが、分量的には表題作のほうが長いです。それでも中編集?謳い文句はしっかりとして欲しいものですねえ。
お話は、2000年横浜、石岡のところに、磯子署の蓮見刑事が相談にやってくるところから始まります。話を一緒に聞くのは、みなとみらいにある光未来法律事務所で司法試験合格を目指す犬坊里美です。相談者である蓮見が悩んでいるのは、上高地で発見された女優の惨殺死体の事件でした。死亡時刻には、被害者である彼女は横浜にいたはずののです。被疑者は彼女との関係は認めたのですが、犯行については否定をしています。八月八日、上高地のロケ先から横浜に帰ったはずの女優、細川みどりが、なぜ上高地にいたのでしょうか。「上高地の切り裂きジャック」は書きおろし。
もう一つの事件の舞台は1990年、暗闇坂の事件の後のものです。横浜戸部署の丹下は御手洗たちの前で思わず、自分が抱え込んでいる事件のことを呟いてしまいます。それは不幸の続く家の話でした。最初の持ち主の早すぎる死はともかく、次にその家を買った男の家族を襲う悲劇、娘の難病と自殺、妻の死というのはあまりに酷いというのです。しかも、つい最近、その家の封印された地下シェルターから餓死死体が発見されたのです。一方、同時期に根岸線のベテラン運転手が見た線路上で男と女の怪異に出会っていました。「山手の幽霊」は季刊・島田荘司に掲載されたもの。
それにしても石岡の混乱は、初期の作品からは考えられないもので、常軌を失しているといっていいでしょう。里美を巡っての嫉妬などは、冗談を通り過ぎて異常です。島田の最大の欠点はユーモア感覚の欠如、その象徴が石岡といっていいのではないでしょうか。無論、それを上回る魅力が作品にあるから文句はありません。でも、相も変らぬ強引な謎解きは、好きな人には堪らないものでしょうが、これだけ新本格派の連中が頑張りはじめると、もっと自然でもいいのにと思ってしまいます。でも、それが島田と思えばしかたがありません。
2作品では「山手の幽霊」のほうが、意外性があってまとまりがいいとおもいます。では、なぜ「上高地の切り裂きジャック」が表題作に選ばれたのでしょうか、島田か編集者の意図を聞いてみたいものです。
書店でカバーをかけてもらったから気付かなかったのですが、カバーをはずした所を長女が見て「キモイ」と言いました。半透明のビニールカバーに白い字のタイトルは決して珍しくありません。そういったら、「だって、これって内臓でしょ」というのです。よく見て、唸ってしまいました。たしかに表題作をうまくデザインしています。それを見ながら思いました、もし半透明のカバーが掛かっていなかったら、私はこの本を買わなかったにちがいないと。
この怖い装幀は岡孝治です。
紙の本
超人・御手洗潔の魅力!
2003/06/04 09:50
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:PNU - この投稿者のレビュー一覧を見る
石岡&御手洗のコンビ再び!の中編集。ああ、懐かしい。動機が卑近な表題作よりも、往年の華麗な名作たちを彷彿とさせる「山手の幽霊」の方が私の好みでした。それは単純に、私がカズミストよりもミタライアンである、という理由だけかもしれないのだけど。私、御手洗さんが大好きすぎるために、御手洗ものは冷静に読めません。
「上高地の切り裂きジャック」上高地で、脇役女優の死体が発見される。彼女は陵辱されたうえ、下腹部の臓器を持ち去られていた。残された体液から一人の容疑者が浮かび上がるが、彼にはアリバイがあり、犯人にはなり得ないという!? 「山手の幽霊」山手の住宅地にある、地下シェルターのある家。そこに住む者は、次々に病んで死ぬという噂が流れていた。そのシェルターから、男の死体が発見される! しかし、入り口を地上から釘付けされ、密室状態だったシェルターに、なぜ死体が出現し得たのか? まだ日本にいらした御手洗さまが、事件を華麗に解決する!
これぞ島田荘司!という読み味は「山手〜」の方ですね。奇怪な謎と、意外な解決のバランスが良くて。私が思うミステリというのは、たとえればバイクで断崖をジャンプするようなモノで、始めに提示される謎、人物の魅力が地面からの高度やジャンプするバイクの速度などを決定する、という感じなワケです。ダメだな〜と思うミステリというのは、バイクがヨレヨレで崖を飛べなかったり、崖の高度がペタンコで迫力なかったり、崖の端と対岸の落差が激しすぎて楽しめなかったり…といったモノです。島田ミステリは、その辺の調整が巧みで好きなのである。最近の作品はあれこれ言われていて一抹の不安もあったのだが、御手洗好きとしては充分に楽しめた。