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紙の本

メルロ=ポンティの反哲学的身体論とその政治的実践を解説

2003/04/01 13:18

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投稿者:小林浩 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ベルナール・スィシェル(1944-)の単著は初邦訳である。これまで、目立つところでは『批評空間』第II期18号に、アラン・バディウの『ドゥルーズ』(河出書房新社)についての書評の邦訳が掲載されたことがある。シシェールと表記されることもある(原語の綴りはSichere)。日本ではモーリス・メルロ=ポンティ(1908-1961)の著書は幸いにもほとんど邦訳されており、訳者の木田元氏が卓抜な解説書をいくつか書いてもいるが、フランスにおけるメルロ=ポンティ論の邦訳となるとさほど多くない。メルロ=ポンティが開拓した身体論、知覚論、政治論を丁寧に解説した、スィシェルによる本格的な入門書がこうして邦訳されたことはたいへんに喜ばしい。原著は1982年刊。決して「最近の」本ではないが、議論の質は古びていないし、メルロ=ポンティのアクチュアリティを再認識できる貴重でスリリングな論考である。メルロ=ポンティの思想の特徴は、その横断性にある。倫理学も美学も、個別性も集団性も、理論も実践も、「身体」を通じて、分かちがたく縒り合わされた束として肉化されている。知はこの肉体と生命の中にあり、ここから離れた純粋な思考というものが存在するわけではない。また、その主体は社会と切り離されているわけではないから、身体を通過する思惟はすべからく政治と繋がっていく。形而上学ほど抽象的ではないし、心理学ほど還元主義的でもない。晩年の『見えるものと見えないもの』(みすず書房)で構想された「非哲学」や「非知」は、従来の人文科学的知の体系を解体する試みであったと言えるだろう。ジャック・デリダが哲学の「脱構築」を実践する以前のフランスで、すでにそうした作業を彼は行っていたのである。序文が二つ添えられている。ひとつは数学哲学者のドゥサンティによるもので、彼はスィシェルのこの本にメルロ=ポンティの肉声が響いているかのように感じたと語っている。同時代を生きた彼ならではの回想が印象的だ。いまひとつはスィシェル自身のもの。日本語版のために書き下ろされたテクストである。フランスにおける現象学の独自な展開の一形態としてメルロ=ポンティを限定するのではなく、マルクス主義とのかかわりあいと絡めて、一個の行動する哲学者がたどった変遷を追っているところが、本書の大きな魅力である。

連載書評コラム「小林浩の人文レジ前」2003年3月27日分より。

(小林浩/人文書コーディネーター・「本」のメルマガ編集同人)

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