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文士と姦通 みんなのレビュー

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みんなのレビュー9件

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  • 星 1 (0件)
9 件中 1 件~ 9 件を表示

紙の本

かの子さんが怒ります。

2003/04/06 11:11

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:栗山光司 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 文士ときたから、姦通なのか? どちらも、古めいた匂いがする。和箪笥の引き出しを、そろりと覗き見て、樟脳がつつんと鼻を刺激する。未だに不倫文学は作家先生の美味しい土俵で書くために不倫するのか、不倫したがために書く衝動を得たのか、判らぬが、姦通と不倫はどう違うのか、どちらにしろ、消費財として生き続けるアイテムであることは間違いない。

 作者の口上によると、この本は姦通をめぐる文学史でもなければ、姦通の研究書でもない。『昭和文学史上・中・下』(講談社)を書いているとき、多くの文士が姦通を経験しており、姦通の仕方も十人十色で、それぞれ独特な姦通のかたちと思想をもっていることに気づいた。これら姦通にふける文士の顔は、好奇心にあふれており、読者に親しみを呼ぶのではないかと考えた。そこで姦通というある意味では下世話な話をとおしてありのままの文士の姿に親しく接してもらえるよう、「遊びとしての姦通」を書いたと述べる。

 成程、だからなのか、掲載されている肖像写真は生々しい壮年の風貌で、漱石も志賀直哉も私が見慣れているものと随分違う。クイズ番組で「誰でしょう?」と、漱石のこの写真が出れば、千円札の肖像に相応しからぬこのセクシーさに付け髭した辻さんと答える輩が続出すると確信する。
 結局、私がこの本で一番、感心したのは挿入された写真たちであった。色気があるのです。佐田稲子はこんなに美人だったかなあと思いました。北原白秋は脂ぎって精力絶倫の男伊達振りである。

 本文は日本文壇史において有名な男と女の事件簿ばかりで姦通というスポットライトで再確認する、いわば、姦通文学入門書であろう。しかし、谷崎潤一郎と佐藤春夫の千代譲渡事件に第三の男(和田六郎)がいたことを知らなかったし、今更ながら、岡本かの子の【焼身】の過剰さに圧倒された。かの子は姦通、不倫という言葉に似つかわしくない。そんなもの、乗り越えている。歯牙にかけない。
 「いのちの狂乱に身を任せ」た童女を夫岡本一平は支えて、早大生堀切茂雄、後には医師新田亀三と、愛人と同居するのを厭わない。私の好きな長編小説の一つに岡本かの子の『生々流転』がある。蝶子は男達を振り払い、旅立って女乞食に変じても、いのちの業は振り切れず、最後には女船乗りとなって墓場のない世界に船出するのだが、この本のタイトルはかの子によって足蹴りされるであろう。
 「宇野千代」はまさに姦通と不倫の女大家であるが、明るく救いがある。男たちの「芥川龍之介」「宇野浩二」「有島武郎」「島崎藤村」の姦通は救いがない。無惨である。

 「夏目漱石」の項はこの本のハイライトと期待したのだが、すべての姦通小説の元祖は漱石先生なのであると、作者は大見得を切ったのに肩透かしを食らってしまった。事実として、嫂登世との姦通説を肯定する江藤淳、否定する大岡昇平の説をダイジェストに紹介するが、川西政明の説を聞きたいのに、彼は冷たく言う。
 謎解き遊びの条件はすべて出しました。後は読者にお任せすると、作者はこの本を閉じる。そのつれなさは、姦通よりつれないのではないか。まあ、680円だから、仕方がないか。読者も自立が要請される…。

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2006/10/17 22:00

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2009/07/16 19:34

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2010/05/09 19:36

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2017/01/07 13:55

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2017/08/19 22:34

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2017/12/31 18:00

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2022/10/25 22:39

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2023/10/04 11:03

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