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パスワード 彼自身によるボードリヤール みんなのレビュー
- ジャン・ボードリヤール (著), 塚原 史 (訳)
- 税込価格:1,980円(18pt)
- 出版社:NTT出版
- 発行年月:2003.3
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紙の本
あなたのパスワードは……J・Bです。
2003/09/25 10:25
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:脇博道 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「パスワードがまちがっています。再度入力してください」
「パスワードは定期的に変更されることをおすすめします」
「このパスワードでは認証できませんでした。窓口へおこしください」
高度資本主義社会において人は複数の人称を有することが要請される。
シミュレーションにつぐシミュレーション、そして無限のシュミラークル
を自己のアイデンティとして生産しながら日々を生き抜いていかねばなら
ない。エンドラインは日々更新されるため完全に見えるときはない。
70年代後半から、ボードリヤールが提起し続けてきたパスワード=
キーワードは今日、電子的交通がグローバル化することによりますます
加速された強度を持って眼前に立ちつつある。氏もまた、その加速度
に合わせるかのように驚異的な速度で数々のテクストを提出してきた
し、現在でもその速度は遅延することはない。
その数々のテクストを読むあるいは再読する(読書におけるシミュレー
ション?)にあたり、本書は最適なマニュアルとして位置づけられる。
即時性を生命線として書かれる氏のテクストは時に勇み足として認識
されることもあるが、通常ゆっくりとした足取りで考察を行なう手法
が多い現代哲学において、ニュースペーパーのごとき速度でテクスト
を生産し続ける氏のスタンスは貴重であり、読者も即時反応すること
が要求されるのであれば、本書を手元に置いておくことはパスワード
を忘れてはならないように必須の事項といえる。
さて折角、本書を手中にしたならば、氏の軌跡の原点にとりあえずは
遡行してみたい誘惑に駆られる。「誘惑論序説」「生産の鏡」
「シミュラークルとシミュレーション」「宿命の戦略」などなど、そして
「完全犯罪」「不可能な交換」などの近作に至るまで。
と、ここまで記述してきて、おおっ、なんと氏のテクストを読み解くため
のパスワードを何度となく小生は使用しているではないか!
どうやら氏の戦略にうまくはまってしまったようである。
次の更新時期はいつごろが適当でしょうか? MR.J・B。
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