モンキームーンの輝く夜に みんなのレビュー

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投稿者：佐々木　なおこ　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

たかのてるこさん。
会社員をしながら、有給休暇で世界各地を旅行し、
エッセイや写真、はたまたテレビドキュメンタリーとして
その面白さを紹介し続けている女性。
私はつい最近、彼女のことを知ったばかりで、
数ある著書の中で、なぜかこの一冊を選んで読んでみた。
旅行記を読んで、こんなに泣いたのは初めてじゃないかと思う。
それくらい心に響いた。
２００３年２月に出版されたラオス旅行記だ。
「ラオスでは、日々のささやかなことで、
いくらでも幸せになることができた。
たぶん、ずっと笑っていたからだろう。
とにかく、会う人、会う人、みんなニコニコ〜、ニコニコ〜と
しているものだから、自然とこっちも笑顔になってしまう。」
たかのさん曰く、笑顔の連鎖が果てしなく続く国なのだ。
この国で、彼女は市場でノートを買い、
そしてサッカー場で声をかけられた専門学校の学生達と
一緒にビールを飲みに行き、その上、ご馳走までしてもらう。
またある時は乗ったバスの運転手さんに誘われて、後日お家までお邪魔して、
彼の家族から大歓迎される。
北ラオスでは、若いお坊さんだけで住んでいるお寺に招待されたりもした。
しかし、このラオスでのトクベツは、
「アナタは、日本人デスか？」と市場で声をかけてきた
おさる顔のラオス人らしきお兄ちゃんとの出会いだろう。
彼女は彼のことを「シノヤン」と呼び、
彼に対する第一印象の悪さが空の彼方まで吹っ飛ぶような
いろんな関わりを持つこととなる。
時にはとろけるように甘く、そして時には胸が破れそうなくらいせつなく…。
「ねぇ、年の差は９歳なんだよ。
ちょっとは気になんない？」と彼女が言えば、
「いろんなタイミングが合って、僕たちは出会ったんだよ。
てるこは僕が年下なのが気に入らないの？」とシノヤンは答える。

シノヤンの純粋さに涙しました。
たかのさんの切ない気持ちに涙しました。

「輪廻転生は信じてる？」と出会ってすぐの頃、たかのさんはシノヤンに聞かれた。
「分かんない。生まれ変われるとしても、死んじゃったら、
今の自分としての人生は終わりだからなぁ。
今回の私は今回限りだから、今回が楽しければ、それでいいよ。
死ぬとき『ああ、楽しくて、あっと言う間だったな〜』って思えれば」
たかのさんの言葉が、本を閉じたあともずっと私の心に残っています。