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紙の本
すべてが“一期一会”である。だからこそ心を込めて料理も一生懸命作りたい。
2003/11/05 01:09
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投稿者:蜜香 - この投稿者のレビュー一覧を見る
一昨年に、NHK『ほんまもん』のモデルとなった、村瀬明道尼の本である。といっても、私はTVを見ていないので、『ほんまもん』と本書をごちゃまぜにしないでよかった。だって、著者が、本書で「「ほんまもんの庵主さんですか。ほんまもんのごま豆腐を食べたいです」(P141)といわれるたびに、今日までのは全部にせもんのごま豆腐やったのか、自分ではずっとほんまもんと思ってきたのに、と返したい気分にもなる」(P142)そうだ。
第一章 素材のちから 四季の素材が教えてくれること
第二章 料理の心 一度きりの出会いを生かすということ
第三章 もてなしの美 その一瞬にすべてをかけるということ
第一章で、著者が「生物は、おいしく生かし、おいしゅういただくことで成仏するものなのです」(P30)という。月心寺で料理のお手伝いをしていた子が、栗を鍋にがらがらとあけたのを見て、「もしそれが自分の子どもや孫であったら、そんな降ろしかたをしますか?」「同じ無意識でも、栗は鍋に大切に入れることはできない、それはどうしてなのでしょう?」「心あらば、無意識でもぞんざいに扱うことはしないはずです。そして、これこそが料理のコツではないでしょうか。料理に愛がなかったら、その料理はゼロなのです」(P31)。ここを読んだときには、私も身に覚えがあるから本当に、胸がドキドキ。
お米の炊き方ひとつでも「このひと手間で、最後の味がまったく違ってきます。このひと手間を面倒と思ったら、できたものはすべて面倒な味になってしまうと思うのです」(P47)。うーん、なるほどなぁ。お米だけに限らず、材料があるから料理ができる。そんなありがたみを忘れずに面倒くさがらずに、心を込めて料理をしたいものだ。そうやって出来上がった料理を食べることが、満ち足りた気持ちになるんだよ、ということなのだろう。心をいれて、せめて好きな人へ食べさすご飯は一生懸命に作りたいなぁ。としみじみと感じた。
村瀬明道尼さんと“心満ちる料理“に出逢うのが楽しみだ。いつか月心寺に行きたい。
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