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(1981.07.26読了)(1981.07.11購入)
1981.02.25発行
(「BOOK」データベースより)
砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められる。考えつく限りの方法で脱出を試みる男。家を守るために、男を穴の中にひきとめておこうとする女。そして、穴の上から男の逃亡を妨害し、二人の生活を眺める部落の人々。ドキュメンタルな手法、サスペンスあふれる展開のなかに、人間存在の象徴的な姿を追求した書き下ろし長編。20数ヶ国語に翻訳された名作。
☆関連図書(既読)
「けものたちは故郷をめざす」安部公房著、新潮文庫、1970.05.25
「飢餓同盟」安部公房著、新潮文庫、1970.09.25
「第四間氷期」安部公房著、新潮文庫、1970.11.10
「反劇的人間」安部公房・キーン著、中公新書、1973.05.25
「榎本武揚」安部公房著、中公文庫、1973.06.10
「水中都市・デンドロカカリヤ」安部公房著、新潮文庫、1973.07.30
「人間そっくり」安部公房著、ハヤカワ文庫、1974.10.15
「内なる辺境」安部公房著、中公文庫、1975.07.10
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砂丘へ新種の昆虫を探しにいくと言ったきり戻ってこなかった男。砂に埋まりそうな一軒家に住むひとりの女に彼は閉じ込められていた。あらゆる手段で脱出しようとするが、部落の人々も逃亡を妨害し、砂だけの生活に心が壊れていく。
なんとも不思議でどんよりした話。今の軟禁状態から脱出を試みようとして、でも実は元の生活に戻っても何かに縛り付けられていて、何のために逃れようとしているのかがわからなくなっていく。今の生活を漫然と過ごしていったら、それにいつのまにか慣れて適合していってしまう。まるで砂丘に生きる虫のように・・・。きっと人間の生活を表現しているんだろう。
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ひょんなことから蟻地獄のような砂の家に落ちてしまった男の物語です。そこには女が住んでいて...と話が進んでいきます。設定はそんなことはありえないと思わせるのですが、夢の中で恐ろしいものに追いかけられている時のようにその男はその世界から抜け出せないままになって行きます。日本のSFは欧米のようには展開しないということなのかもしれません。
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どうやって、いつ逃げ出すのだろうと、ミステリーを読んでいるつもりだった。結末には人間ってこんなものなのかもな、と思いつつ、自分の今の現状に近いものを感じたりしていた。「罰がなければ、逃げるたのしみもない」。
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初めて読んだときに、びっくりした。こんなにすごい話を書くなんて!砂丘の中の穴に落ちた男の話で、前編とおして砂の穴のそこで女と暮らす、それだけが描かれているのに、ちっとも飽きない。むしろ、どうなるのか面白くてしょうがない。脱出しようとする男の心情の変化や、砂と砂のそこでの生活のじめっとした感覚が生々しくて、すばらしい作品。世界から認められるだけの物はある。
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このざらざらした感じと、肌に直に感じる空気、きれいごとではない。けれどそれこそ生きる、ということなわけで。
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中学生のとき週1の必修クラブで読書クラブに入ってました。自分が読んだ作品を皆に紹介したり、図書館にある好きな本を読んだりする実に湿っぽいクラブでした。顧問の先生が安部公房の熱烈なファンで、半強制的に数作品、読まされました。短編の「藪の中」という作品もよく覚えています。他はもうあやふやです(笑)。何かと話題になっていた今は無き『電波少年』のプロデューサーも安部公房のファンだったのでは?と睨んでいるのですが。。。この砂の女、真中瞳が軟禁状態で男性と暮らしていたコーナーにどこか似ています。あと「箱男」なんてのもあったような・・・。
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喫茶店で紅茶と共に出された砂時計をたわいもなくひっくり返した時、この小説を思い出しました。自分がこの砂時計の住人であったなら‥‥。安部公房の代表作といっていいと思います。じんわりと恐怖と虚しさが迫ってきます。ちょっと怖いですよ。
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場景が目に浮かんで、読んだ当日は夢にまで出てきた砂の世界。どうなるんだ?という思いのまま最後まで読みきることができますよ。ふっふっふ。
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夏休み、窓を開けっ放しにしておくと、床がザラザラになったな、なんてことを思い出した。
拭いても拭いてもザラザラだ。
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途中で挫折。異様な世界に耐えられなかった…砂が喉につまってはりついて取れないような苦しさを覚えました。いつかまた挑戦します。
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大学に入ってから電車の中で読んだ小説。阿部公房の作品は国語の教科書に載ってた「棒になった男」を読んだだけでして、面白いなぁ。と、思ってたので、読んでみました。凄かったです。流砂みたいにはまった。
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砂糖をまぶして、おやつにはもってこい。いや、すごく好きなんだけどなぁ。世の中ってこういうもんじゃない?
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設定の時点で一本取っている。それを緻密なまでに描写していく。ただ、あまりに描写が写実的過ぎて逆に人間を描ききれていない印象を持ってしまった。この不条理小説の結末、主人公の中には一種の満足感が見えるが、僕にはそれでよかったのかどうかが疑問だ。
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安倍公房氏にはまる時期ってありますよね。私は10年位前狂ったように読みました。
大概、恐ろしい閉塞感で気持ち悪くなりました。これを読見終わったときも、頭痛がしたのを覚えてます。怖い、でも惹かれる。