紙の本
結局、このままランディは小説の世界から逃げていく?それって敵前逃亡と同じじゃない。立松和平みたいに盗作なんかなかったように振舞う作家だっている。もう癒しのエッセイを卒業してもいいんじゃあない?
2003/12/17 19:36
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
読書界を震撼させた『コンセント』『アンテナ』続く、盗作騒動で絶版になるかもしれないといわれた三部作の最後の作品。三部作といっても、どれも完全に独立した作品で、共通するのは描かれているのが現代精神ということだけ。『コンセント』では引きこもり、『アンテナ』では風俗、『モザイク』では携帯電話とネットワークを現代の精神的な病理(無論、田口はそれを病気とは全く考えていず、むしろ現代の様々な事象と自然に受け入れている)と結びつけ、時にエロティックに、時にユーモラスに、そして時に残酷に現代の姿を見せてくれる。
なんと言っても、佐藤ミミがいい。生まれてすぐ父を亡くし、数年を経ずして母を事故で失う。祖父母のもとで育てられ、祖父から古武道を叩き込まれ、高校卒業後自衛隊に入り、射撃の腕を認められながら祖母の看病のために退官。看護婦の瀬田さんを見ていてその道の勉強を始め、二十五歳で都立精神医療センターに勤務。
不思議な体術で患者たちをいなし、上司の川島に気に入られていたところを、自衛隊時代の彼女を知る有吉に引き抜かれ、精神障害のある人間を施設に送り込む移送屋という職業に就いている。そして渋谷で彼女の前から失踪したのが、移送中の少年・正也。冒頭のバットを振り回す活劇シーンは映画にピッタリだろう。
渋谷で見失った少年をさがす佐藤ミミ、行方の鍵を握る救世主救済委員会が発する「渋谷の底が割れる」というメッセージ。「神の父で幸せを」と手をかざす男との出会いに始まり、携帯電話から流れるメッセージ、渋谷の街で携帯を片手に同じ行動をする若者達の描写はSF的で、大友克洋のアキラを思わせる。何気ない光景の底から顔を見せる真実の姿はP・K・ディックの世界。
これが『スカートの中の秘密の生活』などの痛快エッセイを書く人の文とは思えない。いや、描く世界は同じ。しかし文体が違う。無論、明快さは変わらない。視線も変わらない。でもホットで軽いエッセイにたいし、クールで固い文章、それがいい。『アンテナ』ではあまりのおかしさに笑ってしまい、家族から顰蹙をかったけれど、それは対象自体のおかしさであって文章ではない。その使い分けの見事さ。本当にこの人の作品は熱い。現代が血を流す様がヒシヒシと伝わる。田口を読まずして21世紀は語れない、嫉妬でこの人を潰して、作家にモザイクをかけてはいけないのだ。
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「移送屋」の女性と14歳の少年の話。
私は この本がランディーさんの中で一番好きかも。
「アンテナ」や「コンセント」ほどドロドロしていなく、それでいてやはり精神世界の話?ファンタジーっちく?なところも多いです。
読んだ後に あぁ私も地球の一部なんだなぁ。なんて思いました。
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見たくないのに、イヤなのに、気持ち悪いのに、どうしてこんなに読みたくなるんだろう。どうして目を背けずにはいられない?
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また読んでしまったランディ…。そしてまた裏切られた感。この人は、まるでリストカット少女がそのまま大人になったような人だ。皆、心のどこかにある同じ感情を抱えて生きているのに、こんなこと考えてるのは自分だけなのと酔っている感じ。しかも救いが行き着く先がコレではね。稚拙。
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文中「人は、それぞれのOSを持って生きている」という一文がある。
新しいOSを入れ替えることで、新たな価値観生き方を身につけるというような感じで使われているが、「新しいOSほど不安定なのよね〜」と考えてしまうのは職業病かしらん。(2002.5.23)
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三部作の最後にふさわしい作品です。「渋谷の底が抜ける」という箇所を読むたびに、渋谷の人ごみが目に浮かびます。
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アンテナ・コンセントを読んで、
とりあえず3部作読んどこうと思って。
でもちょっと飽きがきたかなー。。。
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映画館の音響装置のような、ぐるり目に見えないものに取り囲まれるような錯覚を起こす描写が印象的。
ぐいぐい引き込まれるが、終末への流れ方は速度を失い、少し残念だった。
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毎日お世話になっている携帯電話。そこから発せられる電磁波が人間に影響を与えて…。「まもなく渋谷の底が抜ける。渋谷は完全に電子レンジ化する」とても面白い作品でした。コンセント・アンテナに続く3部作の最終篇。いつか必ずコンセントとアンテナも読破したいと思っています。結構長めの作品でしたが、スムーズに読むことが出来ました。聴く力をもつ「ミミ」と携帯電話が普及して、渋谷の底が抜けることに危機を感じている14歳の少年。2人のやり取りは見ていてとても興味深いです。読んでいる途中、「これ、どうなるの?」と何度も思ってドキドキしながら、とにかく早くページをめくりたくて必死になって読みました。
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ニフティのフォーラム時代からランディさんファンでしたが、小説は初めて読みました。登場人物の深層心理を丁寧に書かれているあたりはランディさんっぽいと感じたけど、やっぱコラムの方が切れ味がいいですね。
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これも喘息で無茶苦茶苦しんでる時に読みました。冒頭に喘息持ちの青年がチラッと出てきます。
真ん中あたりは、ちょっと飽きてくるんですが、終盤の勢いが凄いです。今の東京って、情報の方が人より早くて、それについてこれない人は落伍者、みたいな雰囲気だけど、そんな訳ないじゃん。って言うか、情報通がそんなに偉いのかな?
オトナでもストレス過多になる世界で、もっと若くて、繊細な子ほど生きにくい世界かもしれないけど、世界は広いんだよ。ってメッセージがあるのかな、なんて思いました。
渋谷って、名前の通り「谷」なんですね。地形が「谷」になってるそうです。
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これも面白かった。面白さから言えばコンセントの方が面白かったけど、
妄想できる意味ではモザイクは深い妄想ができた。
いくつかの答えを導いてもらった。
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アニメちっく?ファンタジー?
面白いけど・・なんか、全体的に稚拙さを感じました。
成熟してないといいますか。。
最後、変に話を畳もうとしてるのが悲しい。
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「モザイク」で検索したら面白いことになってた。。
これは、割とあっさり系で(この人にしては)いける。
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あらすじ:精神病院への移送中、「渋谷の底が抜ける」という言葉を残し、逃亡した十四歳の少年は、霧雨に濡れるすり鉢の底の街に何を感じたのか? 知覚と妄想の狭間に潜む鮮烈な世界を描く、傑作長篇。
感想:いや〜想像していた結末とは違うけど、田口ランディさんらしい結末とも言える結末。。。途中かな〜り考えさせられるし、現実にもありえないことでもないかな?な〜んていけない想像してしまったり・・・致しましたが、やっぱり、田口ランディさんの小説という感じ。。。うまく説明できないけど、この小説の作者を隠して読んでいたとしても、田口ランディさんの本だとわかる感じ。。。よけいにわかりにくくなってるかも。。。だめじゃん。。。読み終えた後に、解説を読むと・・・、3部作の完結編なんだとか。。。この本。。。ちなみ、私、この本から読んでます。。。完結編から・・・。。。気付かなかったよ!!。。。まぁ・・・過ぎたことだしね。。。