紙の本
密室はミステリの花形です!
2004/03/02 20:38
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投稿者:ピエロ - この投稿者のレビュー一覧を見る
世界初のミステリとされるポーの『モルグ街の殺人事件』以来、連綿と書き継がれてきた、一見出入り不能な場所、いわゆる密室でおきる不可能犯罪の謎。糸と針を使った機械的なものから心理的な盲点をついたものまで、考え出されたトリックは数知れず。それでもいまだに新しい密室ミステリが年に何作も発表され、密室はミステリの花形であり続けています。
そんな密室短編ミステリを集めた本書、カーやクイーンといった大御所のものからチェスタートン、ポーストの古典的名作、さらにはパロディやSFまでと幅広い作品が収録されていて、同じテーマを扱っているものの読んでいて飽きることもなく、これらの作品を選んだ編者の手腕は見事なものです。
残念なことが一つ。原本には他に二作が収録されていたのですが、翻訳版の本書では紙幅の都合で割愛されてしまったとのこと。そのうちの一作はザングウィル『ビッグ・ボウの殺人』で、文庫版で出ているので読もうと思えば読めるのですが、こういう編集はどんなものでしょう? 上下二冊に分かれてもいいから、原本と同じ形で出版してもらいたかったなあ。
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密室ミステリのコレクション
2003/05/14 22:58
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投稿者:成瀬 洋一郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
エラリー・クイーンとかブラウン神父とかフェル博士とか、ひさびさに懐かしい名探偵の数々に再会しました。それだけでなく奇術師マーリニとかアブナー伯父とか、それまで名前だけしか聞いてなかった探偵たちの物語も楽しめました。
内容的には、タイトルのように「密室殺人」ばかりではありません。正統派から色物っぽいものまで種々含めての密室ミステリのアンソロジーとなっています。たとえば単にクイーンやブラウン神父の短編というなら他にもっと良い作品があるだろうとも思いますし、探偵の名前を聞いただけでトリックの予想がつくものもありましたが、全体のバランスとしてトリックのバリエーションを揃えるなら、この選択なんだろうなと納得させるラインナップです。それに『有栖川有栖の密室大図鑑』で状況だけ目にしていた作品にもお目にかかれるなど、なかなかのお得感です。確かに一度は抑えておくべき、古典的な作品集でした。
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読んだことあるものからないもの、ど真ん中の密室殺人から変化球、変化球過ぎていまいちよくわかんないものまでバラエティ溢れる短編集。大家の作品はさすがあっと言わせる手際がすばらしいし聴いたことない人のもかなり良いものが多かった。が、時の網とか言う作品は俺には良く分からなかった。個人的なベストは「うぶな心が張り裂ける」「ジョン・ディクスン・カーを読んだ男」「北イタリア物語」
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やはり大御所。きいたことない人の作品ほど微妙な感じ。まったく密室が作品に関係ないものとかもあったり。「海児魂」の密室は好きだ。密室というか閉鎖空間。
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『ある密室』 ディクスン・カー
フェル博士シリーズ
アメリカに移住することを決めた弁護士フランシス・シートンが殴打された。密室の現場。容疑者となった秘書のアイリス・レインと図書係のハロルド・ミルズ。ミルズを現場に残し警察を呼びに行ったアイリスの前に現れたウッドホール医師。サイソフォンの秘密。
『クリスマスと人形』 エラリー・クイーン
エラリー・クイーン・シリーズ
富豪の女性ミス・イプソンが残した人形のコレクションの競売。競売の前にデパートに展示される人形。人形につけられた宝石を盗むと予告してきた怪盗コーマス。予告を受けた弁護士ボンドリングの依頼で捜査に協力するエラリー・クイーンの推理。
『世に不可能事なし』 クレイトン・ロースン
グレート・マーリニ・シリーズ
円盤の研究をしているアルバート・ノース。娘婿のチャールズ・ケインと部屋に入ったところで何者かに殺害された。密室で射殺された被害者。残された小人の足跡の謎。裸で倒れていたケインの秘密。消えた凶器の拳銃の謎。
『うぶな心が張り裂ける』 クレイグ・ライス
J・マローン・シリーズ
マローンに弁護を依頼した被告ポール・パーマが刑務所で自殺した。残された「切れなかった」という言葉。財産を管理する叔父を殺害した容疑で有罪宣告を受けたが再審の請求が認められたばかりでの自殺。疑問を感じたマローンの捜査。「うぶな心が張り裂ける」という歌詞から気がついた真実。
『犬のお告げ』 G・K・チェスタートン
ブラウン神父シリーズ
密室で殺害されたドゥルース大佐。事件の直前大佐の息子ハリーが投げたステッキを取りに行った犬が悲しげな声で鳴きその直後に大佐が死亡した。犬が予告した死。
『囚人が友を求めるとき』
刑務所から芸術鑑賞に出かける囚人アーヴィング・シャグナーの謎。芸術鑑賞の後は必ず刑務所に戻ってくる。彼を利用して脱獄しようとするクライド。アーヴィングと詩の朗読会に出かけたクライド。
『ドゥーム・ドーフの謎』 M・D・ポースト
アブナー伯父シリーズ
密室の自分の小屋で殺害された被害者ドゥーム・ドーフ。彼を殺したという2人の人物。気のふれた宣教師ブロンソン、使用人の女。神の手による殺人とは?
『ジョン・ディクスン・カーを読んだ男』
ディクスン・カーの作品を読んで遺言書を書き換え自分への遺産をなくそうとする叔父のダニエルの殺害を決意したエドガー・ゴールド。友人たちがブリッジをする夜に煙突から脱出する方法で密室を作り上げたエドガー。エドガーのミスとは?
『長い墜落』 E・D・ホック
密室から転落したはずのビリー・カーム。落ちたはずの彼が消えた。3時間半後に現れた遺体。現場で事件を目撃した秘書のマーガレットとW・T・ノクス。「ビリー」という叫び声の秘密。
『時の網』
精神病院に監禁されたヘンリー・アルブレヒドが病室から突如消えた。密室の現場。自分は悪魔と契約しタイムマシーンを開発する運命と語っていたアルブレヒド。悪魔とアルブレヒドの会話。
『執行猶予』
女優サビナ・ウェルジと駆け落ちしたジョン・バーストゥが帰ってきた。娘に連絡をとるバーストゥ。彼の妻で再婚したローラ・セインと共に彼の部屋にやってきた探偵ポプラー。密室の部屋でガス中毒で発見されたバーストゥ。閉められたガス栓。彼の「執行猶予」の秘密。
『煙草の煙が充満する部屋』
カリフォリニアのホテルで行われる共産党の大会と会見。会見に臨んだスティーブが殺害される。密室の現場。消えた凶器の謎。
『海児魂』
トム・ペッパー船長が目撃したヨナ号の沈没。ヨナ号の持ち主カーウェンが調査のために潜水服を着て潜ったが・・・。水中で何者かに刺殺されたカーウェン。船に乗っていたと思われるカーウェンの妻と彼女の愛人。潜水調査の時に船上にいたのペッパー船長と助手のキンドルのみ。容疑者とされたペッパー船長。
『北イタリア物語』
フランス王に送られるはずだった宝石がモンターニュ伯の城から盗まれた。チェザーレ・ボルジアの使者とフランス王の大使が調査のためにやってきた。密室の現場2人の番兵のうち1人は殺害され1人は生き残る。生き残ったノフリーオは言葉を話すことができないということで絵を使った調査が行われる。絵について話すモンターニュ伯の秘密。使者がみたノフリーオの舌の秘密。
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期待はずれな作品が多かった。結局「犬のお告げ」「長い墜落」という既読作品が良かったんだから。「ドゥームドーフの謎」はまぁ基本として押さえておいていいかも。
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おお!古き良き時代の名作が勢ぞろい。
2割くらい変なのがあったけど、8割は圧倒的に僕の求めるもの。
やはり僕は、こういうガチガチ論理の謎ときが大好きなのだ。密室最高!不可能犯罪最高!
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カー:フェル博士は楽しそうでいい。
クイーン:シンプルな解決。ニューヨークのクリスマスの雰囲気が魅力。
ロースン:被害者がUFOマニアという設定が楽しい。
ライス:これは英語で読めばよかった。
チェスタートン:ブラウン神父シリーズの良さはいつもいまいちわからない。
ホック:ユーモアがあって楽しい短編。
ポースト:アブナー叔父シリーズの雰囲気好き。これもよかった。
ブルテン:ユーモア物にしちゃうのが惜しいようなトリック!
ホック:状況の不可思議さがきれいに片付いて気持ちいい。
ディフォード:SF?ユーモア物。
ブロックマン:オーソドックス。
バウチャー:政治の世界が舞台なのが物珍しい。
カミングズ:この雰囲気と探偵役、柄が悪くて好き。
フラナガン:重厚な歴史物の雰囲気。