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生誕祭 上 みんなのレビュー

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みんなのレビュー6件

みんなの評価3.7

評価内訳

  • 星 5 (1件)
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  • 星 1 (1件)
6 件中 1 件~ 6 件を表示

紙の本

希望という名の熱狂

2004/01/20 00:29

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:川内イオ - この投稿者のレビュー一覧を見る

16歳の夏、友人が単身フランスに渡った。

彼は、中学時代同じサッカー部で汗を流した仲間だった。
中学3年の冬、彼は高校を選ぶにあたり、全国でも有数の
サッカー強豪校をサッカー推薦で受験する道を選んだ。
彼は言った。
「推薦試験に落ちたら、夏に選抜の遠征で行ったフランスに留学する」。
彼は試験に落ち、まだ時間も余裕もあった一般受験を一切受けず、卒業。
そして、ひとり飛び立つ。

当時の私は、あいつには負けられない、などと熱く思うはずもなく、
15歳にして自分の可能性に賭けた友人の生き様が、ただただ眩しかった。


『生誕祭』は、1980年代後半から90年代前半、
日本列島がバブルにフワフワ浮かれ一気に弾けたその現場で、
命を削るマネーゲームに溺死した男たちと、その男たちの
もたらすマネーに溺れた女たちの物語である。

金の持つ絶対的な力に魅せられ、のぼせあがる元ディスコの黒服。
金の持つ魔力をコントロールしようとして、飲み込まれる新進の不動産屋。
抱えきれないほどの金を手にして、その圧力に押し潰される成り上がり。
ウィルスのように金とその亡者を媒介するヤクザ。
餌を与えれば永遠に食べ続ける金魚のように、金を欲する女たち。

登場人物ひとりひとりが結われ、一本の縒りとなるように
出口のない結末を迎える過程は、ヒリヒリするほどの緊迫感を呼ぶ。
打つ手もないのに必死にもがき、可能性のないものに希望を見出そうとする、
その人間のどうしようもない姿が、現実味を帯びる。

ヒトはこれを「ノワール」と評するかもしれない。
しかし、私は「ノワール」としての『生誕祭』を満喫しながらも、
それ以上に主人公の元黒服が味わう「血が沸騰するような興奮」を
羨ましく思いながら読了した。

なぜなら、この興奮は決して金の力によるものだけではないからだ。
彼は、金を手にすることで「未来の可能性」を見出した。
それまでの、うだつのあがらない無為な人生にはなかった、
「生きている実感」が、彼の血を熱く滾らせたのだ。


あなたはこれまで、目も眩むような興奮、昏倒しそうなほどの
生の実感を味わったことがあるだろうか?
私は、まだない。残念ながら、ない。

だからこそ、思う。
結果など考える余地もなく、ただ目の前の黄金色に輝く希望に
全てを託して生き、熱狂を手にしたい。
例えその希望が、金メッキに覆われていたとしても。


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紙の本

馳星周の新たな方向性!?

2003/08/18 17:18

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ミヤノフ - この投稿者のレビュー一覧を見る

上下巻合わせて900項を超える大作——体を火照らせながら一気読みすることができた。独特の文体、巧妙に織り込まれたプロット——馳星周の力量の為せる技だろう。

馳星周がこれまで紡ぎ出してきた物語——救いなき者の救いなきストーリー。そして本書は…。

馳星周自身、本書は青春小説であり、誰も人は殺さないとは公言していた。
彰洋、美知隆、そして麻美——彼らの最後は、ある意味ではハッピーエンドではないのか!? 彼らには救いがあったのではないか!?

この「生誕祭」は、確かにこれまでの馳星周の作品とはその趣を異にする。今後、いったい彼はどういった小説を書いていくのか——「不夜城3」が心から待ち遠しい!

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紙の本

バブル末期を舞台に「ゴージャスな悪夢」を描く傑作!

2003/06/11 12:18

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:タカザワケンジ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 『不夜城』をはじめとするアジアン・ノワールを得意とし、アンダーグラウンド社会に生きる人間たちを描いて定評ある馳星周だが、『生誕祭』はこれまでの作品とはひと味違う。

 体言止めを多用するスピーディーで切れ味の良い文体、二転三転する起伏に富んだストーリーテリングはこれまでの馳作品と同様だが、暴力描写には抑制が効き、人も死なない。バブル後期を舞台に、金銭欲に中毒した男と女が、目も眩むような大金をめぐって権謀術数の限りを尽くす、上下巻に渡るエンターテインメント大作である。

 堤彰洋は21歳。大学受験に失敗し、予備校からもドロップアウトし、六本木のディスコ「マハラジャ」で黒服をやっていた。そこで、幼なじみで初恋の相手、麻美に再会する。貧しい母子家庭で育った麻美は変貌を遂げていた。美貌に磨きがかかっただけでなく、全身を高価なブランド品で固めていた。麻美は「地上げの神様」と呼ばれる波潟の愛人になっていたのだ。
 黒服の仕事に飽き飽きしていた彰洋は、麻美に紹介された齋藤美千隆に夢中になる。美千隆は30代半ばで数十億単位の取引をする不動産会者社長だった。美千隆は彰洋を気に入り、「二人で王国を作ろう」と囁く。
 彰洋は美千隆の教えを忠実に守り、土地を持つ老人を騙し土地をせしめ、高く転売する。地上げの障害になっていた頑固オヤジを陥落させるために、その息子をワナにはめる。そのたび、彰洋の体温は上がり、快感を覚える。麻美はそんな彰洋の眼を「金に中毒した眼」だと感じ、その変貌に喜びを感じた。

 「王国」づくりのために先行者である波潟をハメようとする美千隆。美千隆を愛しながらも、それ以上に金を求めてやまない麻美は、波潟にいつか棄てられるという不安を抱きながら、美千隆のプランに乗る。彰洋は麻美のお膳立てで波潟の娘、早紀と恋仲になり、秘密の恋に溺れるが、麻美に弱みを握られ窮地に陥る。彰洋は底のない金銭欲の世界に足を取られ、無様に落ちていく……。
 この3人を中心に、波潟ほか金に群がる食えない面々が策を弄し、物語は錯綜する。ページを繰る手を休める間がないほど、物語に引き込まれる。

 人間の果てなき欲望は、離れて見れば、醜く滑稽なシロモノだ。現在の視点でバブルを振り返れば、踊った連中がみな阿呆に見える。しかし本当にそうだろうか? 欲しいものを存分に手に入れ、札びらを切ることで味わえる快感は何ものにも代え難い格別のものではないか。『生誕祭』を読んでいると、気分はバブルまっただ中。いつか壊滅するとわかりきっているマネーゲームに、ひりひりする思いを感じる反面、登場人物たちの豪快な金遣いに、奇妙な快感を味わえることもまた確かなのだ。

 石崎健太郎が手がけた装幀もこの作品にふさわしい。光沢のある黒いカバーを外すと、オビにあしらわれているヒエロニスム・ボス(ボッシュ)の「快楽の園」があらわれる。奇々怪々な化け物の姿は人間の欲望を連想させる。まさに、『生誕祭』の世界だ。
 馳星周が、その世界をさらに深める第一歩となりそうな一作が誕生した。(タカザワケンジ/bk1エディター)

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2008/01/30 00:00

投稿元:ブクログ

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2011/07/22 00:54

投稿元:ブクログ

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2014/11/10 19:54

投稿元:ブクログ

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