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紙の本
捨てる、ということは生きていくうえで不可欠なこと。じつは、これは技術というか経営工学の世界では基本中の基本だ、と夫が言う。でもね、世の中、文科系の人間の方が多いんだよね
2005/02/02 20:53
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
《物で溢れかえる日本人の生活を根本的に見直し、真の豊かな生活を始める第一歩として、捨てることをすすめる本》
夫は、洋服ダンスの私の服を見るたびに捨てろと言う。自分は、本どころか、展覧会のパンフレットやDM一つ捨てようともしないのに。ただし、憎らしいことに整理整頓だけは上手い。つまらないものには、大鉈を振るう勇気は、癪だけれど私よりはある。むっとする私を見て、娘たちまでが笑う。その夫が差し出したのがこの本だった。なにが、母の日だ。わたしゃあんたの母じゃない。妻なんだ。
5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)を家庭でいかに実践するか、それは一言、勇気。無論、辰巳はそんな、情緒的なことは言ってはいない。先ずは捨てにくいものを調べ、理由を明らかにすることを薦める。うーむ、その論理性があれば、私は困っていない。便箋を見ては、買ったお店や、手紙を出そうと思った相手のことが頭を過ぎる。
この本は、私が苦しい時に読んだ、このカセットは辛い時に聴いた。この写真は私の幼い頃の、これは夫の髪がまだまだあった頃の、そしてこれは長女が歩いた時の、次女が祖父に抱かれた時の。思い出を前に座り込んでは時の経つのも忘れてしまう。そんな私に、辰巳は賢い収納術ではなく、捨てる技術(実は捨てる勇気)を説く。
情報はお金、といわれる現在、辰巳は一度入手できた情報は、必ず再入手が可能だという。本当だろうか。消えたサイトは山ほどある。でも、物を大切にするということは、本当に必要なものが何かを知ることである、というのは、よく分かる。それに、捨てる技術にはほど遠いコレクターの存在を認めて、許してくれるのは、男の人にはありがたいかもしれない。
ともかく優柔不断、問題先送り、責任転嫁、これをやめる。最近の小説に頻繁に現れるような主人公を切って捨てる。それを物だけでなく組織や人間にだって当てはめてみる。ついでに既得権にしがみつく政治家と官僚もだ。勿論、捨てることだけを勧めるのではない。有効利用したい人には、それに相応しい機関を紹介してくれる、これは親切。
でも、やっぱり出来ない。今日も、昔の整理されていない写真の山から、幼い娘を慣れない手付きで入浴させる夫の若い頃の写真を見つけて、固まってしまった。そうか、誰にでもできるなら、こんな題名の本が売れる訳がないか。
余りに売れすぎた所為で、立花隆がこの本の売れ行きに嫉妬して、タイトルは忘れたけれど自分の読書の本で、ケチをつけることになる。こわいのは、捨てられた男の嫉妬ではある。
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