紙の本
最高によく出来た中年男の初体験自慢
2004/04/04 11:39
7人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:三月うさぎ(兄) - この投稿者のレビュー一覧を見る
ぼくは、これ、年上の女性と何がしかの経験のある、現在ある一定以上の年齢の男性だけが楽しめる小説だと思うのです。
後半のナチ裁判も歴史の再審も本筋とはまったく関係がなく、中年男が昔の女性の記憶を甘く苦くネチネチネチネチ舌の上に転がして何度も何度も反芻する楽しさを非常にうまく再現した作品、
だと思うのですが、いかがですか?
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一度読んだだけでは味わい尽くせない気がするから。
なので、気が付いたことを一つ。
本の上部が、切りそろえられていないのが新潮社らしくて好きだなあ。
(2001.10.15)
再読。一つ一つの言動の答えは読者に任せられている。映画版は観ていないが、そこら辺は分かりやすくなっているのだろうか。
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ゆっくりとした時間の経過を感じるような、独特の口調で、回想部分も含め、起伏の激しいスタイルではなく、淡々としていながら、とても哀しい気持ちになります。読んだ後も、ずっと後を引く作品です。
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この本は「現代ドイツ文學の旗手による、世界中を感動させた大ベストセラー」ださうだ。
1995年に出版されて以來、「發賣後5年間で20以上の言語に飜譯され、アメリカでは200萬部を超えるミリオンセラーになつた」らしい。
これらの惹句に惹かれてこの本を買つたのだが、私はこの本を讀んで、これらの言葉から想像されるほどの感動を呼び起こされることはなかつた。
その理由の一つは、飜譯の文章がどうしても關係代名詞、關係副詞的な日本語としてこなれない文章になつてゐること。そして、もう一つは、或る懸念が私の頭から去らなかつたことである。
この本は三部構成になつてゐる。
第一部は15歳の主人公と36歳の女性との肉體關係を含む戀愛關係。
ここでのポイントは、この女性が主人公に文學作品などの朗讀を依頼するということである。
第二部はナチスドイツの犯罪行爲を裁く法廷の模樣。
第三部はその後の二人の状態。
第二部で、主人公のかつての戀人がナチスによる強制收容所の看守をしてゐたことが判明する。
ここで、戰爭と云ふ非常事態に於ける職務遂行責任と、人間の尊嚴を脅す犯罪行爲との係はり方が問題となる。
詳細は省略するが、この女性が特に他の看守たちと較べて重大な犯罪行爲を行つたと云ふ證據はないにも拘らず、本人が自らを辯護するやうな行爲をとらず毅然とした姿勢を崩さないことで、裁判官の心證をよくないものにし、終身刑となつてしまふ。
彼女にとつて濡れ衣を着せられるやうなことでも、彼女は自分のプライドを守るために受け容れてしまふのである。
さて、私の懸念とは、この本を讀んで日本のインテリや識者と云はれる連中が、この本を變なぐあひに利用しはすまいかといふ心配である。
「戰爭犯罪」と云ふ言葉は、戰爭遂行中に國際法に違反した殘虐行爲を行なつた場合の犯罪性をあらはしてゐる。
一方でナチスドイツがユダヤ人に對して行なつた虐殺行爲は、戰爭遂行の手段として行なはれたとは考へられず、むしろ戰爭がその手段であつたとも考へられるため、通常云ふところの所謂「戰爭犯罪」とはまつたく次元を異にする、人類の尊嚴そのものを否定しかねない本質的な「犯罪」なのである。
この相違をあへて無視したのが極東軍事裁判であり、今の日本人の多くは、かつての大日本帝國がナチスドイツとまつたく同じやうな人類の尊嚴に對する「犯罪」を侵してゐたと誤解させられてゐる。
近年では徐々にかういつた自虐的な歴史觀が修正されつつあるが、いまだに敗戰國の後ろ暗さからか、「ヒトラー=昭和天皇、ナチス=帝國陸海軍」と云つたイメージを持つてゐる人は多いと思ふ。
この本が、我々日本人もこのやうに反省すべきだなどと云つた、立脚點の誤つた安直な論旨に利用されないことを望むものである。
特に學校教育の場で、誘導尋問的な設問を附した課題圖書などにされたら、危險きはまりないと思ふ。
そんなことを思ひつつ讀んだこともあつて、感動出來なかつたのだらう。
2003年6月27日讀了
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ありえないくらい号泣しちゃいました。せつなすぎる。ドイツにホロコースト記念碑ができた今、ぜひ読んで欲しいお話です。
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第一部とそれ以降でガラッと変わる。あっさりしててそれでいて過去と折り合いをつけられない坊や。意外に重い話
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人間ドラマとしてもかなり面白かったのに、最後のオチが弱い…あの2ページはいらなかったな…ブログに長い感想文があります。
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最初に読んだのはたぶん高校のときかな?
そのときは超つまんないって思ったけど、この年になってみるともー、なんか染み入る。好きな人の声とか思い出しちゃうね。
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プライドとは何だろう。
時に人を支え、時に人を駄目にする。
プライドの高い人間は弱者に対しては限りなく優しくもなれるが、
自分の非や負い目を頑なに認めようとしない傾向にあるようだ。
朗読者が愛した女性がひた隠しにした事実は、
他者から見れば、具の骨頂とも思えるが、
当人にとっては何らかの意味を持ち、また重くもあるのだろう。
プライドとは、人間が持つ特有の性質ではないだろうか。
女性がそのプライドを昇華させていた時・・・
朗読者は果たして女性の事をどの程度考えていたのだろう。
恐らく、ほとんど考えていなかったのではないだろうか。
思うこと、望むことは言葉にしなければ通じない・・・。
伝えたい相手が男であるならば、殊更である。
後悔という言葉を強く感じた作品だった。
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海外の作品(特に最近のもの)をやや敬遠しがちになってしまうのは、生活感覚の違いのせいでどうしても入り込めない部分があるからだと思った。古い作品なら割り切れるんだけど。。。
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とっても面白かった。あんまり元気がないときに読んだんだけど、すごく集中していっぺんに読んだ。こんなに面白くって、こんなに凄い小説には滅多に出会えない。ほんとうにトップクラスの小説。
本書は、少年と大人の恋愛風景から始まる。やがてそれはナチスの大量虐殺に関わりを見せ「朗読」っていうモチーフを通じて長い物語が進んでゆく。正直なところ途中で「この話、うまく作りすぎかな」という気もしたけれど、読み終わった今、全然そんなことないと断言できる。読者を喜ばす仕掛けは確かにあふれてる。でも、それに徹しきれない作者の迷いがぎりぎりのところで伝わってくる。
この本がすごい理由はたくさんある。まず人物が魅力的だってことは外せない。あとプロットが優れてるっていうのも重要だ。だけど一番すごいのは、この小説が「恋愛」を描いていることだと思う。確かにストーリー自体は、いわゆる恋愛ものとはちょっとずれている。だけどこのお話の根っこには、恋愛時のあの異常な感情、なんていうか、恋愛のときだけ感じる、小さなことへの異常なこだわり、恋愛的《強度》、それがある。「よく分かんないけど、こうなっちゃうんだ」そういう恋愛的強度が本書の根底に流れている。
ひとつの恋愛的強度でもって、さまざまな事件をつなぎあわせたことが『朗読者』を傑作にしたてあげたのだと思う。(けー)
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ホロコーストというとてもおおきなできごとを、一人の男の内面の波立ちを通して描いた物語。主人公は愛した女の隠された過去としてホロコーストにまつわる諸々に向き合うことになるのだが、最後まで傍観者のまま。【2005.10.23】
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全然知らなかったけどアメリカで物凄い売れた本らしい。内容は、まぁ、面白いとも面白くないとも言えない。というのも作中の人物にうまく感情移入できなかった。主人公とヒロインの感情がわかりにくい。というよりも作品全体がぼんやりとした霧の向こう側を見てる感じ。淡々としている。まぁ、いいたいことはナチズムのことか。ヒロインとの恋愛と年齢差はあくまで必要だった上でのオプションとすべきか。評価は微妙なとこ。二個半あまくして三個くらい。
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愛する人の罪について、どう受け止めるだろう。良心の呵責という罰を背負ったのなら、それ以上責める必要なんてない。
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字が読めて、字が書ける私たちは幸せな良い時代を生きてる。食べ物に困ることも少ないし、なにより今戦争がない。